プロジェクトのおさらい 国道2号線下りバイパスの増設。 全長336メートル、高さ50メートルの高速道路を作るプロジェクトです。 完成は2027年2月を予定。
前回の取材から約5か月。
順調に「ヤジロベー工法」によって、橋桁が左右へ伸びていっています。
今回は、どのように橋が伸びていくのか、その施工の詳細を説明します。
橋脚の上に、ワーゲンを移動させてから橋桁の施工がスタートします。
コンクリートを打設し、PC鋼材を緊張させ、ワーゲンを前方へ移動。次の区間の型枠や鉄筋を組み立てて、再びコンクリートを打設する。これが一連のサイクルです。
今回の現場では、約4mの橋桁を10〜12日かけて施工します。
そのうちコンクリート打設は約5時間。
前後には、橋の強度と安全を支えるさまざまな工程があります。
今回の現場では、約4mの橋桁を10〜12日かけて施工します。
そのうちコンクリート打設は約5時間。
前後には、橋の強度と安全を支えるさまざまな工程があります。
今回は、一つのブロックをつくり、橋が約4m伸びるまでの施工サイクルを、実際の工程に沿って紹介します。
1.コンクリートを打設し、橋桁の形をつくる
まず、コンクリートの打設について詳しく解説します。
この現場では、一回のコンクリート打設にかかる時間は約5時間です。
打設直後のコンクリートは、まだ十分な硬さを備えていない状態です。
型枠を外したり、内部のPC鋼材を強い力で引っ張ったりするためには、それぞれの作業に必要な強度までコンクリートが硬化するのを待つ必要があります。
打設直後のコンクリートは、まだ十分な硬さを備えていない状態です。
型枠を外したり、内部のPC鋼材を強い力で引っ張ったりするためには、それぞれの作業に必要な強度までコンクリートが硬化するのを待つ必要があります。
コンクリートが十分に硬くなったかどうかは、見た目や感覚で判断するのではなく、数値で確認します。
橋桁に使用したものと同じコンクリートで試験体をつくり、その試験体に力を加えて、どの程度の強度が出ているのかを確認するのです。
ここで確認するのが、型枠を取り外せる「脱型強度」と、PC鋼材を引っ張る作業に必要な「緊張強度」です。
規定の数値に達していなければ、予定していた日であっても作業を進めることはできません。工程表通りに進めることだけではなく、一つひとつの数値を確認し、品質を確保したうえで次へ進むことが重要です。
この現場では、打設の翌日から2日ほどを見れば、必要な強度が出ることが多いそうです。
2.型枠の一部を外し、緊張作業の準備をする
コンクリートが必要な強度に達したら、次は型枠の一部を取り外します。
ここで橋桁全体の型枠を外すわけではありません。取り外すのは、主にPC鋼材を緊張させるために必要な部分です。
型枠は、コンクリートを決められた形に固めるための枠です。今回使用する型枠には木製の部分もあり、鉄筋の周囲に細かく組み込まれています。
コンクリートが固まった後は、鉄筋の狭い隙間を縫うように、一枚ずつ手作業で型枠を取り外します。鉄筋そのものは残したまま、その周囲にある型枠だけを解体していくため、単純に大きな板を外せば終わる作業ではありません。
緊張に必要な部分だけでも、型枠の取り外しと清掃に半日ほどかかります。
型枠を外した後は、PC鋼材を緊張させるための準備を進めます。
橋桁の内部には、コンクリートを打設する前から、PC鋼材を通すためのケーブルや管が配置されています。型枠を外すと、その端部が見える状態になります。
そこへ「支圧板」と呼ばれる部材を手作業で取り付け、油圧ジャッキを設置できる状態にします。
コンクリート打設の翌日は、型枠の一部解体と、こうした緊張作業の段取りに充てられます。解体に約半日、残る半日で緊張の準備を進めるのが、おおよその流れです。
3.PC鋼材を引っ張り、コンクリートに力を与える
準備を終えると、次の日にはPC鋼材の「緊張」を行います。
「ここでは12本の鋼線を1セットとして、引っ張ります。10kN/mmずつ力をかけていきます。一定の段階ごとに止めながら、コンベックス(スケーラー)などを使い、人の目でも伸びを確認して進めています」(松枝工事部長)。
橋桁の内部には、すべて同じ方向へPC鋼材が入っているわけではありません。
一つは、橋が伸びていく方向に配置される主ケーブルです。新しくつくったブロックと、すでに完成している橋桁を一体化し、次にワーゲンを前へ移動できる状態にします。
もう一つは、橋の横断方向に配置されるPC鋼材です。道路の幅方向へ、およそ1.2m間隔で配置され、床版を支える役割を担います。
それぞれ役割や鋼材の種類が異なり、必要な場所を順番に緊張していきます。コンクリートを打設した日を1日目とすると、これらの緊張作業はおおむね3日目に行われます。
4.ワーゲンを、次の施工位置へ移動する
PC鋼材の緊張を終え、橋桁が次の作業に耐えられる状態になったら、ワーゲンを前方へ移動します。
移動前
前回(リンク貼る)で説明した通り、ワーゲンは、橋桁の先端で型枠や作業床を支える大型の移動作業車です。
このワーゲンを4m移動させます。
「高所で危険を伴う作業ですので、安全管理には特に気を付けています」と語る通り、施工管理者は、決められた手順に間違いがないかを確認するとともに、ワーゲンを支えるケーブルや安全装置が確実に取り付けられているか、一つひとつ確認します。
移動後
ワーゲンの移動にかかる時間は、片側で約半日。その後、次の橋桁をつくるための型枠をセットするのに、さらに半日ほどかかります。
橋脚を中心に左右へ橋桁を伸ばしていきます。一方のワーゲンを移動して型枠をセットしたら、翌日は反対側のワーゲンを移動させます。
5.型枠をセットする
型枠セット
一方の作業が終わるのを全員で待ってから、次の作業を始めるわけではないのです。
片方のワーゲンを移動して型枠をセットし、もう一方では、すでに型枠の準備を終えた場所で鉄筋を組み立てます。
複数の作業を少しずつずらして進めることで、限られた10〜12日間の中に、必要な工程を収めているのです。
6.型枠、鉄筋とPC鋼材を組み立てる
ワーゲンを移動した後は、次の約4mの橋桁をつくる準備に入ります。
青いケーブルは、プレグラウトといい、グラウト不要のものになります。グラウトというのは、補強などのために流して固定する液状のセメントのようなものです。
鉄筋を組み、ケーブルやPC鋼線を挿入する工程は、およそ3日となります。
7.コンクリート打設前の確認・準備をする
外側と内側の型枠、鉄筋、PC鋼材などをすべて組み終えたら、打設前の確認を行います。
鉄筋の本数や間隔は正しいか。PC鋼材を通す管がずれていないか。型枠の寸法や高さは図面通りか。コンクリートを流し込んだ際に、型枠の隙間から漏れる箇所はないか。
さらに、型枠内に木くずや針金、細かなごみが残っていないかを確認し、必要に応じて水洗いを行います。
問題がないことを確認できたら、バイブレーターを入れて、コンクリート打設へ進みます。
まとめ
1~7に説明した一連の工程を約10〜12日で行い、再びコンクリートを打設します。
一回のサイクルで伸びる橋桁は約4mです。巨大な橋であっても、一度にすべてをつくるわけではありません。決められた作業を何度も繰り返し、少しずつ橋桁を伸ばしていきます。
この作業を10〜12日間の工程として組み立て、安全と品質を確認しながら前へ進めるのが施工管理の仕事です。
4メートルを12ブロックまでコンクリートを打っていくと、10月には、橋の両端側を施工する「側径間」の工事です。ここでは、これまで紹介してきたワーゲンとは異なる方法を使い、空中に支保工を組んで橋桁をつくっていきます。
その後は、左右から伸ばしてきた橋桁同士を中央でつなぐ「中央閉合」へ。これまで別々に伸びてきた橋が一つにつながる、大きな節目となる工程です。
次回は、これまでとはまた異なる施工方法や、橋がつながっていく現場の様子を追います。
