プロジェクトのおさらい 国道2号線下りバイパスの増設。 全長336メートル、高さ50メートルの高速道路を作るプロジェクトです。 完成は2027年2月を予定。
連載第1回はこちら→ 「2年がかりの挑戦!巨大な橋づくりの第一歩」
前回の取材から約3か月。
さいとうPC建設が手掛ける巨大橋梁の現場は、次の工程へと進んでいました。
前回施工していた柱頭部はできあがり、今回はそこから左右へ張り出し橋を架けていく作業になります。
今回の主役は、橋を架けていくための巨大な機械。
一基の重さは約50トン。
現場では「ワーゲン」と呼ばれています。
橋はどうやって空中でつくられるのか。
その仕組みを追いました。
前回からの進捗―橋は次の段階へ
第1回目では、橋脚の上でコンクリート打設が進んでいました。
そこから数か月のあいだに、
・柱頭部のコンクリート打設完了
・上部構造の完成
・支保工(コンクリートが固まるまで型枠や構造を支えるもの)の解体
・新しい足場の設置
が行われました。
支保工の解体には約10日。
そこからワーゲンを組み立て、橋げたを広げていきます。
橋を架けていく長い作業がスタート。主役は「ワーゲン」
組み立てるのは、ワーゲンと呼ばれる移動作業台車です。
重さはおよそ50トン。
橋の先端に取り付けられ、空中で橋げたを伸ばしていくための装置です。
ワーゲンは支保工や足場を必要としないため、渓谷や大きい河川など、橋の下の状況に左右されず、交通量が多い道路でも交通を止めることなく橋を架けることができるのが特長です。
下から支えないぶん、谷や川の上でも施工しやすいのが特長。
ワーゲンはまず地上で部材を組み(地組み)、その後、クレーンで橋の上に移動させ、本格的に組み立てます。
組み立てが終わるのが、約2週間。
地上と橋の上でそれぞれ2~3名で組み立てていきます。
左右に一基ずつ組み立てていきます。
地組みの様子
車輪がついていることで、レーン上を移動できる仕組み
動力は電力。この基盤も組み立てる
地組みをした機械をクレーンで橋の上に運ぶ
橋の上で組み立て。前後それぞれにレールを敷き、ワーゲンを乗せる
橋の上ではこの2本の鋼材で機械を吊るしている
高さ調整のためのもの
この油圧ジャッキと
この油圧ポンプを
この管でつなげて水平を取る
PC箱桁橋と張り出し架設工法
この現場で採用されているのは、PC箱桁橋という構造です。
橋を断面にすると、箱型の内部が空洞になっています。
コンクリート内にPC鋼線とよばれる高強度の鋼材を設置し、それを反らせて引っ張る(緊張させる)ことで圧縮力を加える仕組みです。
高い強度にもかかわらず、中が空洞なことから軽く、人が出入りできるためメンテナンスしやすいという利点があります。
「ひと昔前は、PC鋼棒という太い鋼材を使っていましたが、現在はPC鋼線と呼ばれるコイル状の鋼材が主流。強度もかなり高くなったと思います」(齊藤社長)
施工方法は「張り出し架設工法」。
橋脚を中心に、左右へ少しずつ橋を伸ばしていきます。
その姿がやじろべえに似ていることから、かつては「やじろべえ工法」とも呼ばれていました。
その姿がやじろべえに似ていることから、かつては「やじろべえ工法」とも呼ばれていました。
約2〜5メートルずつ、15日かけて橋が架かっていく
ワーゲンが組まれた後は、次の工程が繰り返されます。
・型枠を設置
・鉄筋を組む
・PCケーブルを入れる
・コンクリートを打設
・PCケーブルに張力をかける
・ワーゲンを前進させる
1ブロックの長さは約2〜5メートル。
この現場では、およそ15日で1ブロックが完成します。
「全部、人が動かしている」
工事部長の松枝さんは、こう語ります。
「道具は使うだけで、全部機械が勝手に動くわけじゃない。動かすのは人間です。」
ワーゲンを組み立てるのも人。
コンクリートの状態を音で確認するのも人。
ワーゲンを前へ進めるのも人。
目で見て音で聞いて、一つずつ丁寧に確かめながら、安全で丈夫な橋を作っていくのです。
壮大なプロジェクトですが、現場は10~15名の人数で連携を取って進めています。
橋は育っていく
橋は、一晩では架かりません。
2〜6メートルずつ、空中で少しずつ前へ進んでいきます。
現場の作業員のチームワーク、そして機械と人とのチームワークで、橋は育っていくのです。
橋がつながるその日へ向けて。工事は、今日も着実に進んでいます。
次回は、実際のやじろべえ工法に密着。 橋が空中で少しずつ伸びていく瞬間を追いながら、コンクリート打設のリアルに迫ります。 「コンクリートを打つって何? 流して固めるだけじゃないの?」 そんな疑問に答えるために、ポンプでどう送るのか、どう固めるのか、「打つ」の意味、品質のチェックなど、 橋づくりのリアルを掘り下げます。
