▶▶お話を聞いた料理長
グランヴィリオホテル別府湾‐和蔵-
矢田 勝己(ヤタカツミ)料理長
鹿児島出身。北九州の高校在籍時に北九州のホテルの調理場でアルバイトを経験。卒業後、静岡や大阪のホテルで和食をメインに料理人としての腕を磨き、ルートイングループのホテルに入社。2006年に徳島で和食料理長に就任。
2021年、大分県内ではグループ初のリゾート型ホテルとして同ホテル開業時に料理長として異動、現在に至る。
▶▶ルートイングループとは
全国・海外で多彩なホテルブランドを展開し、飲食・温浴・ゴルフなど幅広い事業を手がける総合ホテルチェーン。
地方創生に貢献しながら、福祉・教育支援やスポーツ振興など社会貢献活動にも積極的に取り組み、「いつでも どこでも 人とともに」の理念のもと全国500店舗展開を目指し成長を続けている。
グランヴィリオホテルはリゾートタイプのホテルブランドとして日本に9店舗、サイパン島に1店舗。ベトナムに2店舗を展開している。
【料理長としてリゾートホテルのオープンを経験】
大阪で勤務していたホテルで出会った料理長と一緒に、徳島のルートイングループホテルに転職し、そこで厨房の二番手として当社のでのキャリアをスタート。その後、料理長が退職されたので私が料理長になりました。
当ホテルのオープンに伴いこちらの料理長を任せてもらうことになった際には、オープニングのため地元の仕入れ業者さんからの売り込みもありましたが、地域の特産品を扱う業者さんや生産者さんを調べ、こちらからもアプローチしました。
ルートイングループの考え方が、自社の利益だけを追求するのではなく、ホテルを出店する地域にも利益をもたらす存在として、地域に密着するスタイル。実際、当ホテルのレストランで使用している材料の多くは地元の業者さんですし、お米も地元農家さんと契約している仕入れ先にお願いしているんです。
メニューを考案するだけではなく、仕入れ業者さんの選定にまで参加させてもらえたのは、良い経験でした。
【観光型のリゾートホテルならではのおもしろさ】
当ホテルでは“ハーフビュッフェ”のスタイルでお料理を提供しています。季節に合わせた内容でメインのお料理を3種類から選んでいただき、それ以外はバイキング形式でお好きなものをお取りいただくスタイルです。
メニューに地域食材を使用したりご当地メニューを取り揃えることはもちろん、装飾素材も、大分の伝統工芸の竹細工を使用して地域色を出したり…。メインのお料理だけでなくビュッフェコーナーでも、メニュー内容や器などに季節感や地域イメージを取り入れ、そしてお料理の並ぶ順番なども意識しています。
リゾートホテルに泊まられる方にとって、やはり『食事』は重要ですし、宿泊先を決められる際の条件のひとつ。旅の思い出って、真っ先に「どこそこで、あれを食べた」と食事で記憶されている方も多いんじゃないでしょうか?
以前勤務していた徳島のホテルでもビュッフェはありましたが、どちらかといえばコース料理や宴会料理が中心でしたので、非日常感をそこまで重要視していませんでしたが、ここではオープンキッチンに立って調理しながらも、常にお客様の反応や動きを意識していますね。
【ご当地料理でありながらも、独自の特色を!】
地元食材を仕入れているため、鮮度には絶対の自信があります。その鮮度を活かしたお料理を提供すると同時に、ご当地料理を必ずメニューの複数採用していますが“ここに泊まらないと食べられない”独自性にもこだわっています。
例えば大分の名物に、地元の旬の魚の切身を、醤油やゴマなどで漬け込んだ「りゅうきゅう」というお料理があるんですが、ベースの味付けにプラスした、オリジナルの味付けでお出ししています。これがとても好評で「他のりゅうきゅうよりも美味しかった」「これをもう一度食べたくて、またここのホテルにした」という嬉しい声をいただきました。
この味付けに決めるまでも、いろんな地元のお店に足を運んだのですが、今も休みの日には地元の味を提供されているお店に足を運び、ご当地料理を味わって今後のメニュー考案の参考にしています。
ご当地料理って確かにその地域の“味”ですが、せっかく当ホテルにお泊りいただいてお食事もしていただくのですから、それだけの付加価値を持たせないと…と。それこそがリゾートホテルのレストランの在り方かなと思っています。
【若手の声が欠かせません!】
最近はお料理を写真に撮られてSNSで紹介してくださったり、旅行予約サイトのクチコミに載せてくださるお客様も多数。ホテル選びの際にもSNSや旅行サイトの写真を参考にされるお客様が、国内外問わず多いですよね。
そのため周りのスタッフ…特によくSNSを活用しているような若い世代のメンバーに“写真映え”のアドバイスをもらことが多いですね。もちろんメニュー内容や装飾に関しても、積極的に若手の声を採用しています。
調理の上でも「見て覚えて」というのではなく、手を動かし、実際にオープンキッチンに立ってお客様の反応やコミュニケーションから学ぶことが重要だと考えています。そこで見たり聞いたり、感じたことから自分の改善点も見つかりますし。
来年より本格的に「料理長育成プロジェクト」がスタートし、きちんと育成計画を立てていろんなジャンルの料理や厨房運営を学んでいってもらいたいと思ってます。
【様々な土地を知ることで、得られたこと】
ルートイングループに入社してからは、徳島とここ大分のホテルにしか勤務していませんが、アルバイトを含めると北九州、静岡、大阪…と様々な土地の厨房を経験。そこで感じたのは、『郷土料理』がその土地ごとにあるだけではなく、たとえ同じ料理であっても“地域独自の味文化”があるため、同じ味付けや調理方法にはならないということです。例えば味噌汁ひとつをとっても、地域によって使う味噌が違ったり、醤油の味も違います。
また、大都市圏のホテルとなると、さほど地域色をホテルの料理に求められる方が少ない印象。新たな地での厨房を経験するたびに、料理人としての知見が広がり新しい技術が身に付いてきたという実感があります。
ルートイングループはその点、全国津々浦々にホテルを展開していますし、朝食しか提供しないホテルでも必ずといっていいほど、ご当地メニューがあります。朝食で提供する際は、朝からでも食べたくなるような工夫も必要になってきます。
将来店を持ちたい…と思っている人にとっても、幅広い料理を学び、作れるようになることは大きな強みになるはず。もし他の地域で勤務できるチャンスがあれば、チャレンジしてもらいたいですね。
