創業から70年あまり。時代が変わっても守り続けてきた味と香りがあります。神戸の老舗ステーキ店「みやす」では炭火焼という調理法を継承しながら、日々の仕込みと丁寧な手仕事を重ね、素材の魅力を最大限に引き出しています。料理人としての基礎を真っ直ぐに学べる「みやす」のこだわりをご紹介します。
炭火と熟成がつくる、深い旨味
みやすでは、肉を焼くのはガスでも鉄板でもなく、今では珍しくなった炭火。炭の状態や火力は毎日違うため、組み方、風の通し方、余熱の扱いなど、細やかな技が要求されます。炭は紀州の備長炭を使用。強い火力で厚みのある肉の焼き加減を調整しながら、表面を香ばしく、中はじんわりと火を通す。そんな炭火の技術は、一朝一夕で身につくものではありません。
熟成A5黒毛和牛
当店で使用しているお肉は、A5ランクの黒毛和牛の雌牛。さらに、うまみを引き出した熟成肉を使用しています。熟成によって繊維がほどけ、噛んだ瞬間に広がる旨味の深さは、他では味わえない特別なものです。お客様に提供する前には必ず味見をし、舌で味わいや食感を確かめながら細かな味付けを調整しています。
毎日の「さらし」が味を守る
お肉を扱う上で欠かせないのが、毎朝の血抜き。これは伝統的な仕込みの一つで、さらしを毎日交換することで臭みを抑え、旨味を際立たせます。この一手間が仕上がりを大きく左右します。
一から作る、サイドメニューの力
当店のコースとアラカルトは、常連のお客様が喜んでいただけるようにグランドメニューとしてご用意をしています。前菜は少しアレンジをすることもありますが、長年愛されてきた味を毎日再現しています。スープ、ドレッシング、デザート、サイドメニューまですべて手づくり。スープは香味野菜と骨をじっくり煮込んだブイヨンを継ぎ足しながら深みを出しています。ソースやドレッシングまですべて手作りで提供しています。
技術と人が育てる“本物の味”
炭火、熟成、仕込み、サイドメニュー、仕入れ——。それぞれの工程が独立しているように見えて、すべてが一皿のために結びついています。教科書やレシピには載らないさまざまな技術が詰まって、一皿ができあがるのです。炭火を読む力、肉に触れる感覚、業者との関係づくり。こうした一つひとつが、料理人としての土台をつくります。
効率を優先する時代ですが、私たちは手間を惜しみません。手間こそが、味を生み、信頼を育て、伝統を未来へつないでいきます。
