京都・二条城の南で、一世紀以上にわたり街の暮らしを支えている建設会社があります。社寺建築から公共工事まで「できないことはない」というほど幅広い工事を手掛けながら、電球の取替や雨漏り対応など、暮らしの小さな声にも誠実に対応。
今回は「断らない建設会社」として信頼を重ねてきた株式会社城南組の6代目社長に、地域に根づく建設会社の仕事のリアルをお聞きしました。
株式会社城南組
二条城の南に位置し、110年以上の歴史を持つ総合建設会社。住宅(伝統工法・在来工法)、マンション、公共施設、社寺建築など、あらゆる工事を手掛けています。
代表取締役 上戸 純 氏
代表取締役 上戸 純 氏
創業112年、街とともに歩む工務店
城南組の歴史は、京都の建設業が統合された太平洋戦争中に始まります。当時、地域の大工たちが一つにまとめられた際、中心的な役割を果たしたのが初代・大西與三吉でした。誰かの名前を残して、後に争いになることを避け、二条城の南にあることから「城南組」と命名。以来、公共工事やご紹介による住宅案件を中心に、京都で実績を重ねてきました。
10年ほど前からは、より地元に密着した建設会社を目指し、社外掲示板での情報発信や、社屋の一部を開放しての「感謝祭」などの取り組みも行っています。「感謝祭」では、DIYに重宝する木材の端材やタイルなどを提供。400人ほどの方に来場いただき、地域のみなさんに喜ばれるイベントとなっています。
雨漏りから珍案件まで、“断らない”姿勢に信頼が集まる
私たちが日頃から大切にしているのは「頼まれたことは断らない」という姿勢です。それは難度の高い仕事だけでなく、小さな修繕ひとつに対しても変わりません。電話をいただいたら、どんな些細なことでもまずはお伺いして、顔の見える対応をするよう心掛けています。
また、この辺りは築200年を超えるような家屋や建物も多く、雨が降ると雨漏りや水漏れの修繕依頼が相次ぎます。屋根全体を直すような仕事はまれで、「瓦を一枚交換する」レベルの作業がほとんど。過去には天井裏で「イタチ」と格闘したり、「ハクビシン」を捕獲して動物園に届けたりしたこともあります。
「それが建設会社の仕事?」という声も聞こえてきそうですが、住まいの安全を確保することは建設の役割とも言えますし、誰かが困っていたらできる範囲で手を貸すのが城南組のスタンス。お付き合いが進むうちに「せっかくだから壁をきれいにしようか」「屋根も替えようか」と、リフォームや改修に発展することも少なくありません。
京都ならではの「伝統工法×在来工法」
歴史の長い住宅が多く並ぶ京都では、建物の造りや工法もさまざまです。古くからの家屋では日本古来の「伝統工法」が用いられ、近年に建てられた住宅では「在来工法」が主流となっていますが、こうした異なる工法が入り混じっているのが京都の住宅の特徴であり、修繕や改修の際にはその違いに対応することが求められます。
※伝統工法とは
昔ながらの大工の技術で、釘をほとんど使わず、木材同士を「継ぎ手」や「仕口」と呼ばれる技法で組み合わせて構造をつくる工法です。家の中心には太い「大黒柱」が立ち、そこから周囲の柱に向かって何本もの梁(はり)をかけて建物全体を支えます。構造全体で力を分散する仕組みのため、一部だけを取り替えるのが難しく、修繕といっても柱を残してすべてを組み直す“建て直し”に近い大掛かりな工事になることが多いのが特徴です。
※在来工法とは
現在主流の木造軸組工法で、基礎の上に柱と梁を立て、金物でしっかり固定して建物を構成します。部分的な修繕や間取り変更にも対応しやすく、水回りのリフォームや内装の改修なども比較的容易に行えるのが特徴です。伝統工法の建物を改修する際には、この在来工法を一部に取り入れて“ハイブリッド構造”にすることで、耐震性を高めつつ昔の趣を残す施工も可能です。
現在主流の木造軸組工法で、基礎の上に柱と梁を立て、金物でしっかり固定して建物を構成します。部分的な修繕や間取り変更にも対応しやすく、水回りのリフォームや内装の改修なども比較的容易に行えるのが特徴です。伝統工法の建物を改修する際には、この在来工法を一部に取り入れて“ハイブリッド構造”にすることで、耐震性を高めつつ昔の趣を残す施工も可能です。
会社の個性は「無色」何色にも変化できるのが強み
どんなことにも対応するのは日常のトラブルや困りごとだけでなく、新築や公共工事といった大きな案件に対しても同様です。城南組は「和風建築専門」「デザイン重視」など、独自のカラーを打ち出していません。自社の型を決めず、お客さまから「こういうものをつくりたい」と言われたら、和風でも洋風でも、求められるものを形にします。純和風の家と同時進行で、ヨーロピアン調の家を手がけることもあり、どんなジャンルであってもノーと言わない。やったことがない領域でも、その都度学び、できるようにするのが当たり前だと思っていますし、そこに楽しさもあると感じています。そもそも何でも作るのが建設会社。求められるものに真摯に向き合う姿勢こそが、城南組らしさなのでしょう。
学生のみなさんへメッセージ
建設の仕事は正直、全体の9割が大変なことです。でも、残りの1割の喜びには、それまでの苦労をすべて吹き飛ばす力があります。お客様との打ち合わせや予算決め、竣工までを一人で手がける過程を経験すれば、きっとその意味を実感できるはず。
そこに到達するまでは覚えることや身につけることも多いですが、せっかく建設の道を志したのであれば、その楽しさを味わえるまで、少しの期間踏ん張ってみてはどうでしょうか。私たちもみなさんの成長にしっかり伴走していきます。もっとリアルな現場の様子や仕事について興味がある方は、いつでも見学に来てくださいね。
