建築設計の世界には、意匠設計や住宅設計を中心に展開する事務所が数多く存在します。しかし、その一方で、案件の波や価格競争により、安定経営が難しい事務所も少なくありません。
そんな中、独自の強みで安定性と収益性を両立させているのが【株式会社施設工学研究所】です。
今回は設備設計の分野で公共工事や希少分野を手がけ、着実に成長を続ける同社の強さに迫ります!
今回は設備設計の分野で公共工事や希少分野を手がけ、着実に成長を続ける同社の強さに迫ります!
お話をうかがったのは……
株式会社施設工学研究所(本社:大阪市)
1972年開設、おもに公共工事の設備設計/監理を手掛ける会社。航空局の整備工事設計も担当(同業他社は大阪府下に2社、国内10社程度)。景気変動に左右されにくく、長年にわたり安定経営を実現しています。
(写真左)上田常務 (写真右)吉住社長
① 建築設備設計という分野の特性
私たちが専門とする「建築設備設計」は、意匠や構造とは大きく異なる特徴を持っています。一般的に建物は一度建てると50年近く使われるため、新築案件は数が限られ、設計事務所同士の競争が激しくなります。これに対して設備は15〜20年ごとに更新時期を迎えます。照明が蛍光灯からLEDへ、空調が全館方式から部屋単位の制御へと移り変わるように、技術革新のたびに新しい設計が必要となるため、常に一定の需要がある分野なのです。
また、一般的に建築全体の設計は競争が激しく、受注単価や利益率が下がりやすい傾向があります。設備設計は一定の専門性が求められるうえ、会社の数も少ないことから、適切な単価で仕事を受注しやすいことも安定収益の基盤につながっています。
② 公共工事が支える安定経営の基盤
当社が手がけるのは、地方自治体や国の重要施設、航空関連施設など、多くが公共性の高い建物です。公共工事は国民の税金を原資とし、計画から施工まで厳格な手順で進められるため、景気変動の影響を受けにくいという特長があります。
たとえば、コロナ禍では民間の建設案件が大幅に減少しましたが、公共工事は予算がきちんと確保されたうえで実施されるため、受注件数も売上も例年と大きく変わることはありませんでした。こうした公共工事を主力としてきたことが、安定した経営の土台になっています。
③ どんな案件にも対応する規模と信頼による差別化
設備設計を専門に扱う会社は全国的にも少なく、特に関西では10人前後の規模が多く、20人でも大きい部類に入ります。当社のように30人規模で専門部門を持つ会社となると、ほとんど見当たりません。私たちはこの規模感を武器に、幅広い案件に対応できる体制を整えています。
規模の大きな案件になると、小さな事務所は入札に加わることができず不調(入札に参加者がいない状態)に終わることも多く、指名入札で当社が落札することもあります。十分な人員と体制を持ち、過去に積み重ねてきた多くの事例や実績があることに加え、クレームのない成果物を継続的に提供してきたことで、「安心して任せられる事務所」としての信頼を築いてきました。
こうした強みがあるからこそ、他社では対応できない大型案件にも入札資格を得て参加でき、実際の受注へとつながっています。
こうした強みがあるからこそ、他社では対応できない大型案件にも入札資格を得て参加でき、実際の受注へとつながっています。
④ 高い技術力と希少分野での強み
たとえば当社には、関西一円の学校体育館の空調工事設計を数多く手がけてきた実績があります。国内でも有数の規模であり、ある市では23校分の体育館空調工事設計を一括で受注しました。
体育館はスポーツ利用から避難所としての活用まで幅広い用途を想定する必要があり、設計段階で多様な条件を踏まえた提案が求められます。実際に地震が発生し、私たちが設計した体育館が避難所となった際には「冷房がきちんと効いて快適だった」と高い評価を受け、その後多くの同業者が現場を視察に訪れました。その結果、私たちの設計モデルは、学校体育館工事設計の標準仕様として広く採用されるようになっています。
さらに、特殊な分野においては、航空局における特殊な設備設計も担っています。飛行機の運航を支える管制室の通信機器更新や、大型通信アンテナの取替え設計などを行い、対応できる会社は全国でも10社程度しかありません。高度な専門性が必要とされるこれらの分野で実績を積み重ねていることは、当社の技術力の確かさを示すものだと思っています。
⑤ これから設計士を志す方へ
設備設計は、暮らしや社会の変化にあわせて新しい仕事が生まれる分野です。だからこそ、設計士の中でも安定してキャリアを積み重ねていける道だと私たちは考えています。さらに当社では、社員一人ひとりが安心して成長できるよう、資格取得の支援にも力を入れています。受験に必要な費用や教材はもちろん、勉強時間の確保までサポートしますので、安心して学び、経験を積み、確かな力を身につけてください。ますます進化が進み、可能性が広がるこの業界で、活躍してくださる方との出会いを楽しみにしています。
