【道路や橋は「造る」時代から「守る」時代へ】
道路や橋の多くは鉄筋コンクリートで造られています。日々、当たり前のように使っていますが、鉄筋コンクリートの寿命は、補強・補修など行わければ約50年と言われており、日本初の高速道路となる名神高速道路が全線開通したのが1965年。以降、全国に張り巡らされてきましたが、そのいずれも近年中に“寿命”を迎えてきます。
まさにこれからの時代は道路などを「造る」のではなく「守る」時代に。つまり「補修・補強作業」が求められているのです。
また、国土交通省も2013年頃から「新設よりもメンテナンス重視」の方針を打ち出し、道路・橋梁の長寿命化修繕計画を全国で策定。まさに国を挙げての一大プロジェクトとも言えるでしょう
【何故、道路や橋が「社会インフラ」と言われるのか】
近年、全国のいたるところで道路の陥没事故やトンネルの崩落が報じられています。2012年に起こった山梨県内にある笹子トンネルの崩落事故では9名の尊い命が奪われました。
道路や橋、トンネル…特に高速道路が人々の命を守るインフラの一つと言われる大きな理由は、自然災害などの有事の際に、一秒でも早く救援活動を行う際に全国各地から向かうための貴重なルートに。地震大国とも呼ばれる日本において、まさに国民の命を守るための重要な社会インフラとなるのです。
そのため、鉄筋コンクリート造である高速道路を支える橋脚やトンネルの壁面などの補強・補修は喫緊の課題なのです。
【コテ・ローラーを使った職人技で、鉄筋コンクリートを延命!】
補強・補修工事を簡単に説明すると、橋脚や橋桁、トンネル壁面などに炭素繊維シートを貼り付け、樹脂で補強する…という作業。エポキシ系の特殊な樹脂や高強度モルタルで、安全性と耐久性を確保し、コンクリートの剥落を防ぐものになります。
この作業の際に使うのは、専門的な特殊道具ではなく「コテ」や「ローラー」。特別な免許が必要なわけではなく、技術さえ学べば誰もができる“社会インフラを守る技術”というわけです。
エポキシ系樹脂とは?エポキシ樹脂はエンジニアリングプラスチックの1種で、加熱して化学反応を起こして硬化する熱硬化性樹脂です。
一般的な有機樹脂の硬化物よりも硬く、下記の特徴にあるように安定した性能があるため用途が広く、土木の分野だけではなく様々な電化製品にも使用されています。
<特長>
◎耐熱性が高い。
◎金属・コンクリートなどへの接着性が高い。
◎高強度が必要とされる炭素繊維複合材量(CFRP)用途に使用できる。
◎硬化時に収縮しにくい。
◎耐薬品性・耐水性・耐湿性に優れている。
【実際の作業はどんな作業?現場のリアルに密着!】
①朝礼&作業前点検
こちらは●●工事の現場。9時に全スタッフ集合、一日の作業内容を確認。
②コテ塗り前の準備作業
作業スタート!補修作業を行う場所を確認。劣化部分のコンクリートを剥がし、下準備を行います。
③昼休憩
昼食はお弁当を支給。天気が良い日は午後作業まで日陰で昼寝も…
④コテ・ローラー塗り作業
午前中に準備した場所に、エポキシ系樹脂をコテやローラーで塗っていきます。
⑤清掃・片付け
17時にはたいてい作業終了!現場稼働時間は決まっているので、明るいうちに撤収。
【現場作業ってキツくない?チーム・現場で取り組む安全対策】
何となく、土木関連の現場作業ってキツそう…危険な作業が伴いそう…そんなイメージを持っていませんか?もちろん、一定のルールを守らなければ危険は伴います。それは「赤信号で道路を渡る」ことと同じ。作業は一人黙々とすることが多いですが、チームで決まったルールに基づいて作業をすることが重要です。
安全の確保や体力的なキツさを緩和するための、対策の一例をご紹介します。
<朝礼での安全確認>
その日の作業内容をもとに、安全に作業を進めるための注意点などを確認!
<安全用ハーネスのチェック>
時には地上50mでの作業も!高所作業は、命綱がきちんとクレーンに固定されているかチェック。
<作業現場を温かく!>
エポキシ系樹脂は低温だと硬化しにくいこともあり、真冬でも一定温度を保てるよう周りを囲ったり暖房器具を使用して温度を保ちます。
<休養をしっかり!>
長時間作業や睡眠不足は集中力低下で事故のリスクも高くなります。
週休2日&残業無しでしっかりリフレッシュ!
【現場スタッフから職人へ…技術者への道】
補強・補修作業はいくつかの工程を経て完了するので、基本中の基本作業は正直なところ現場に配属されて即日戦力になることもできます。
しかし、この作業は「万が一の災害に直撃しても、橋脚が全く欠けることもなかった」「大きな地震でもトンネルの壁面がビクともしなかった」時が本当のゴール。現場作業終了時に本当の結果は出ないため現場の「これで工事完了」言葉を、工事発注側は信じるしかないのです。
そのため日々の作業一つひとつへの信頼度向上が大切であり、その信頼を勝ち得る人こそが「職人」です。
・仕上がりのキレイさ
・天候や温度を考慮した、樹脂素材の扱い方
・工期の遵守
・後輩や部下からの信頼
・材料選定時の専門的目線での意見発信
……これができてこそ、工事を発注してくださった会社から「職人」と認められるようになるのです。
【目立たないけど、未来を守る仕事として】
新しい物を造る・建てる仕事ではないので、決して目立つ仕事ではありません。
「当たり前に存在している」道路や橋、トンネルがこれから先も「当たり前に使える」インフラであるために行う、地道な作業。
しかし、無くてはならない仕事であることには間違いありません。
ぜひ、安心の未来づくりの一端を担う仕事として、この分野にチャレンジしてみてはいかがでしょう?
