街を歩けば、当たり前のように建物が立っています。ですが、その一棟が建ち上がるまでに何人の人が関わっているかを、考えたことはありますか?
一つの建物を建てるにも、鉄筋コンクリート(RC)の建物ともなれば、約20社もの専門業者が関わります。土を掘る人、足場を組む人、鉄筋を組む人、配線を通す人、壁を仕上げる人。分野ごとに、それぞれのプロがいます。
そして施工管理は、その全員をつなぐ立場。安全や工程を管理するだけの仕事ではありません。誰と、どのタイミングで、どう話すか。それが建物の仕上がりを左右するのです。
今回は、鉄筋コンクリートの高級建築を多く手掛ける、株式会社岩本組の施工管理3人に、着工から竣工までに出会うプロたちを紹介してもらいました。
株式会社岩本組 1933年創業、東京・渋谷に本社を構える建築会社。設計事務所が設計監理する注文住宅やマンションなどのRC建築を、元請けとして受注、建築工事の施工管理を行っている。着工前の準備から竣工まで、プロジェクトチームの現場監督が一棟を見守る「1現場1担当制」を大事にしている。
今回お話を伺った方々
左から、
・S.I.さん/2025年入社/町田デザイン&建築専門学校出身
・M.N.さん/2023年入社/横浜日建工科専門学校出身
・S.H.さん/2022年入社/明星大学出身
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■Chapter 1 〜着工〜 最初に出会うプロたち
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建物づくりは、更地から始まります。境界を測り、地面を整え、建物の位置配置を確認する。ここでつまずくと、後のすべてが狂います。現場で最初に顔を合わせるのは、この土台をつくるプロたちです。
FILE 01. 測量士 -すべての基準を刻む、精度の番人-
どんな仕事?: 工事の一番はじめに、隣の土地などの境界を測り、建物の配置を確定させます。躯体や壁などを据え付ける位置の基準線を床に引く作業も担当します。
得意技: どんないびつな敷地でも、ミリ単位で正確な位置を割り出す。図面の原寸化は測量士にお任せ!
こんな時に頼れる!: 建物の配置や高さの基準がほしい時。壁の位置出しに迷った時。
忘れられないエピソード: いくつもの曲面の壁を施工するとき、現場に綺麗に墨出しをしてくれて本当に助かりました。
こんな存在: きっちりしているからこそ安心して任せられ、測量機器の扱い方も教えてくれる、技術の先生です。
FILE 02. 土工 -大地を切り拓く、着工の立役者-
どんな仕事?: 基礎をつくるために、重機で地面を掘り下げます。RC建築では数メートル下まで掘ることが多いため、掘った土が崩れないよう周囲を固める作業もあわせて行います。
得意技: 重機を自在に操り、建物を支える地面をつくり出す。
こんな時に頼れる!: 掘る・埋める・運ぶなど、重機の力が必要な時。
忘れられないエピソード: 重機の音で会話が聞き取れず何度も聞き返してしまったことがあり、その経験から、少ない言葉やハンドサインで意図を汲み取ることを覚えました。
こんな存在: 現場に一番最初に入る重要な工程で、その現場では同期のような頼れる存在です。
FILE 03. 鳶 -現場の“道”をつくる、高所の名手-
どんな仕事?: 建物の周りに作業用の仮設足場を組み立てます。クレーンの組み立てや、大きな部材の吊り上げも担当します。
得意技: 高い場所でも、足場をなんなく組み上げる。
こんな時に頼れる!: 高い場所での作業が必要な時。足場を変更したい時。
忘れられないエピソード: 揺れる足場の上を平然と歩いて作業する姿を見て、この人たちには敵わないと思いました。
こんな存在: 世間話にも乗ってくれる、距離の近い先輩です。
【Mini 図鑑】重機オペレーター:大型重機を自在に操るプロ
ショベルカーやクレーンを操作して、掘削・整地・資材の運搬を担う、現場の力持ち。
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■Chapter 2 〜躯体工事〜 現場を動かすプロたち
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土台ができたら、いよいよ建物の骨格をつくります。RC建築の躯体工事は、型枠を組み、鉄筋を配し、コンクリートを流し込むという流れで進みます。一度固まったコンクリートは、やり直しがききません。
土台ができたら、いよいよ建物の骨格をつくります。RC建築の躯体工事は、型枠を組み、鉄筋を配し、コンクリートを流し込むという流れで進みます。一度固まったコンクリートは、やり直しがききません。
FILE 04. 型枠大工 -コンクリートに形を与える、躯体工事の要-
どんな仕事?: コンクリートを流し込むための「箱」を、木の板で組み立てます。加工場でパーツを刻んでおき、現場で立て込んでいきます。
得意技: 少しのズレも許さず、建物の形そのものを組み上げる。
こんな時に頼れる!: 複雑な形をどう組むか相談したい時。コンクリートを流し込む前に、打設の順序を悩んだときに相談に乗ってくれる時。
忘れられないエピソード: 入社1年目、型枠に埋め込むボルトの位置確認に手間取っていた時、手を止めて一緒にやってくださって、とても救われました。
こんな存在: 先々を読んで段取りを組んでいるからこそ、躯体のすべてを把握していて、自分もこうなりたいと思わせてくれる憧れの職人です。
FILE 05. 鉄筋工 -建物の背骨を組む、構造のプロ-
どんな仕事?: コンクリートの中に隠れる鉄筋を組み上げます。構造図から必要な本数と長さを拾い出し、加工して現場に運び込む、見た目以上に緻密な仕事です。
得意技: 何百本もの鉄筋を、決められた位置に寸分違わず組み上げる。
こんな時に頼れる!:構造図の読み方が分からない時。
忘れられないエピソード: 鉄筋の決まりごとを尋ねると、その場でスケールを当てて何度でも教えてくれたこと。
こんな存在: 構造の決まりごとを知り尽くした技術者。初歩的な質問にも答えてくれる、面倒見のいい人たちです。
【Mini 図鑑】生コン会社:一発勝負を支えるプロ
工場で配合したコンクリートを、固まる前に現場へ運び込む、分刻みで動く運び手。
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■Chapter 3 〜内装・設備工事〜 建物を仕上げるプロたち
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躯体ができあがると、建物は「中身」をつくる段階に入ります。ここから先は、お施主様の目にも直接触れる部分です。
躯体ができあがると、建物は「中身」をつくる段階に入ります。ここから先は、お施主様の目にも直接触れる部分です。
FILE 06. 内装大工 -ミリにこだわる、仕上げの匠-
どんな仕事?: 造作木工事のプロ。和室やドアの枠などの造作材を取り付けます。クロスやキッチンの設置は、それぞれの専門業者が引き継ぎます。
得意技: 下地の狂いを見逃さず、ミリ単位で仕上がりを整える。
こんな時に頼れる!: 仕上げの納まりに迷った時。
忘れられないエピソード: ドアの木枠などは、取り付けしろを計算して軽量鉄骨下地などの高さを決めますが経験がいる作業です。下地高さの寸法を間違えていた時、「木枠を取り付ける前に直しておいて」と、後の施工を見越して先回りして動く大切さを教えていただきました。
こんな存在: 現場の最終工事!責任感が強いからこそ仕上がりに妥協せず、頼めば必ず応えてくれる、口数は少なくても心強い味方です。
FILE 07. 電気工事士 -暮らしの灯りをつくる、配線の使い手-
どんな仕事?: 壁や天井の中に配線を通し、照明・コンセント・スイッチを取り付けます。工事中に使う仮設の電気を用意するのも、この人たちです。
得意技: 壁の中を走る膨大な配線を、一本も間違えずに通しきる。電化製品のプロ。
こんな時に頼れる!: 現場で電気が必要な時。配線の相談をしたい時。お施主様に照明プランを説明するとき。
忘れられないエピソード: 必要な配線や器具を図面に起こして説明してくれた。段取りの立て方がよく分かりました。
こんな存在: 躯体工事から竣工までずっと現場にいるからこそ、気軽に相談ができる、心強い相棒です。
【Mini 図鑑】設備工事士:建物の血管を通すプロ
電気・給排水・空調など、建物に欠かせない設備一式を担当。浴室、洗面、トイレなど生活に欠かせないものを取り付けます。
【Mini 図鑑】クロス職人:見えない下地で仕上がりを決めるプロ
下地をパテで平らに整えたうえで壁紙を貼り上げる、部屋の表情を決定付ける担い手。
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■Chapter 4 〜一棟完成!〜 最後まで支えてくれた人たち
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着工から約1年。竣工が近づくころには、現場は最強のチームになっています。
着工から約1年。竣工が近づくころには、現場は最強のチームになっています。
FILE 08. 現場所長 -現場のすべてを見渡す、司令塔-
どんな仕事?: 現場全体をまとめる責任者です。施工管理一人ひとりに仕事を割り振り、安全管理・予算・工程・品質のすべてに責任持つ、プロフェッショナルです。
得意技: 経験のすべてを使って、その場で判断を下す。
こんな時に頼れる!: 意匠図面に答えのない納まりを決める時。未経験な工程や品質の相談がある時。
忘れられないエピソード: 自分の判断で進めて失敗した時も、「こうすればカバーできる」とすぐに方法を示してくれた。
こんな存在: 失敗を責めるより次の一手を示してくれるから、迷ったら真っ先に相談したくなる存在です。
番外編. 心強い同期たち
得意技: 同じ目線で、遠慮なく話を聞いてくれる。
こんな時に頼れる!: 解らないことを、解らないと言いたい時。
忘れられないエピソード: 解らないことを相談したら「自分も同じところで悩んでいた」と返ってきて、気持ちが軽くなりました。
こんな存在: 何でも対等に話せる、いちばん近い相談相手です。
最後に
ここでは紹介しきれなかった専門業者を含め、約20社のプロたちをつなぎ、一つの建物を完成へ導く。それが施工管理の仕事です。その中で求められるコミュニケーション力において、大事なことは何でしょうか。
ひとつは、理由を添えて伝えること。ただ「いつまでにやってください」では、相手も動きにくいものです。今の作業が終わって、次の業者がここに入るから、この作業をこの日までに終わらせてもらいたい。理由があってはじめて、伝わります。
もうひとつは、言いづらいことほど早く伝えること。そして、素直に「解りません」と言えること。知ったかぶりをせず教えを乞えば、現場のプロは必ず答えてくれます。
会話が上手なだけでは、現場は動きません。相手が何のプロで、何を大事にしているのか。それを知ろうとする気持ちが、伝わる言葉をつくります。
岩本組が1現場1担当制を続けているのは、そのため。一人の現場監督が着工から竣工まで見守るからこそ、すべてのプロと深く関わることができ、次の現場で飛躍できます。
そうやって、知らないことを知る楽しみを経験してプロになっていきます。
あなたなら、その真ん中に立って、どんな言葉で現場をつないでいきますか。その答えを、岩本組の現場で探してみませんか?
