1930年創業以来、揚げたての天ぷらを最高の状態で提供し続け、多くの人々を魅了してきた天一。長年受け継がれてきた技とおもてなしの心を大切にしながら、現場では若手からベテランまでが一丸となり、日々技術を追求しています。今回は、天一の現場で活躍する若手社員に集まってもらい、現場で感じるリアルや自身の成長、そして天一ならではのこだわりについて語ってもらいました。
左から、
鈴木 陽也さん 2024年入社 町田調理専門学校出身 本店勤務
大西 奏多さん 2024年入社 辻調理師専門学校(大阪)出身 銀座三越店勤務
小林 靖邦さん 2023年入社 服部栄養専門学校出身 本店勤務
(以下敬称略)
銀座の老舗は「厳しい修行」の場?実際に働いて感じたギャップは?
小林:入社前は、正直「ひたすら天ぷらを揚げる仕事」だと思っていました。でも実際は、最高の状態でお出しするために、出汁取りから細かな仕込みまで、表からは見えない仕事が山ほどありました。それを先輩が一つひとつ、段階を追って丁寧に伝授してくれるんです。和食の世界は「見て覚えろ」が当たり前かと思えていましたが、想像以上に「丁寧に育てる文化」があることに驚きました。
大西:私が驚いたのは、天ぷら以外の「仕事の幅」ですね。前菜の盛り付けやフルーツのカットなど、カウンターでのお客様の体験をトータルで演出する。特に「切り物」は決められた形に整える必要があり、見た目の美しさも求められるので、最初は苦戦しましたが、先輩が隣で手元を見せながら根気強く教えてくれました。厳しい上下関係を覚悟していましたが、実際は手厚いサポートに救われる毎日です。
鈴木:私は、仕込みの「予測」の深さに圧倒されました。予約状況を見極め、ロスを出さず、かつ品切れもさせない。この繊細な調整こそが、90年以上続く信頼の裏側なんだと実感しています。
1年目と2年目。天一での1年を経て変わったことは?
小林:1年目は、魚のキスを捌く時にの身を崩しては落ち込む毎日でした。でも2年目になり、後輩に教える立場になって気づいたんです。「なぜ失敗するのか」を言語化することで、自分自身の理解も深まる。その中で、理解していることをどうすればうまく伝えられるのかに悩んだり、先輩に相談したりしながら説明も工夫しました。後輩が成長してくれると、自分も「揚げ場補助」という次のステージに集中できるようになりました。そうして、新しい仕事に挑戦できるようになり、今は自分の成長を実感しています。
大西:私は「時間の使い方」が変わりました。最初は自分の作業で精一杯でしたが、先輩から「時計を見て動くといい」と教わり、少しずつスピードが上がってきたことで、今では先輩から「次はこれをやってみよう」と言われることが増えました。周りから「成長したね」と声をかけられる瞬間は、とてもやりがいになります。
鈴木:私は「できることが増える喜び」を実感しています。最初は任された仕事を覚えるだけで必死でしたが、最近は仕込みを早く終えられるようになり、新しい業務に挑戦する機会が増えました。一歩ずつ、着実にプロへの階段を登っている実感がありますね。
多くの店舗を持つ天一。店舗ごとにはどんな違いがあるの?
小林:本店勤務だと、先輩に連れられて「豊洲市場」へ行き、素材の目利きを間近で学べる機会もあります。最高級の素材に触れ、その背景を知る経験は、料理人としての基準をグッと引き上げてくれます。
大西:私は今まで3店舗を経験しましたが、百貨店内の店舗と落ち着いた路面店では、客層が違えば、混む時間も違い、求められるやり方やスピード感も違います。最初は戸惑いましたが、それぞれの現場で異なる「一流の形」を吸収できるのは、多くの店舗を持つ天一ならではの特権ですね。
鈴木:もし環境に悩んでも「自分に合う店舗」を探せる選択肢がある。これは個人店にはない、大手老舗企業ならではの大きな安心感だと思います。自分らしく働ける場所を見つけやすい環境です。
天一のこだわりを肌で感じる瞬間はどんなとき?
小林:徹底しているのは、とにかく「清潔さ」です。天丼のタレが1滴飛んだら、その瞬間に拭く。後回しにしない。お客様の目の前で調理する「天ぷら」は、一挙手一投足が商品なんです。こうした清掃や気配りは調理スタッフだけでなく、サービススタッフも含めて店全体で徹底されていて、それが天一らしいおもてなしにつながっているのだと思います。
大西:営業中に「品切れ」を出さないための徹底した準備も、天一の誇りだと感じます。普段はお客様から見えない部分ですが、こうした丁寧な仕事の積み重ねが、お店全体の信頼につながっているのだと思います。
鈴木:普段から先輩に「見られる仕事だからこそ、一つひとつを丁寧に」と教わっています。挨拶や声の出し方もそうですね。「見られている仕事」という意識を調理スタッフもサービススタッフも全員が持っている。このピリッとした、でも心地よい緊張感が、お客様への最高のおもてなしに繋がっています。
調理師を目指す学生のみなさんへのメッセージ
小林:技術は天一に入れば必ず身につきます。だから学生のうちは、挨拶や返事といった「人としての基本」を当たり前にできるようにしてほしいですね。メリハリをつけて行動する習慣を意識しておくことが、将来につながると思います。
大西:ぜひ、一度お店に足を運んで、天一の「天ぷら」を食べてみてください。自分がそのカウンターの中に立っている姿を想像して、ワクワクできるかどうか。それが就職先を選ぶ一番のヒントになるはずです。
鈴木:明るく前向きな姿勢があれば、先輩たちは喜んで技を教えてくれます。最初から完璧を目指さず、まずは元気よく挨拶をすることから始めてみてください。皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています!
