設計を理解し、職人を導き、施主の信頼に応える。
そのすべての交点に立つ現場監督は、建築に“付加価値”を生み出す存在です。
今回は、京都で長年にわたり確かな家づくりを続ける老舗工務店の現場から、選ばれ続ける施工管理の本質を探ります。
そのすべての交点に立つ現場監督は、建築に“付加価値”を生み出す存在です。
今回は、京都で長年にわたり確かな家づくりを続ける老舗工務店の現場から、選ばれ続ける施工管理の本質を探ります。
【 目 次 】
▶ 施工管理の心得
▶ 付加価値を生む施工管理とは
▶ 付加価値を高める挑戦 -できない、と言わない現場力-
▶「対話」による現場管理 -良い家づくりは、良いチームから-
▶ 学生のみなさんへのメッセージ
【株式会社熊倉工務店】本社:京都市東山区
京都の街で120年以上の歴史を重ねる建築会社。和風建築および注文邸宅を中心に、新しい設計や素材にも柔軟に挑戦し、時代に合った住まいづくりを追求しています。職人や設計士と力を合わせ、住まう人の思いに寄り添った“温かみのある建築”を大切にしています。
・・・河嵜 博之 さん(工事係長)/ 京都建築専門学校卒業
施工管理の心得
施工管理の仕事は、大きくわけて3つあります。
まずは「工程管理」
竣工の期日は必ず決まっており、限られた期間で全体を計画的に進めることが基本です。
次に「品質管理」
色合いやおさまりなど細部まで丁寧に仕上げ、お客様に期待以上の品質を提供します。
竣工の期日は必ず決まっており、限られた期間で全体を計画的に進めることが基本です。
次に「品質管理」
色合いやおさまりなど細部まで丁寧に仕上げ、お客様に期待以上の品質を提供します。
そして「予算管理」
無限にお金を使える現場はないため、限られた予算の中で最良の結果を出すために、創意工夫することが求められます。
無限にお金を使える現場はないため、限られた予算の中で最良の結果を出すために、創意工夫することが求められます。
工程・品質・予算、この三つを常に意識しながら現場をまとめるのが施工管理の基本です。
付加価値を生む施工管理とは
当社では、設計事務所からご依頼をいただくケースが多くあります。施主様がまず設計士さんに相談され、設計がまとまった段階で「この工務店にお願いしよう」と選んでくださる。そこから私たちの出番です。
設計士さんが施主様の意図を図面に反映してくれるのですが、実際に現場に立つと、紙の上では気づけないことがいくつもあります。たとえば光の入り方や素材の質感、おさまりの見え方。形にするにあたって「もう少し高さを変えた方がきれいに見える」「この角度ならより自然だ」と感じたことは、率直に相談・提案を行います。
また、大きなビルの現場とは違い、個人住宅では施主様が現場を見に来られることも多く、リアルな声が私たちのもとに届きます。図面どおり、法令どおりに仕上げれば一応建物は完成しますが、それだけでは本当にいい家にはなりません。何気ない会話の中から、施主様がどう暮らしていきたいのかを感じ取り、施工ひとつにも工夫を凝らします。
その過程には、設計・監理者との密な連携が不可欠。誠実に調整を重ねることが、施主様、設計、職人をつなぐ施工管理者の大切な役割であり、信頼をつくる基本だと思っています。
その過程には、設計・監理者との密な連携が不可欠。誠実に調整を重ねることが、施主様、設計、職人をつなぐ施工管理者の大切な役割であり、信頼をつくる基本だと思っています。
付加価値を高める挑戦 -できない、と言わない現場力-
一世紀以上にわたり多様な邸宅を手掛けてきた熊倉工務店は、他社では難しいこだわりの案件にもとことん応えることを信条にしています。
世界的に著名な建築事務所とのお付き合いもあり、不可能と思われるような意匠図を受け取ることもありますが、決して「できない」とは言いません。家具や建具の木目をすべて揃えるという要望があれば、木材の選定や加工の段階から段取りを考え、現場で一枚ずつ木材を並べて板目の流れをぴたりと合わせる。そこまでやるのが、私たちの仕事です。
そして、それができるのは、これまでの挑戦によって積み上げてきた経験とノウハウがあるから。常に無理難題に応えていると、それが標準仕様になるんですね(笑) うまくいかないことに挑むには、多くの失敗(経験)をするわけですから、自然に自分の引き出しも増えていく。結果として多くのお客様に「期待以上の仕上がり」と喜んでいただけているのだと思います。
「対話」による現場管理 -良い家づくりは、良いチームから-
私は、いい家づくりは、いいチームによって生まれると思っています。その上で欠かせないのが、職人さん一人ひとりとの会話です。朝の立ち話やちょっとした雑談が、タイムリーな報告・連絡・相談の場となることも少なくありませんし、そうした小さな会話の積み重ねが、現場を安全に、スムーズに動かす力になります。
実は若いころ、ジョイントベンチャー(共同企業体)の現場に派遣され、大手ゼネコンの管理体制を経験したことがあります。そこでは明確な指揮命令体制が敷かれていて「確かに効率的だな」と思いましたが、職人さんの思いや現場の声が届きにくい環境に違和感を覚えました。
以来、私は“命令ではなく対話”を軸に現場をまとめるようにしています。施工管理者は、職人さんの率直な声、現場のリアルを最も近くで聞ける立場にいます。だからこそ、「聴く」手間を惜しんではいけない。一人ひとりの技量や性格を理解しながら、互いに気持ちよく仕事ができる環境を整えることが、現場のポテンシャルを最大限に引き出す施工管理の仕事だと思っています。
学生のみなさんへのメッセージ
施工管理の3つの柱である工程・品質・予算の管理は、大なり小なりすべての仕事に共通するものです。それらすべてを自分で管理し、手がけた仕事が形として残るやりがいは、きっとみなさんが想像する以上に大きいものです。この業界を志す若い方々には、その醍醐味をぜひ味わっていただきたい。そのために、できることは何でもしたいというのが、今の私の率直な思いです。
最初は知識がなくても大丈夫。お客様のために自分を変えていける素直さがあれば、必ず成長できます。一緒にいろんな住宅を手掛けながら、建築を楽しんでいきましょう。
