中川ショコラティエ コロンビアツアー研修レポートvol.03

株

株式会社パティシエ エス コヤマ

2025/09/30

6/17(火)|天候:曇り

本日は、小方さんですら足を踏み入れたことのない未踏の地、
**「バッホ・ミラ」**へ。
ミラ川下流域に点在する農村に、私たちの次なるカカオとの出会いを求めて向かいました。



そして、目的地へ辿り着く唯一の手段は——
モーターボート一択。

日本では想像できないことですが、道路が通っておらず、徒歩で港まで向かい、そこからボートに乗って川を遡るしかありません。
川の本流を抜け、地図にも載っていない支流を経由し、太平洋へと出て、再び川へ戻るという、まるで冒険のような道のりです。

マングローブが生い茂る川を進むなか、
ふとシェフが「今、海から川に入ったね」と一言。
見た目では境目は分かりません。理由を尋ねると、「潮の匂いが変わった」とのこと。
私にはその違いすら気づけませんでしたが、それは“気づけなかった”のではなく、“気にしていなかった”のだと気づかされました。

日々の仕事でも、材料や、生地の状態、スタッフの変化、商品の仕上がりやクオリティー。
意識しなければ、目の前にあっても気づけない。
見ようとしなければ、見えないのだと、心に深く残る瞬間でした。



⸻

約2時間、ボートに揺られたのち、霧雨の中ようやく目的地の村に到着。
最初に目に飛び込んできたのは、コロンビアの国旗カラー(黄・青・赤)のガーランド。
村全体に飾られたその光景は、まるで絵本の中のワンシーンのように鮮やかで可愛らしく、私たちを温かく迎えてくれました。

挨拶を済ませ、早速カカオ農園を視察。
この地域には約50の農村があり、2,500世帯のうち約700世帯がカカオ農家。
ここ、サントドミンゴ村にも50〜60世帯が暮らしており、川沿いの自然と共に生活を営んでいます。

特に印象的だったのは、カカオとカニが共生する農園の風景。
自然との共存を肌で感じることができました。

⸻

この地域でも他と同様に、高齢化や収益性の課題から、1990〜2000年代に導入が進められた
**クローンカカオ(CCN51やICS95)**への植え替えが一部で行われています。

これらは病気に強く、収量が多く、労力も抑えられるため、生活が懸かる農家にとっては現実的な選択肢です。

たとえば収量の比較は以下の通り:
・CCN51/ICS95: 約4トン/ヘクタール
・トゥマコのローカルカカオ: 約0.5トン/ヘクタール

一方で、この地域に昔からあるローカルカカオは、圧倒的に美味しい。
その魅力をあらためて体感するために、急遽生産者の方々とテイスティング会を開催することに。

⸻



カカオポッドを割って果肉(パルプ)を味わい、
その中の生の豆をガリっと噛んで、苦味と渋みを比較。

正直、豆だけでは「美味しい!」とは言えません。
けれど、この豆がパルプごと発酵・乾燥・焙煎されて
カカオマス、そしてチョコレートへと変わっていくわけですから、
この時点での味わいは無視できません。

小方さんは、生豆の味から完成品のチョコレートの味わいをイメージできるそうで…本当にすごい。

食べ比べてみると、
クローンカカオはややエグ味があり、苦味も強め。
一方、ローカルカカオは苦味がマイルドで、果肉のフルーティーさが際立つ透明感のある味わいでした。
苦味はチョコレートの味わいのボディーになるので無ければ良いというものではありませんが、
参加した生産者の皆さんも、ローカルカカオの美味しさに納得し、多くの手が挙がりました。

⸻



もちろん、すべてをローカルに切り替えることは現実的ではありません。
けれど、生産者の皆さんにとって「自分たちが育てているカカオが、こんなにも素晴らしい味を持っている」と再確認できたこと。
それは、今後の栽培に対する誇りや自信につながっていくのではと感じています。

限られた時間の中でしたが、とても濃く、豊かな体験となりました。
この地域のカカオに、またひとつ深い愛着が芽生えました。
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本社:兵庫県三田市ゆりのき台5丁目32-1

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