現代社会において、食を取り巻く環境は多くの課題を抱えています。
持続可能な社会を目指して、飲食業界でもSDGsへの取り組みを行っている企業が増えていますが、「ちょっと難しそう・・・」「ロスを減らすってこと?」など、実際の取り組みがいまいちわからない人も多いかもしれません。
持続可能な社会を目指して、飲食業界でもSDGsへの取り組みを行っている企業が増えていますが、「ちょっと難しそう・・・」「ロスを減らすってこと?」など、実際の取り組みがいまいちわからない人も多いかもしれません。
神戸に拠点を構える「情熱ダイニング」では、地域農業の未来と、食文化の豊かさを守る挑戦を行っています。今回は、池原晃喜社長に、情熱ダイニングのSDGsへの取り組みについて伺いました。
「もったいない」をなくす取り組み
情熱ダイニングでは1年前に、「ひょうご産業SDGs推進宣言・認証事業」への登録に向けて、
6名からなる社内プロジェクトチームを立ち上げました。これまで同社が行ってきたSDGsに関連する取り組みを整理し、成文化へ動き出しています。
そんな同社のSDGsへの取り組みの中核にあるのが、農業との共創。
10年以上前からJA兵庫六甲と連携し、「神戸もったいないプロジェクト」を推進しています。
これは、規格外野菜や個人農家の小ロット野菜など、流通に乗りにくい農産物を活用して料理を提供するという取り組みです。
見た目や流通規格にとらわれず、 “ちょっと曲がってるだけ”で市場に出せない野菜を農家さんから仕入れて、 お店でおいしい料理に変えるという、食材本来の価値を大切にする取り組みです。
見た目や流通規格にとらわれず、 “ちょっと曲がってるだけ”で市場に出せない野菜を農家さんから仕入れて、 お店でおいしい料理に変えるという、食材本来の価値を大切にする取り組みです。
情熱ダイニングの各店では、当日15時ごろに仕入れ状況が確定し、そこから献立を決定し調理をスタートします。まさに“素材ありき”の調理。
調理スタッフは、日々の仕入れにあわせてアレンジを加えながら、旬の味を最大限に引き出す工夫を凝らします。
たとえば、肉じゃがのニンジンですら、毎日仕入れられるという保証はありません。ニンジンがないときは赤ピーマンで代用するなど、素材の持ち味を活かす創意工夫は、情熱ダイニングの調理師の基本技術となります。
この取り組みは、料理人の創造力と技術を最大限に引き出す“舞台”でもあります。「これが届いたなら、こんな一皿にしてみよう!」腕の見せどころともいえます。
店舗で働く調理師の方は「農家の方々の思いに応えられるよう無駄なく使い切り、おいしくできるようにと考えています」と語ります。
神戸だからこそできる「地産地消」
同社では「地産地消」を大切にし、地域の活性化と一次産業の価値向上に強い思いを持っています。神戸は、実は農家がすごく多く、そのほとんどは兼業農家で、小規模多品目の生産をしています。農薬不使用というこだわりがある農家さんも多く、見た目やサイズの不揃いといった理由で流通にのりにくいという課題があることから、情熱ダイニングでは 20年以上前から農家と直接つながり、 「残った野菜でも全部引き取りますよ」と声をかけてきました。
それが現在の「神戸もったいないプロジェクト」につながったのです。
さらに、コロナ禍にスタートしたケータリング事業では、配達ついでに農家さんから廃棄野菜を受け取り、お店で使う調味料などに加工するといった、フードロス対策も行っています。
また、情熱ダイニングは、就労支援施設との連携も深めています。就労支援施設で働く方々が丹精込めて作った野菜のうち、販売しきれないものを情熱ダイニングがすべて引き受けています。これにより、施設で働く方々の収入向上を支援し、社会貢献にもつなげています。
「例えば夏場に冬野菜を使うとすると、ハウス栽培のものになります。そうすると光熱費や流通費用がかかる。旬のものを旬に食べることは、そういう環境負荷だけでなく、消費者にとっても安価で栄養価が高く、そのうえおいしいという利点があるんです」(池原社長)。
神戸の財産を活かし豊かな社会へ
池原社長は、阪神淡路大震災のときに料理人として神戸の現場にいました。神戸が復興していくなかで、池原社長は食の力を再認識し、そして神戸から飲食業を通して社会を豊かなものにしていきたいと感じました。
池原社長は、神戸の財産は、畑と街の距離が近いことだと語ります。生産地と消費地が密接していることから、政令指定都市でもトップクラスの自給自足率を誇ります。「ポキっと折ったばかりのトウモロコシの抜群の美味しさを味わえるのが神戸という町。それを守っていきたいんです」(池原社長)。
情熱ダイニングのSDGsは、「地元の農業を守りたい」というシンプルな想いから始まっています。単なる利益追求に留まらず、神戸という町から社会全体の食のあり方を豊かにするために先陣を切っていきたいという思いで、取り組んできました。
「日本では今、食の課題がさまざまに存在しますが、利己的な考え方ではなく、神戸の地の利を生かして“地球や自然にあわせた食の世界”を提案していきたい。未来から今の私たちを見たときに恥ずかしくないように、豊かな食文化を残していきたい」と池原社長は熱く語ります。
SDGsに向けた現場での取り組み
情熱ダイニングでは、具体的に以下のようなサスティナブルな取り組みを進めています。
・規格外野菜を活用した「神戸もったいないプロジェクト」
・野菜たっぷりの付き出しを提供
・かごに「今日の野菜」を盛りメニューをプレゼンテーション
・大豆を丸ごと使った美容豆乳(おからゼロでフードロス)
・神戸野菜スイーツ開発
・女性社員の活躍できる職場環境・女性役員の登用
・育休取得率100%(男性も取得実績あり)
・社内SDGs勉強会
・健康促進、働き方相談などサポート体制も充実
社長自身が現場出身であることから、人材育成にも熱心。「素直な人」を求め、「手をかけて育てる」姿勢を大切にしています。「食材ありきのメニュー作り、そして自在なアレンジと調理」ができる調理技術を身に付けるために、同社では、調理スタッフに対してまず1~2年目で下処理や基礎を徹底して学び、土台を身に付けます。その土台のもと、3年目以降に創作や商品開発に関わっていくという教育を行っています。
終わりに
すでに神戸ブランドの野菜を使ったスイーツ開発を新卒社員が担当するなど、若手の調理師にもチャンスがあり、SDGsの取り組みに参画することが可能な社風です。
現場で食と向き合いたい方、プロフェッショナルな調理技術を身に付けたい方、社会貢献に興味がある方にとって、情熱ダイニングは最高の学びと成長の場となるでしょう。
