星へのこだわりと追い求める理由
料理の世界は、実力がすべての厳しい世界です。私自身、その厳しさと果てしない探求の魅力に惹かれ、この道を選びました。
「もっと良いものを提供できるのではないか?」という問いを常に自分に投げかけながら、日々店を切り盛りしています。料理の技術を磨き、お客様の声に耳を傾けながらも、自分の信念を貫くことが何より大切です。流されることなく、地道な努力を積み重ねることが、最終的に良い結果を生み出すと信じています。
当店は「ミシュランガイド東京2021」「ミシュランガイド東京2022」にて2年連続で一つ星を獲得しました。現在、再びその評価を得ることを目指し、さらには三つ星獲得を視野に入れ、日々研鑽を重ねています。星の獲得は、私個人の目標であると同時に、スタッフのモチベーションや自信へとつながるものです。また、「寿こう出身」という経歴が、将来の財産となるよう、店のブランド力を高めることも重要だと考えています。
料理だけではない本質的な価値向上を目指す
星の獲得は、料理の味だけで実現するものではありません。空間づくり、サービス、価格設定など、あらゆる要素が調和して初めて、お客様に最高の体験を提供できるのです。
当店では、特に素材選びや器の選定に細部までこだわり、品質を追求しています。現在、さらに向上させたいと考えているのは「サービス」と「雰囲気」です。お客様に寄り添い、温度管理や細やかな気配りを徹底することはもちろん、高価格帯でありながらも、肩の力を抜いて楽しめる和やかな空間を目指しています。忙しい時でも、スタッフが自然な笑顔でお客様を迎え入れられる雰囲気を大切にしたいと考えています。
日々の指導で大切にしていること
スタッフが成長できる環境を整えることも、私たちの重要な役割です。一見、同じ作業の繰り返しに思えても、料理の現場では日々小さな変化があり、それを感じ取り、先を考えて動けるかどうかが、本当の成長につながります。
また、仕事においては「真面目さ」が何より大切だと考えています。人間の集中力には限界があるため、ただがむしゃらに働くのではなく、効率的に生産性を上げることが重要です。そして、何よりも忘れてはならないのが、食材への敬意。生産者が丹精込めて作った食材を無駄にせず、最大限に活かすことが料理人の使命であり、その意識を常に持つよう指導しています。
新しいスタッフが入ったとき、先輩たちが私の言葉を自然に受け継ぎ、指導できる環境ができていると実感すると、大きな喜びを感じます。
また、寿こうでは昼と夜の2回、全員で賄いを共にする時間を設けています。ただの食事ではなく、チームとしての絆を深め、互いの成長を支え合う大切な時間です。スタッフは「血のつながらない家族」のような存在。だからこそ、単なる仲良しグループではなく、適度な距離感とメリハリを持ち、良いことも悪いことも率直に伝え合える環境を大切にしています。
スタッフの将来のために
寿こうでは、独立を目指すスタッフを全力で応援しています。将来どこへ行っても即戦力として活躍できるよう、技術だけでなく、仕入れや原価計算、メニュー構成など経営の視点も学べる環境を整えています。
例えば、10年間ともに歩んできたスタッフが独立を考えた場合、グループ内で店舗を任せる形や、経営権を譲渡し、自由な運営ができる仕組みも視野に入れています。独立には経営や数字の知識が不可欠ですが、グループ内で経験を積めば、リスクを抑えつつ経営スキルを磨くことができます。一定の売上を超えた分は本人の収益に反映させるなど、モチベーションを高める仕組みも構築していく考えです。
また、私は飲食業界の「低賃金・長時間労働が当たり前」というイメージを変える必要があると強く感じています。すべての人が同じ働き方を求めるわけではありません。収入を重視する人もいれば、休みを大切にしたい人もいるでしょう。だからこそ、一人ひとりの理想の働き方に寄り添い、それを実現できる環境を整えていきます。
