奈良県で人気を誇る『キャパトル』は、昭和25年の創業以来、地元の人々に愛され続けているベーカリーです。
地産地消、焼きたての提供、独自の製法など、常に挑戦を続けながら「毎日食べたい美味しさ」を追求しています。
地産地消、焼きたての提供、独自の製法など、常に挑戦を続けながら「毎日食べたい美味しさ」を追求しています。
今回は「街のパン屋さん」としてのこだわりに加え、お店の特徴のひとつである「自家製酵母パン」についてお話を伺いました。
【キャパトルイシイ株式会社/有限会社石窯パン工房キャパトル】
昭和25年創業、奈良県に拠点を置くベーカリーです。良質な小麦粉から生地を捏ね上げる焼きたての手作りパンにこだわり、現在は奈良・京都・大阪に9店舗を展開しています。
(左)部長 伴野国弘 氏 / この道40年のベテラン、一グラムの差を見極める手の持ち主。いま夢中になっているのは、史上最高のメロンパンづくり。
名を知られないパン屋から、誇りを持てるブランドへ
「キャパトルイシイは小さな飲食店から出発し、学校給食、卸業と事業を拡大してきました。パン屋としては、大手スーパーのインストアベーカリー(スーパー店内の常設パン屋)として20店舗以上を展開していたのですが、その形態では私たちのブランド名が表に出ることはなく、地元の人々にもパン屋としての「キャパトルイシイ」の名はほとんど知られていないのが実情でした。
三代目として会社に入った私(石井)は、自分たちがつくっているパンを地元の友人すら知らないということがとても悔しく、次第に『これはうちの会社のパンだよ』と堂々と言えるブランドにしたい、との思いが募っていきました。このことが、やがてインストア展開から自社ブランドの確立へと舵を切るきっかけとなりました」
ブレない信念「毎日食べても飽きないパンを追求する」
「美味しさの定義は人それぞれ違いますが、私たちが求めるのは“毎日食べても飽きない味”です。トレンドや最新の技術を学びながらも、できるだけシンプルな素材と製法にこだわっており、価格もお客様が無理なく手に取れる設定で提供を続けています。
また、一店舗一工場主義も、先代から受け継がれる理念のひとつ。パン作りのすべてを店舗ごとに完結させることで、常に焼きたての美味しさを提供することが可能になっています。地域密着の街のベーカリーだからこそ、お客様の日々の暮らしに寄り添ったパン作り、お店づくりを大切に、『この街にキャパトルがあってよかった』と思っていただける存在を目指しています」
こだわりの製法 〜自家培養した酵母菌を活かしたパン作り
「私たちのパン作りの特徴のひとつに『酵母菌の自家培養』があります。キャパトルではすべてのパンに、さまざまな試行錯誤のうえ辿り着いたオリジナルの『ルヴァン種』を使用しています」
~ルヴァン種とは~
小麦やライ麦に含まれる天然の酵母や乳酸菌を利用して発酵させた、天然酵母の一種。フランス語で「発酵」を意味し、パン作りに使うことで深い香りや風味、しっとりした食感が生まれるのが特徴。
「天然酵母パンとは、イースト菌ではなく、自然界に存在する酵母菌を使って発酵させたパンを指します。時間をかけて発酵させることで生まれる、独特の風味と深みのある味わいが特徴のひとつ。イースト菌に比べると発酵に時間がかかりますが、香りや食感が豊かになります」
~酵母菌とイースト菌の特徴~
・酵母菌(天然酵母): 小麦や果物など自然界に存在する微生物を育てたもの。発酵に時間がかかる。奥深い風味や香り、しっとりした仕上がり。
・イースト菌(パン酵母): 発酵を安定させるために酵母菌の一種を純粋培養したもの。発酵が速く、ふんわりとした食感、均一な仕上がり。
「キャパトルではこのように、じっくり仕込んだパンを石窯で丁寧に焼き上げ、より深い味わいと豊かな香りを引き出しています。仕込みにはしっかり時間をかけ、営業中は常に焼き立てを提供し、ライブ感を演出することで、お客様に最もおいしい状態のパンをお届けできるよう努めています」
学生さんへのメッセージ
「私は“家業だから”という理由でこの道に入りましたが、一生懸命続けるうちにその奥深さや魅力を知り、パン作りが大好きになりました。好きな仕事だから頑張れたのではなくて、頑張るうちに気付けば“好き”になっていたのです。どんな仕事でも努力を続けていれば、きっと本当の面白さに出会えるはず。まずは目の前の仕事に一生懸命取り組んでみてください。そしてパン作りの楽しさを共に味わいましょう」(石井氏)
「パン作りの一番の喜びは、お客さまからの「ありがとう」という言葉です。その一言で、どんなに大変でも頑張ることができます。何十年とパンをつくってきましたが、これからももっと、美味しいパンをつくっていきたいですね。みなさんと大好きなパンについて語り合えることを楽しみにしています」(伴野氏)
