会社の経営理念やビジョン、価値観や今後の方向性などを社員に伝える場合、ある程度の企業規模になれば役員・上司との定期的な面談をはじめ、社長・経営陣からのトップメッセージや社員総会等を通じて発信するケースが多いと思います。
しかし今回ご紹介するのは、社員400名超規模の社長自らほぼ毎週、社員との食事会を開催することで、もっと近い距離で腹を割って話せる場を設けている事例です。
食事会の目的や実際のやり取りを社長自らの言葉で語っていただくことで、食事会だからこそできるメリットを探ってみたいと思います。
【お話を伺ったのは・・・】
株式会社ワンダーテーブル
国内外で豊かな食卓を提供し、人と人との絆をつなぐことに貢献することを目指して「オリジナルブランドと世界から誘致したライセンスブランドを展開するレストラン事業」「海外で当社のオリジナルブランドを展開する海外事業」をそれぞれ展開。
多種多様なブランド展開を通じて、質の高いダイニングカルチャーを国内外に発信している。
多種多様なブランド展開を通じて、質の高いダイニングカルチャーを国内外に発信している。
【インタビューにご協力いただいた方】
河野博明
株式会社ワンダーテーブル
代表取締役社長/CEO
「トップディナー」という、社長×10名の食事会を1年間で42回実施
株式会社ワンダーテーブルでは長年、経営陣と社員と食事を共にする会を継続して開いていました。
そのスタイルをさらに発展させる形で2025年度、新たに「トップディナー」という食事会を開催することになったそうです。
河野さん
「トップディナーは1回あたり10名の社員と私が、当社店舗で食事を開催します。トップディナー開催の目的は主に2つ。
一つは当社のビジョンである「豊かな食卓を広げ、大切な人との絆を深めてもらう。」を全社員に実体験してもらうことで、さらなる理念の浸透を図ることです。
そしてもう一つが社長と直接、ひざを突き合わせて、お酒を飲みながらより近い距離で何でも話せる場を設けることで、普段経営陣がどんなことを考えているのかを知ってもらう場にしたかったからです。
またトップディナーでは参加者がメニューを考え、調理することから社員のメニュー開発能力を底上げしたい、という思いもあります」
この1年間で42回開催したことによって400名以上の全社員と直接、ほぼ毎週のように様々な話をしてきたといいます。
3時間ですぐに打ち解けて、話が脱線することも度々
トップディナーの大まかな流れとして
▼自己紹介:一人ひとりが趣味や推しなどについて簡単に紹介
▼テーマトーク:「人生で心に残ったレストラン」「人と人の距離がぐっと縮まった食体験」など、毎回社長がテーマを設定してエピソードトークする
▼今回の総括
といった形で1回あたり約3時間行うそうです。
河野さん
「最初の自己紹介の段階ですでに雰囲気がほぐれていて、その後も年齢や立場関係なく、気さくになんでも質問したりしています。私も役職で呼ばれることがなく、さん付けで社員からかなり突っ込んだ質問を受けることも(笑)。
途中、テーマから脱線して『最近肉離れしちゃって…』『メダカを飼っていて…』『○○のアニメがとにかく好きで…』といったように、どんなテーマも自由に話して盛り上がっています」
「同じ釜の飯を食べる」ことで貴重な時間を共有できる
日々多忙を極める河野さんがこれだけの時間と労力を割いてトップディナーを開催するのは、なぜなのでしょうか?
その最大の理由について、河野さんは「同じ釜の飯を食べるからこそ生まれる、貴重な時間の共有」に大きな価値があるといいます。
河野さん
「初対面の人同士が同じ体験を共有することによって、早く一体感や共感を得られるメリットがあります。特に食事の場合、特定の趣味やスポーツの一緒にするよりも全人類共通で話題にできるテーマであるため、食事をした時の味や食感、盛り付けなどに関して誰もが自由に感想を言いやすい。
私たちは食をテーマにした事業を運営しているので、食事を通じて調理してくれた人に対するリスペクトが生まれたり、他者に対する思いやりやホスピタリティ精神が生まれることも、このトップディナーを全社員参加で継続する意義があると思っています」
食事をする・体験することが、豊かな食卓を広げたり、大切な人との絆を深める
またトップディナーを開催する理由の一つとして、全社員に対して「ワンダーテーブルならではの価値」に対する理解をさらに深めたり、再発見してほしい、という河野さんの願いがあります。
河野さん
「特に当社が展開するレストランは高単価の店が多いため、社員といえど気軽に店で食事をする機会が限られています。
だからこそこうしたトップディナーのような場を設けることで、お客様の立場や視点で同じ仲間たちと食事を楽しんだり、楽しいひと時を共有する体験をしてほしいと思っています。
ここでの体験が翌日以降、社員それぞれの仕事に対する向き合い方や取り組みに少しでも好影響が生まれたら、という願いを持って今後も私の体がもつ限り(笑)、開催していく方針です」
理念に対するさらなる共感と、ホスピタリティを持つ人材の育成
トップディナーでは毎回、短時間で参加者全員が打ち解けるといいます。
その理由を探ってみると、ワンダーテーブルに入社した時点ですでに同社が掲げるビジョンである、「豊かな食卓を広げ、大切な人との絆を深めてもらう。」に対する共感度が高いことが挙げられます。
同じ価値観・目的を持って入社している同志だからこそ、食事の時間を大切にする意識が高かったり、自然と相手に対して気遣いができる「ホスピタリティ精神」を持っていることで、すぐに打ち解けることができるのかもしれません。
今後、ワンダーテーブルは5年後に事業規模を2倍にする目標を掲げていることから、さらに多くの仲間を迎い入れていくといいます。
今回ご紹介したトップディナーをはじめ、社長・経営陣と社員との交流の場を設けることで理念に対する理解度をさらに深めたり、他者に対するホスピタリティを高めていくそうです。
