結婚式場やメモリアルホールは、人生の大切な節目を支える場所です。
そしてその建築には、一般的な建物とは異なる視点や配慮が求められます。
今回は、人の想いに寄り添う空間を、設計、施工からアフターフォローまで一貫して手がける「北斗工業エンヂニアリング株式会社」の先輩たちに、施工管理の役割や特殊建築の現場のリアルをお聞きしました。
左から・・・
足立さん (入社歴22年)
徳田さん (入社歴1年)
鈴木さん (入社歴6年)
足立さん (入社歴22年)
徳田さん (入社歴1年)
鈴木さん (入社歴6年)
現場を動かす施工管理は、オーケストラの指揮者
―― 皆さんは、入社前、施工管理にどんなイメージを持っていましたか?
徳田:
私は異業種からの転職だったので、最初は「ヘルメットをかぶって職人さんに指示を出す仕事」というイメージでした。実際には、それ以上にお客様や業者さんとコミュニケーションを取りながら、建物を完成に導く仕事だと感じています。
鈴木:
私は建物が形になっていく過程に関わりたくて、施工管理を選びました。職人さんは、専門の工事を終えると次の現場へ移りますが、この会社の施工管理は、着工から完成までずっと一つの現場に関われます。「自分がこの建物をつくった」という実感が持てますね。
足立:
正直、泥臭くて、体力勝負、怖い人が多そうだと思っていたので、自分に務まるか不安でしたね。でも実際は、人・モノ・時間を動かす『超頭脳派のマネジメント職』でした。何百人の職人さんが一斉に入っても、全体がスムーズに動くよう調整する。怒鳴る必要なんかなくて、むしろ「現場の環境を整えるおもてなしの仕事」だと思います。
冠婚葬祭、人生の大切な一日を支える建築
―― 御社では、結婚式場やメモリアルホールを数多く手がけています。施工管理の上で、一般的な建物との違いはありますか?
鈴木:
鈴木:
どちらも「非日常の空間」なので、お客様のこだわりも強く、色や素材のわずかな違いまで大切にしています。カタログだけでは完成した時の印象が分かりにくいため、実物のサンプルを用意し、「これは壁」「これは扉」と一つずつ並べながら、完成後の空間をイメージしていただくこともあります。
足立:
メモリアルホールは、地域によって葬儀の形が違うんです。参列者の座り方一つをとっても、祭壇に正面を向く地域もあれば、横向きや扇状に座るところもあります。それによって、スクリーンや照明の位置も変わります。
また、隣の部屋の読経が漏れないような「高い防音性」も必須です。哀悼の時間を技術で守るため、壁の遮音材は隙間ひとつなく施工する。さらに、線香の煙がまっすぐ上がるよう換気設備を配置したり、空調の風が祭壇の花にあたらないようにしたり、細かな配慮も必要です。
徳田:
徳田:
営業中のメモリアルホールの改修では、大きな音を立てない、利用者の方と会わないようにするといった配慮が必要で、同じ施工管理でも、現場によって気をつけることが全く違うんだと感じています。
―― 利用する人からは見えないところにも、さまざまな工夫があるんですね。
足立:
結婚式場は華やかな表の空間に意識が向きますが、式の前に、新郎新婦がゲストと鉢合わせしないための「裏動線」も、特徴的な施工だと思います。お客様からすれば、できるだけ客席や設備にスペースを使いたい。しかし、特別な一日を演出するには、見えない場所にも必要な空間があるんです。設計図のとおりではなく、現場で改めてそのスペースを検討・確保することも多々あります。
目の前の仕事から、現場全体、そして人を育てる仕事へ
―― 経験を積むにつれ、仕事の内容は変わっていきますか?
足立:
大きく変わりましたね。最初の5年くらいは、目の前の仕事を覚えることに必死だと思いますが、その後は工程や予算のことも考えるようになり、責任が大きくなります。経験や視点が『点』から『面』になり、そして今は「その建物が使われる未来」まで見えるようになりました。さらに、若手をどう育てるかということも、大事な仕事の一つですね。
鈴木:
最初は、任された仕事をこなすことで精いっぱいでした。その中でも意識してきたのは、人任せにせず、まず自分で考えて動くことです。今は、一つの現場を任せてもらうことも増え、最初から最後までいかにスムーズに進められるかを日々考えています。
徳田:
私は分からないことばかりなので、職人さんや先輩にできるだけ質問するようにしています。壁を張れば見えなくなる部分も、「なぜこれをするのか」「これをすると次にどうなるのか」まで知りたいと思っています。
足立:
若いうちは、分からないことを遠慮せず聞いた方がいいですね。最初の3年なら、知らなくて当たり前。そこで恥ずかしがったり、抱え込んだりせず、聞ける人の方が成長は早いです。気負わずにいきましょう。
「心」に直結する建築をしてみませんか?
―― 最後に、学生のみなさんへメッセージをお願いします。
足立・鈴木・徳田:
冠婚葬祭という人の心に深く関わる建築を手がけるやりがいは格別です。完成後、インターネットの口コミで「きれいな会場でした」という言葉を見つけると嬉しくなりますし、自分が手がけた結婚式場で知人の挙式に出席した時は、「この人たちの一生の思い出に残る場所をつくったんだ」と、言葉にならない感動を味わえます。
施工管理は、現場を動かすために頭を使い続ける仕事。プレッシャーもありますが、更地だった場所に建物が立ち上がり、人々が大切な時間を過ごす姿を見られるのは、この仕事ならではの特権です。みなさんと一緒に、現場で熱い仕事ができる日を楽しみにしています!
