夜11時を過ぎると、駅のホームから少しずつ人の姿が消えていきます。
「まもなく本日の最終列車が参ります。これ以降の電車はございません。お乗り遅れのないよう、ご注意ください。」
そんなアナウンスが流れ、最後の電車が走り去ると、駅は静かな場所になります。
でも、その時間から仕事を始める人たちがいます。それが、線路を守る「軌道工事」の“職人”たち。
私たちが眠っている間、そして電車が車庫に入っている間、深夜の線路ではどんな仕事が行われているのでしょうか。
そんな“深夜の線路”の様子を、軌道工事に携わる大阪府吹田市にある総合建設会社「田中組」のみなさんにお聞きしてみました。
<田中組とは?> 創業70年以上の歴史を持つ田中組は、軌道工事・土木工事・建築工事・上下水道工事などを手掛ける総合建設会社です。 阪急・阪神などの鉄道インフラや公共工事を数多く担い、地域の暮らしを支える重要な社会基盤づくりに貢献。 災害時の緊急対応体制も整え、「人々のくらしを支える」という使命を大切に、 確かな技術と誠実な施工で安定基盤を築いている会社です。
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線路工事が最も多く行われるのはいつでしょう?
毎日、必ずといっていいほど行われている線路内の工事や点検作業。
これら作業が実施されるのは、どの時間帯が多いと思いますか?
これら作業が実施されるのは、どの時間帯が多いと思いますか?
① 朝5時ごろ(明るくなり始めてから)
② 昼間
③ 終電から始発までの間
正解は……
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③ 終電から始発までの間
③ 終電から始発までの間
です。
おそらく大半の方が正解だったのではないでしょうか?電車が走っている時間に大規模な工事をすると、たくさんの人の通勤や通学に影響が出てしまいます。そもそも、電車が行き交う時間は、危険も伴います。そのため、多くの工事は終電が出発してから始発電車が動き出すまでの数時間で行われます。
しかし、ここで一つ驚きの事実があります。
実は、作業時間は意外と短いのです。
…というのも、終電が出てすぐに作業できるわけではありません。電気を止めたり、安全確認をしたりする時間も必要です。
そして始発が走る前には、必ず線路を元どおりに戻さなければなりません。
例えば阪急電鉄神戸線の大阪梅田駅の平日の始発は5:00で最終電車は0:10。
この4時間50分の間に全て完了する必要があります。
ということは、実際に作業できる時間はわずか数時間。
現場やその日の作業内容によっては1時間ほどで終わることもあれば、朝4時ギリギリまで作業が続くこともあります。限られた時間で確実に仕事を終わらせる必要がある…そんな緊張感がある、軌道工事の世界なのです。
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「短時間で勝負する」プロの現場!
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皆さんは、「夜間の工事」と聞くと大変そうなイメージを持つかもしれません。もちろん、多くの人が眠りについている夜中に働くことは簡単ではありません。
しかし、現場の人たちはこう話します。
「終わりの時間が決まっているから、みんな集中力がすごい。」
例えば、一般的な工事だけでなく、仕事をする上で「残業」が発生することは少なくないでしょう。
でも、鉄道工事ではそうはいきません。
何故なら、始発電車は待ってくれないから。
「予定の作業が終わってないから、あと30分延長しよう」
なんてことは絶対にできません。
だからこそ、作業前の準備がとても重要。
誰がどの作業を担当するのか。
どの順番で進めるのか。
万が一トラブルが起きたらどうするのか。
…etc
細かく打ち合わせをし、作業内容や手順を確認をしたうえで、現場へ向かいます。
新人スタッフがいれば尚のこと。何をするのか、誰がサポートをするのかも決めた上で、現場に向かいます。チーム全員で一つの仕事を、短時間に集中して完成を目指す。それが線路工事の大きな特徴です。
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新人スタッフがいれば尚のこと。何をするのか、誰がサポートをするのかも決めた上で、現場に向かいます。チーム全員で一つの仕事を、短時間に集中して完成を目指す。それが線路工事の大きな特徴です。
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一晩で線路を切り替える!軌道工事ならではの「一大イベント」!
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線路の工事には軌道工事や架線工事など様々な工事がありますが、「線路」に関わる全ての人たちが大規模なチームを組み、完成を目指す一大プロジェクトが存在します。
新たな線路を造る工事もその一つですが、それ以上ともいえる規模や難易度の高い工事…それが「高架切り替え工事」です。
高架切り替え工事とは、地上を走っていた電車を、新しく完成した高架へ切り替える工事のことです。工事全体の期間は10年・20年…とかかるもの。ですが、昨日まで走っていた電車を、同じ時刻に新しく高架橋に造られた線路に走らせるのは、一晩で行われるのです。
何年もかけて準備した新しい線路へ、一晩でつなぎ替える瞬間の現場には100人以上の作業員や監督が集まり、安全に走行できることを確認。無事、電車が走る様子に一斉に拍手が起こります!
そして始発電車が駅に到着…利用者は、真新しい駅のホームに立ち、何事もなかったように新しい線路の上を走る電車に乗ります。
昨日まで地上を走っていた電車が、今日は高架の上を走っている。
知らない人から見ると、「いつの間に?」と思うような出来事ですが、その裏側では、多くの人が力を合わせ、大きな仕事を成し遂げているのです。
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なぜ線路にこんな物が!?…実は“アイツ”のしわざ!
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工事をしていると、思わぬものを発見することがあります。その中でも頻繁に発見することがあるのが「ハンガー」。そう、服をかけるアレのことです。
その大半は針金タイプのもの。
しかし、線路の中には、一般の人が立ち入ることはできません。なのに何故こんなことが起こるのか。
実はその犯人(?)はカラスなんです。
カラスが巣づくりのために集めている材料に、一般の家の物干し竿に掛けたままにしている「ハンガー」を盗んでくることが。線路内の電柱に巣をつくることもあり、その時の落し物がこのハンガーなのです。
また足元を見ると、バラストの石がところどころ山になっていたり、少し穴になっている箇所も。
実はそれもカラスがバラストの石を動かして、エサを隠していることもあるんです。
もちろん、こうした異物も安全運行に影響する可能性もあるので、点検時にしっかりチェック・除去するのも現場作業員の隠れた仕事のひとつ。
何気なく目にする線路内には、一般の人が気付かない、知られざる秘密もあるのです…。
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始発電車が走る直前。安心感と共に、その日の仕事が終わる。
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この日の作業時間は3時間ほど。予定していた作業が終わり、道具や部品が残っていないかしっかりと確認。空が少しずつ明るくなり始める頃、その日最初の「始発電車」が駅に向かいます。
線路から離れて整備した線路を眺めると、電車が走っていく姿が。
その瞬間、現場には大きな安心感と達成感が生まれます。
「無事に終わった!」
「今日も電車が走ってくれてるな。」
その様子を見届けられるのが、線路工事の仕事のやりがいです。
利用者から直接「ありがとう」と言われることはないかもしれません。
線路工事の仕事は、決して目立つ仕事ではありませんが、人々の暮らしを支える大切な仕事。言い換えれば、毎日のように電車が一日中、安全に走っていることが自分たちの仕事の成果。
