株式会社堺工務店は、1989年の創業以来、堺市を拠点に地域に根ざした建築を手がけてきました。
創業以来無借金経営を続ける安定した基盤のもと、木造建築を中心に公共工事や商業建築まで、幅広い分野に対応しています。
創業以来無借金経営を続ける安定した基盤のもと、木造建築を中心に公共工事や商業建築まで、幅広い分野に対応しています。
多彩な現場を通じて元請業として責任ある仕事に取り組む中で、社員一人ひとりが確かな成長を遂げられる環境が整っているのも特長のひとつです。
今回は、会社を支える経営トップと、現場の第一線で活躍する社員に、建築の魅力や仕事のやりがいについて語っていただきました。
お話を伺った人左から ・工事係長 春木紳司/2012年4月入社 大阪デジタルテクノ専門学校卒 ・常務取締役 大矢高弘/1996年4月入社 大阪工業技術専門学校卒 ・代表取締役社長 藪内公生/2017年入社 大阪工業大学卒 ・代表取締役会長 藪内粧市郎/大阪府立今宮工業高校(現:大阪府立今宮工科高等学校)卒 ・顧問 富平修司/2020年入社 同志社大学卒 ![]()
入社のきっかけを教えてください。(以下、敬称略)
大矢「僕は会社訪問がきっかけです。地元で仕事を探していたときに求人票を見つけて、連絡しました。会社訪問で作品を見てもらったら、『ここまで書けるなら、来るか?やっていけるわ、大丈夫や』と言っていただき、その場で内定をいただきました。」
会長「その時のことは覚えています。大矢くんの建築への熱い思いが伝わったし、創造する力が作品にしっかり表れていたからね。その場で、冬休みにバイトをするなら、うちでして建築を学んでみないかと誘ったね。」
大矢「はい。そのとき指導してくれたのが社長でした。堺市にあるパンジョ(商業施設)にクリニックを作る仕事に一緒に行って、現場で手元(手伝い)をしましたね。」
社長「学生時代からバイトをしていたんです。もう30年前になるなあ。」
春木「僕は紹介からです。面談当日に『作業服貸すから、できるか?』と(笑) そのまま現場に連れて行ってもらいました。僕も『明日何してるんや?』『学校終わったんで休みです』『ほな明日もおいで』って(笑)」
会長「そう、覚えてるよ。相手の目線に自然と合わせられるという優しさを持った珍しい子、という印象やったね。」
会長の決断力がすごいですね。お二人の光るものを見抜かれたのでしょう。それぞれ印象的な現場エピソードを教えてください。
大矢「僕は一番の古株なので、会長と一緒に多くの現場を経験しました。特に印象に残っているのは、『かき豊』(堺市中区の牡蠣料理店)や、今春木くんが改修工事を担当している熊取町の物件です。当時の同僚が新築担当で、横でずっと話を聞いていて、大規模な案件をうらやましく思ったのを覚えています。『かき豊』では、バイト時代に竣工間近の現場に行き、会長に庭の三和土(たたき)の施工を実演してもらったんです。和風の建物ですが、鉄骨RCの構造も取り入れたハイブリッドな設計でした。新築=すべて新品と思い込んでいたので、古い建具や金物、古瓦を活かす手法があるんだと学びましたね。今でこそSDGsと言われますが、うちは30年前からやっていたんですよね。」
会長「『佐助(堺市の鋏鍛冶屋)』も印象的やったね。2017年の台風で屋根が壊れてしまった。でも、古い建物の修繕には専門的な知識が必要だから対応できる業者がなかなか見つからなかったそうで。」
大矢「瓦の割り方や納め方を理解していないと、雨漏りや建物の雰囲気が損なわれてしまいます。うちは伝統建築からモダンな建築まで幅広く対応していてノウハウがあるので、安心してお任せくださいと引き受けました。」
会長「大矢くんも春木くんも、もう立派に現場を任せられるようになりました。むしろ私のほうが教えてもらうことが多いくらいですよ。」
春木「僕は入社1年目で初めてリフォーム案件の見積もりから携わったんです。職人さんから『こんなやり方ではできないよ』と言われ、そのまま工法を決めてしまいました。当時はコスト意識が全くなく、請求段階で見積もりを大きく超えてしまったんです。そこから、現場を動かすにはお金の管理が必要だと強く意識するようになりました。」
春木「僕は入社1年目で初めてリフォーム案件の見積もりから携わったんです。職人さんから『こんなやり方ではできないよ』と言われ、そのまま工法を決めてしまいました。当時はコスト意識が全くなく、請求段階で見積もりを大きく超えてしまったんです。そこから、現場を動かすにはお金の管理が必要だと強く意識するようになりました。」
社長「本来は工事に入る前の段階で調整するべきやね。まだ着工していなければ、ダメなら断れるし損もしない。でも工事が始まってしまったら、もう引き返せない。当時はコスト意識がなかったから、相談すらしなかったんやろうね。」
会長「春木くんは優しいから、職人さんの目線に立って話をよく聞いていた。でも監督の仕事は手伝いではなく指示を出すこと。その切り替えに時間がかかったんやろうね。でも、ある時から監督の役割を理解し始めて、見違えるように成長した。結果的に今では立派な監督になって、設計士や施主とも技術者としてしっかり向き合ってくれている。もうフォローすることもなく、逆に教えてもらうことの方が多いくらいや。」
大矢「当社は1人が1現場を責任を持って担当するスタイルです。若手は最初誰かに付いて学びますが、数年経ったら徐々に独り立ちしていく。その積み重ねの中で、ある日突然『現場監督スイッチ』が入るんです。それまでは苦労の連続ですね。」
社長「だいたい10年はかかるよね。」
大矢「僕は地域会館の防水改修工事で大失敗しました。10年目くらいのときです。会長にフォローしてもらいながら担当しましたが、工事の際に部屋中のドレン(雨水を排水する部分)をすべて外してしまった。ところが、そのドレンは屋内から屋外に水を蹴り出す仕組みだったので、取り外したら雨水が直接室内に落ちる状態になってしまったんです。すると、その日の夕方にゲリラ豪雨が来て、集会室の床が水浸しになってしまったんです。」
社長「本来なら仮設の排水処理を設置するべきだった。経験のある人なら『お前、こんな状態で放置したらダメやぞ』とフォローできたはず。でも当時は経験がなかったし、フォローしてくれる人もいなかった。致命傷にならなくてよかったけど。」
会長・大矢「いや、致命傷!」
社長「そうやったんか(笑) 新築と改修では工事のやり方が全然違う。これは学校では習わないし、実際に経験しないとわからないことやね。」
会長「彼の人柄もあって、地域の役員の方々がフォローしてくれました。大矢くん自身も責任を強く感じて、最後までやり遂げた。その経験が彼を大きく成長させたんやと思います。」
御社の強みや環境を教えてください。
社長「4~5年前から大手銀行のご依頼をいただくなど、事業幅が広がりました。私が前職で関わっていた銀行から、当社に戻ってきた際に声をかけていただいたんです。前職との関係から紆余曲折がありましたが、正式にご依頼いただけることになった。こうしたご縁を大切にしながら仕事をしています。」
会長「当社は、創業以来黒字経営を続けていて社員に株を持ってもらっているという安定感がある。お客様も大手銀行やハイグレード物件を希望されるような方が多く、当社はその期待に応えていきたいと日々研鑽しています。それだけ仕事をしてくれているからこそ、社員には還元していきたいと思っています。事業の幅が広がったことで、会社として人を育てる力もついたと思います。ぜひ若い人たちに、今まで当社が積んできた経験を伝えていきたい。一緒に成長できる会社でありたいですね。」
社長「基本的に1人ひとりの裁量が大きく、担当者を信頼して任せようという社風です。また、ITを導入する余地が多分にある業界なので、ちょっとでも楽になるなら導入しようかという感覚ではいます。若い方が見ると『なんでこれがないねん!』ということもありえますが(笑) 人のためにすれば自分に返ってくるのが、50歳になってすごく感じるんです。目先の損得じゃなくて人のためにすることが大事だとわかってるような素直な方なら、活躍できるんじゃないかと思いますね。」
社長「基本的に1人ひとりの裁量が大きく、担当者を信頼して任せようという社風です。また、ITを導入する余地が多分にある業界なので、ちょっとでも楽になるなら導入しようかという感覚ではいます。若い方が見ると『なんでこれがないねん!』ということもありえますが(笑) 人のためにすれば自分に返ってくるのが、50歳になってすごく感じるんです。目先の損得じゃなくて人のためにすることが大事だとわかってるような素直な方なら、活躍できるんじゃないかと思いますね。」
顧問「多少やんちゃでも、素直ならいいところを伸ばせる。私自身もJRを退職し、この会社の社員教育をしてほしいと会長からお話いただいた。社員の皆さんにとっては負担かもしれませんが、2週間に1回、会議の中で事前に資料を渡して問いかけに対してそれぞれの意見を発表してもらう時間を作っています。この問いには正解なんてなくて、意見を聞くことが目的。自分の考え方があると、お施主さんとか協力会社へ伝えられるようになります。」
大矢「現場監督って、会社にいることが少ないので、お互いのコミュニケーションが少なくて何を考えているのかもわからない。日常会話でも、例えば焼肉を食べに行って『肉、美味しいな』という会話をしても、誰も自分の価値観を語らないじゃないですか。でも、同じテーマについて話をすると、相手のものの見方がすごくわかります。それが3年間の蓄積で、大体皆が何を考えているかはわかるようになってきました。社長と僕は年齢が一緒ですが、考え方は全然違う。それがいいなと思っています。違いがあることで、会社には幅があって、それがものすごく力強いと感じます。」
最後に、学生さんへのアドバイスを教えてください。
春木「遊びも勉強も一生懸命やってほしいですね。中途半端じゃなく。」
会長「芸事をやるといいですね。良い現場監督は、お茶やお花をやっているとも言われます。静と動を同時に持つ空間づくりを学ぶことで、デザインにも活かせます。」
社長「寺社仏閣や流行の建物、一流と言われる建物を見に行ったほうがいいです。今は意味がわからなくても、経験を積むと後でわかるようになります。直島にはたくさん安藤忠雄氏の建築がありますが、安藤忠雄氏が30代、40代、50代で建てた建物の違いがわかるようになってきた。特に50代の作品は、芸術品だと感じます。若い頃にはわからなかったことが、後で答え合わせのようにわかるんです。学生の間は、とりあえず良いと言われる建物を見に行くといいと思いますね。」
