天然無垢の木材を使用し、漆喰などの自然素材をふんだんに使った株式会社戎工務店の木造住宅。一歩足を踏み入れると、ふんわりと木の香りがして、「癒しの空間でおしゃれ」「木に囲まれて暖かみがあってカッコいい」という感想を持たれるでしょう。
しかし、家づくりに最も重要なのはデザイン面ではなく、あくまでも“人”を軸にすること。
「工務店が本当にこだわるべきは“人”である」を実践し、注文住宅やリフォーム・リノベーションを多数手がける、同社社長・戎 健太郎さんから、どんな想いでどのように取り組まれているか、お話しを伺ってみました。
【株式会社戎工務店とは?】
1947年、現社長の祖父の代に創業。以来、神戸に根差し、それぞれの時代に求められる「家づくり」で街の発展や地域の人々の豊かな暮らしづくりに貢献している。
1995年、現社長が17歳の時に起こった阪神・淡路大震災の際には神戸の街の復興に尽力。その後、長年かけて築いてきた技術力、ネットワークをどのように活かし、これからの新たな時代に向けた家づくりに、戎工務店としてどう取り組んでいくかを考え辿り着いたのが、“人”を大切にした家づくり。特に木のぬくもりを大切にした、自由設計の新築戸建て住宅、及びリフォーム・リノベーションを手掛けている。現在は13名の少数精鋭の社員たちでこの家づくりに取り組み、創業以来76年連続黒字経営を達成中。
◎人の身体にも心にも優しい住まいづくりは、素材選びから。
人にとっての「家」は安心して穏やかに暮らせる空間であるべきです。
家がそこで暮らす人たちの健康を阻害してはいけないし、身体の健康を害することで心の健康まで蝕まれてしまいます。
それは私自身が、子どもの頃に喘息やアレルギーで何度も入退院を繰り返したり、思いっきり走れなかったり…その原因の一つが、当時住んでいた住居に使用されていた化学物質もあるんじゃないかと、親は考えていました。当社の創業者である祖父が建てた家でしたが、当時は日本が戦後から復興していく中で、スピード重視で住宅を提供する必要があった時代。シックハウス対策の規制なども無かったため、私が住んでいた家にも様々な化学物質を使用した建材が使用されていたでしょう。
確かな確証はありませんが、それじゃあ次代に向け建てる家には、そんな不安の無い、安心の素材を使った家を建てようと、父の代から大きく方向転換。
自社で手掛けている木造住宅においては、全国の林産地を自らの足で探して周り、強度や乾燥技術も日本の住宅に最適だと感じた、天然無垢の木材。そして壁には珪藻土などの自然素材。窓からの光や風、空調設備など全てにおいて、人の身体にも心にも良いと思ったものを使用した家づくりを行い、現在に至っています。
◎大切なのは、お客様と一緒に考えて、つくること。
新たに家を建てられるお客様は、モデルハウスや当社の事例をご覧になられて「こんな家に住みたい」と、打合せ当初はデザイン面の理想を話される方が多いんです。もちろんそれも大切なお客様の言葉ですが、住む人が異なれば当然最適な住まいの形は変わってくるので、まずは本当にお客様に必要で、喜んでいただけることは何かを考え、お客様とすり合わせていくことが大切です。
例えば打合せの際に訪問させていただいた時に、玄関にオシャレな靴が並んでいたりシューズラックに靴が入りきらず、箱に入ったままの状態で置かれていることに気付いたら、会話の中で「靴がお好きなんですか?」と質問してみると、「実はスニーカー集めが趣味で」というお話しが出てくることがあります。
そこで「じゃあ、シューズラックを大きめにして、お気に入りを飾れるようにされては?」と、そのお客様ならではのご提案もできますよね。そんな風に会話を重ねて、そのお客様にとって本当に必要で喜んでいただけることを探ることが重要。それはリフォームも同じで「キッチンを変えたい」といったご希望に対しても、「何故、変えたいのか」を理解することに努めます。すると「台所作業をするにもキッチンが暗い」とか「お料理をしていると子供たちの様子が見えない」とか…それぞれの課題が出てきますので、その解決に最適な方法を一緒に考えて、プランを完成していくことを大切にしています。
そこで「じゃあ、シューズラックを大きめにして、お気に入りを飾れるようにされては?」と、そのお客様ならではのご提案もできますよね。そんな風に会話を重ねて、そのお客様にとって本当に必要で喜んでいただけることを探ることが重要。それはリフォームも同じで「キッチンを変えたい」といったご希望に対しても、「何故、変えたいのか」を理解することに努めます。すると「台所作業をするにもキッチンが暗い」とか「お料理をしていると子供たちの様子が見えない」とか…それぞれの課題が出てきますので、その解決に最適な方法を一緒に考えて、プランを完成していくことを大切にしています。
◎お客様の希望を、しっかりとカタチにするために。
大手企業さんなら、営業・設計・内装デザイン・現場監督…と、それぞれの担当がお客様の対応をしているかと思います。
これはこれで、効率性などを考えると一つのやり方だと思いますが、当社ではあえて分業にはしていませんし、まず「営業」というポジションが存在していません。お見積りの段階から、施工管理(現場監督)が担当者として、一気通貫で行っています。もちろん具体的なプランを作成して提案する設計担当はいますが、初期段階から完成まで、一人の担当者がお客様に寄り添うスタイルです。家づくりの場面ごとに担当が変わると、いくら申し送りをしたところでお客様の想いを同じ熱量で共有することは難しいかと思いますので。
そもそもお客様にとっての最善とは何なのか。それを見つけ出すためには、お客様とも同じ価値観を共有しなければいけません。
そのための打合せは何度も行いますし時には見積書だけで50枚ほどになることだってあります。
けれどそれだけ、時間と会話を積み重ねて完成させた家は、私たち作り手にも達成感がありますし、お客様の思い入れも強いものとなり、長くお住まいいただける。例え、初回のお打ち合わせから完成まで1年・2年かかっても、結果的に長い目で見ると決して無駄に時間がかかった…なんてことにはならないでしょう。
◎1年後にいただく感想こそが、最初の私たちへの評価。
新築にしてもリフォームにしても、完成した時点はみなさん「やっと完成した!」という喜びが一番多いかと思うんです。ですが私たちにとって「完成=ゴール」ではなく、そこからがスタートなんです。
だからこそ1年後の点検にお伺いした時に、どういうご感想をいただけるかが、私たちにとって重要だと考えています。
「特に不具合はないですよ」というご感想がいただけて当たり前の仕事を、私たちもしているという自負はありますし、それだけの技術を持つ職人さんたちが工事に携わってくださっています。嬉しいのは「とても気持ちよく住んでいます」「毎日、快適に暮らせています」という言葉。1年かけて季節の移り変わりをその住まいで体感していただいた上で、そう笑顔で言っていただけたということは、本当に満足してもらえているんだと嬉しくなります。
こだわりの素材でお客様と一緒につくった、こだわりの家。それに対するこの評価は、私たちのモチベーション向上にも繋がっています。
◎お客様だけではなく、自社のスタッフも“人”だから。
お客様からのお喜びの声は、結果的に社内の“人” (社員や職人さん)にとっても、自分たちの仕事への自信となります。
とはいえ、あくまでも完成した家は施主様のもの。大きな建物であれば「あのビルはパパが作ったんだぞ!」とお子さんに自慢したり、身近な人に実際に見てもらえることができるでしょう。私たちも何かできないかを考え、モデル住宅を建てる際にスタッフや職人さん、そのご家族にも現場に見学に来てもらう機会を設けました。
奥様やお子様など、皆さんにもとても喜んでもらえてとても嬉しかったです。
奥様やお子様など、皆さんにもとても喜んでもらえてとても嬉しかったです。
当社で家を建ててくださるお客様へのご満足のためにも、身近なスタッフたちを大切にする。それこそが“人を大切にする家づくり”に欠かせないことだと思っています。
【終わりに…】
戎社長のお話しはいかがでしたでしょうか?
建築の世界を目指されたきっかけは、もしかしたら「あんなカッコいい建物を建てたい!」「街のランドマークになるような、大きなものをつくりたい!」という想いだった方もいるかもしれません。
しかし、住まう“人”の想いに直接触れられる建物づくりも、また違った大きなやりがいがあります。ぜひ将来の道の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
