京都の奥懐・花脊の地で120年あまりの時を刻む「野草一味庵 美山荘」。土地の趣をふんだんに取り入れた“摘草料理”と、“気づかいすれどもおかまいなし”のおもてなしで、日々お客様をお迎えしております。
料理旅館のはじまり、摘草料理のはじまり
美山荘は、もとはお寺の宿坊から始まりました。本格的な料理旅館としてスタートしたのは昭和初期のこと。地元・花脊の食材を使った私たちの料理に、「摘草料理」という名をつけたのもこの時からです。次第に、ここでしか食べられない料理を堪能できる宿として注目が集まるようになり、文化人や作家などの著名なお客様、遠くは海外からも足をお運びいただけるようになりました。
季節を感じ、心をいやす、摘み草の歴史
摘草料理にある“摘み草”とは、旬の野草や山菜を摘んで食すこと。一方で、昔は貴族が自然を愛でる遊びとして楽しんだものでもありました。季節の草花を摘んで食し、みんなで歌を詠んで寿ぐ。美山荘の奥にある峰定寺というお寺でも、かつては雪解けと共に貴族がやってきて摘み草を楽しんでいたようです。
日本には四季があり、古の民は、その季節を意識する事で、季節感というものを大切にし、四季折々の楽しみを育んできました。自然界のちょっとした変化にも目を留め、〝気付きや発見″を自分自身の生活に取り入れてきたのでしょう。
旬の食材を摘み、食すことは、季節に適した体をつくるだけでなく、心の豊かさを育むことにも通じていたのです。
花脊の土地のエッセンスが凝縮した“摘草料理”
山に分け入り摘んだ山菜、川魚や獣肉、自家栽培で育てた野菜。 これら自然の恵みを存分に享受し、滋味を感じていただく「摘草料理」ですが、 ここには山で摘んだ野草以外にも、多くの意味が含まれています。食材はもとより、文化、風俗、歴史的背景…… この花脊という土地にまつわるものすべてを“美山荘”というフィルターにかけ、そこから生まれ落ちてきた一滴のしずく。それこそが、私たちの考える「摘草料理」。花脊という土地のあらゆるエッセンスが凝縮された唯一無二の料理として、これからも進化させていきたいと思っています。
料理屋は地域のシンボルでなくてはならない
花脊の自然と地域があればこその美山荘。その思いは歳月を重ねるごとに大きくなっていきます。近所の方からいただく貴重な食材の数々、時には見たことのないような立派な鹿を猟師さんが届けて下さることもあり、それらが美山荘の価値を支えてくれている。だからこそ私たちは、地域の産業=美山荘の産業との思いで、地域を元気にする活動にも力を入れて取り組んでいます。
現在は地元・地元外の方々と非営利社団法人を設立し、スキー場や休耕田を再利用した山ぶどう・山蕗の栽培や、祇園祭りで使用するちまき笹の再生などを行い、それら収穫物を加工する加工場の建設にも着手しています。
時代にふさわしい摘草料理で、里山から日本を元気に
自治体や大学など地域以外のコミュニティとも連携し、里山創生のモデルケースをつくりたい。それが私たちの目指す地域との共生の姿です。元気な里山が増えれば、生きたテーマパークが日本中に誕生することになる。そうすれば海外からの注目も高まり、国が潤うことにもつながるでしょう。
美山荘ではこれからもこの土地に根を張り、食と地域・文化、人との繋がりを大切にした摘草料理を様々な角度から発信していきたいと思っています。料理の心を会得したい方、料理で地域を元気にしたい方にとって、ここで学べることは多いはず。まずは私たちが誇るこの“花脊”の地に足を運んでみてくださいね。
