「こんな家を建てたい」「こんな空間をつくりたい」
建物づくりは、そんな希望から始まります。
でも、思い描いた通りの形にできるとは限りません。
建物には安全性を守るためのさまざまな法律やルールがあり、それをクリアしなければ建てることができないからです。
今回は、建物の適合性を見極める「確認検査」の世界へ。
どんな場面で、どこを見て、どう判断するのか。一緒に考えてみましょう。
お話をうかがったのは
株式会社確認検査機構プラン21
原田さん
建物づくりは、そんな希望から始まります。
でも、思い描いた通りの形にできるとは限りません。
建物には安全性を守るためのさまざまな法律やルールがあり、それをクリアしなければ建てることができないからです。
今回は、建物の適合性を見極める「確認検査」の世界へ。
どんな場面で、どこを見て、どう判断するのか。一緒に考えてみましょう。
お話をうかがったのは
株式会社確認検査機構プラン21
原田さん
START|設計を10年やっても、「全然分かっていなかった」
私は設計事務所で10年近く働いたあと、この会社に転職しました。設計時代にも当然法律は扱っていたので、この仕事も「ある程度はできるだろう」と思っていたんです。ところが、先輩たちの仕事を見ると知らないことばかりで、最初は少し打ちのめされました(笑)
設計者の仕事は、お客様の希望を聞き、建物として形にしていくことです。一方、私たちは、その計画を法律の側から見ます。具体的には、着工前の「確認審査」、工事途中の「中間検査」、完成後の「完了検査」など。書類や図面、現地での検査を通して、建物が建築基準法などの法令に適合しているかを審査します。
では、私たちは一つの建物を、どのように審査しているのか。ケースを想定して見ていきましょう。
CASE①
確認申請では、第1面から第6面までの申請書に加えて、配置図や平面図、立面図などの図面が提出されます。私たちがまず見るのは、どこでしょう?
A 建物のデザインや間取りに無理がないか
B 申請書と図面の内容が一致しているか
C 法律上、難しそうなポイントがないか
※写真はイメージです
正解は、B。確認申請には、建物の概要などを書いた申請書があり、図面も一緒に提出されます。たとえば申請書には「高さ10m」と書いてあるのに、別の図面を見ると「9m」になっている。ある図面では「洋室」なのに、別の図面では違う室名になっている。こうした不整合がないか、一つずつ確かめていきます。さらに建ぺい率や容積率を出すための面積の取り方が、ルールに沿っているかも確認します。
A 建物のデザインや間取りに無理がないか
B 申請書と図面の内容が一致しているか
C 法律上、難しそうなポイントがないか
※写真はイメージです
正解は、B。確認申請には、建物の概要などを書いた申請書があり、図面も一緒に提出されます。たとえば申請書には「高さ10m」と書いてあるのに、別の図面を見ると「9m」になっている。ある図面では「洋室」なのに、別の図面では違う室名になっている。こうした不整合がないか、一つずつ確かめていきます。さらに建ぺい率や容積率を出すための面積の取り方が、ルールに沿っているかも確認します。
CASE②
同じ土地、同じ建物でも、兵庫県と大阪府では確認するルールが違うことがあります。次のうち、兵庫県にあって大阪府にないのは?
A 用途地域による建築制限
B 建ぺい率・容積率の制限
C 崖の近くに建てる場合の「がけ条例」
正解は、C。建築基準法は全国共通ですが、条例や運用ルールは自治体によって異なります。兵庫県では、高さ2mを超える崖がある場合、崖の高さに応じて建物を一定距離離すルールがあります(神戸市は独自の「がけ条例」があり、同じ兵庫県内でも確認するルールが異なります)。
一方、大阪府には、兵庫県のように崖から建物までの距離を一律に定めた同様の条例はありません。ただし、敷地や崖の状態、擁壁の有無など、別の法令や安全面の確認は必要です。
A 用途地域による建築制限
B 建ぺい率・容積率の制限
C 崖の近くに建てる場合の「がけ条例」
正解は、C。建築基準法は全国共通ですが、条例や運用ルールは自治体によって異なります。兵庫県では、高さ2mを超える崖がある場合、崖の高さに応じて建物を一定距離離すルールがあります(神戸市は独自の「がけ条例」があり、同じ兵庫県内でも確認するルールが異なります)。
一方、大阪府には、兵庫県のように崖から建物までの距離を一律に定めた同様の条例はありません。ただし、敷地や崖の状態、擁壁の有無など、別の法令や安全面の確認は必要です。
CASE③ この図面、確認審査でまず注目するのはどこでしょう?
A LDKの広さと間取り
B 納戸の数と使われ方
C 浴室・洗面室の配置
正解は、B。この図面では3つの部屋が「納戸」となっています。納戸の数が法律で決められているわけではありませんが、居室として使用する場合は、採光など別の基準を満たす必要があります。
私たちの機関では、原則として申請された内容を前提に審査をします。でも、確認検査機関によっては「1LDKに納戸が3室あるのは不自然では」と考え、独自の基準で判断するところもあります。つまり、法律に明確な線引きがない部分では、機関によって考え方が分かれることもあるのです。
B 納戸の数と使われ方
C 浴室・洗面室の配置
正解は、B。この図面では3つの部屋が「納戸」となっています。納戸の数が法律で決められているわけではありませんが、居室として使用する場合は、採光など別の基準を満たす必要があります。
私たちの機関では、原則として申請された内容を前提に審査をします。でも、確認検査機関によっては「1LDKに納戸が3室あるのは不自然では」と考え、独自の基準で判断するところもあります。つまり、法律に明確な線引きがない部分では、機関によって考え方が分かれることもあるのです。
CASE④
「住宅兼事務所」を新築する計画。住宅として使う部分もあるので、問題なく建てられる?
A 住宅部分があれば建てられる
B 事務所部分が小さければ建てられる
C 土地の用途地域と、事務所部分の広さなどを確認する
正解は、C。建物を建てられるかどうかは、「住宅が含まれているからOK」と単純には判断できません。土地には「用途地域」があり、それぞれ建てられる建物の用途が定められています。たとえば第一種低層住居専用地域は、低層住宅を中心とした、静かで良好な住環境を守るためのエリアです。住宅兼事務所の建築もできますが、事務所部分の床面積が建物全体の2分の1未満で、50㎡以下など、用途や規模に条件があります。
A 住宅部分があれば建てられる
B 事務所部分が小さければ建てられる
C 土地の用途地域と、事務所部分の広さなどを確認する
正解は、C。建物を建てられるかどうかは、「住宅が含まれているからOK」と単純には判断できません。土地には「用途地域」があり、それぞれ建てられる建物の用途が定められています。たとえば第一種低層住居専用地域は、低層住宅を中心とした、静かで良好な住環境を守るためのエリアです。住宅兼事務所の建築もできますが、事務所部分の床面積が建物全体の2分の1未満で、50㎡以下など、用途や規模に条件があります。
CASE⑤
隣の敷地との境界線から、建物を1m以上離さなければならない住宅。ところが完了検査で測ると、1mありません。すでに家は完成しています。どうなる?
A 数cm程度なら、そのまま検査を通せる
B 図面では1m確保されているので問題ない
C 完成後でも、必要な距離を確保するための是正が必要
正解は、C。確認申請の図面では、境界線から1m以上離れていても、施工中に位置や寸法が変わることがあります。完了検査では完成した建物を実際に測り、申請どおりに建てられているかを確認します。
もし必要な距離が確保されていなければ、たとえ数cmでも「これくらいはOK」とすることはできません。場合によっては、建てたばかりの建物の一部を改修するなどして、必要な距離を確保しなければならないこともあります。建物が完成した後まで、適合しているかをしっかり確かめる。それも、確認検査機関の大切な役割です。
いかがでしたか? 審査では、私たちの一つの判断で、計画そのものを見直すことになる場合もあります。それだけ責任の重い仕事だからこそ、法令を読み解く力はもちろん、設計者と丁寧にやり取りする力も欠かせません。
建築の知識を生かしながら、設計や施工とは違う立場で建物づくりに関わり、専門性を高めていけるこの仕事。ぜひ、進路を考えるときの選択肢に加えてみてください!
A 数cm程度なら、そのまま検査を通せる
B 図面では1m確保されているので問題ない
C 完成後でも、必要な距離を確保するための是正が必要
正解は、C。確認申請の図面では、境界線から1m以上離れていても、施工中に位置や寸法が変わることがあります。完了検査では完成した建物を実際に測り、申請どおりに建てられているかを確認します。
もし必要な距離が確保されていなければ、たとえ数cmでも「これくらいはOK」とすることはできません。場合によっては、建てたばかりの建物の一部を改修するなどして、必要な距離を確保しなければならないこともあります。建物が完成した後まで、適合しているかをしっかり確かめる。それも、確認検査機関の大切な役割です。
いかがでしたか? 審査では、私たちの一つの判断で、計画そのものを見直すことになる場合もあります。それだけ責任の重い仕事だからこそ、法令を読み解く力はもちろん、設計者と丁寧にやり取りする力も欠かせません。
建築の知識を生かしながら、設計や施工とは違う立場で建物づくりに関わり、専門性を高めていけるこの仕事。ぜひ、進路を考えるときの選択肢に加えてみてください!
