調理系の専門学校を卒業したら、フレンチ、イタリアン、和食、ホテル……。 そんなふうに就職先のジャンルを考える人は多いでしょう。 そんな中で、あえてフレンチの世界を“料理の世界への入り口”に、“焼き鳥”の世界を目指した人がいます。辻調理師専門学校で学び、フランス校であるエコール辻を卒業後、東京のフレンチレストランで約4年。 その後、焼き鳥店で約2年、さらにフランス、ニューヨーク、オーストラリアへ…。 世界各地の厨房を経験してきた亀田さん。現在はその集大成として「コース料理を主体とする焼き鳥店」に勤務しています。 一見すると、フレンチと焼き鳥はまったく違うジャンル。 しかし、話を聞くほどに見えてきたのは、焼き鳥こそ、料理人としての総合力と個性が問われる料理だということでした。 ![]()
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「フレンチを学べば、焼き鳥にも通じる」…の予想は、正解だった!
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亀田さんが調理師専門学校への進学を決めた理由は「将来、居酒屋や焼き鳥のような大衆的な店をやりたい」という思いから。
だからこそ、専門学校では幅広い食材を扱うフレンチを学び、卒業後もフレンチレストランに就職しました。
だからこそ、専門学校では幅広い食材を扱うフレンチを学び、卒業後もフレンチレストランに就職しました。
「フレンチを学んでおけば、どんな料理でも通用するだろう」
そんな考えでフレンチで学んだ様々な技術や経験は、現在の焼き鳥店で大きな武器になっています。
フレンチでは肉だけでなく、魚、野菜、ソースなど幅広い食材・技法を扱います。実はその引き出しが、焼き鳥のコース構成や一品料理を考える際の発想につながっているのです。
実際、フランスで経験した「アジアテイストのフレンチ」では、納豆のケーキやキムチのムースなど、日本人からすると驚くような組み合わせにも出会いました。
実際、フランスで経験した「アジアテイストのフレンチ」では、納豆のケーキやキムチのムースなど、日本人からすると驚くような組み合わせにも出会いました。
「納豆やキムチを、こんな使い方をするのか!と衝撃でした」
まさに“料理に国境は無く、自由な発想をカタチにできる”と体感した瞬間。
その経験が、現在の「型にはまらない料理を考える力」になっています。
その経験が、現在の「型にはまらない料理を考える力」になっています。
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鶏肉は、料理人のアイデアを受け止めてくれる“懐の深い食材
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亀田さんが感じている鶏肉の面白さの一つが、さまざまな食材と合わせやすいことです。
牛や豚に比べても組み合わせの幅が広く「フレンチで学んだ技法や発想を応用しやすい」そうです。
牛や豚に比べても組み合わせの幅が広く「フレンチで学んだ技法や発想を応用しやすい」そうです。
しかも鶏肉は世界各地で食べられている食材。
特定の宗教上の理由で食肉に制限がある場合でも、牛や豚とは異なる広がりがあります。そんな世界中のどこにでも通用する食材であることも、料理人にとって魅力でしょう。
さらに奥深いのが、鶏そのものの種類や部位による違いです。
ブロイラー、親鳥、高坂鶏、天草大王など、品種や育て方によって香り、肉質、歯ごたえ、脂の乗り方が変わります。季節によって脂の状態も変われば、飼育日数によって肉の硬さも変わる。
ブロイラー、親鳥、高坂鶏、天草大王など、品種や育て方によって香り、肉質、歯ごたえ、脂の乗り方が変わります。季節によって脂の状態も変われば、飼育日数によって肉の硬さも変わる。
だからこそ、ただ焼けばいいわけではありません。
“この鳥なら、こういう串の打ち方”
“この脂なら、こういう炭の置き方”
素材を見て仕込みを変え、焼き方を変える。そこに料理人としての判断力が求められる食材なのです。
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包丁、串、炭、火入れ、塩の種類や粒の大きさ……
同じ鶏でも「どう扱うか」で味が変わる
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焼き鳥というと、「串に刺して、炭火で焼く」だけの料理というイメージが強いかもしれません。しかし実際はそれだけではなく、実は焼く前から“勝負”が始まっています。
包丁の入れ方ひとつでも味わいは変わり、串の打ち方や火の入り方で、仕上がりが異なります。
そのため、脂の多い鶏なのか、飼育日数が長く歯ごたえのある鶏なのか…硬さのある親鳥なら、火を入れすぎればさらに硬くなる。だからこそ、炭の組み方や熱の当て方まで考えながら火入れをコントロールします。
つまり焼き鳥は、素材を見極める力、包丁技術、串打ち、火入れ、炭の扱い、そして食べる瞬間を想像する力。
さまざまな技術が一本の串に集約される料理なのです。
また味付けの際の「塩」にいたっては、種類による違いだけではなく粒のサイズによる違いもあるそうです。
「粗い粒の塩なら、肉を噛んだときに塩味を感じるんですが、細かな塩なら、口に入れた瞬間から塩味が広がるんですよ」。
つまり、振る塩の量を調節するだけではなく、「いつ塩味を感じてもらいたいか」まで考えて塩を選ぶわけです。
もちろん、こうした細かな工夫は学校で学んだだけでは身につきません。
「あと、どれだけ興味あるかですよね」と、亀田さんが語るように、毎日試して、食べて、また工夫する。
その積み重ねが、プロの料理人としての感覚を磨いていくのです。
その積み重ねが、プロの料理人としての感覚を磨いていくのです。
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鶏だけでコースを組み立てる。
だからこそ、料理人の“総合力”が試される
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コース主体の焼き鳥店ならではの面白さは、鶏肉を軸に一つのコース料理を完成させることにもあります。
同じ鶏でも、部位によって味、脂、食感が違います。
例えば「鶏皮」も、モモ肉部分とクビ部分の皮では脂のノリが全く違うそう。そのため、何をどの順番で食べてもらうのか。どの串を組み合わせ、どこに季節の野菜や一品料理を挟むのか…。さらに季節やテーマを意識しながら構成を考え、店舗ごとに異なる個性を出す必要があります。
例えば「鶏皮」も、モモ肉部分とクビ部分の皮では脂のノリが全く違うそう。そのため、何をどの順番で食べてもらうのか。どの串を組み合わせ、どこに季節の野菜や一品料理を挟むのか…。さらに季節やテーマを意識しながら構成を考え、店舗ごとに異なる個性を出す必要があります。
まさに店長の個性を活かせる料理ではありますが、亀田さんの勤務する株式会社eee運営の各店舗では、スタッフの前職や得意分野も料理に反映し、店独自の“個性”をもたせているとか。中華出身の料理人がいれば中華のエッセンスを、フレンチ出身の亀田さんならフレンチの技法を取り入れ、提供するスタンスだそう。
現在、亀田さんが考えている新しいコースの中にも、フランスで学んだ発想から、ポップコーンをミキサーにかけてソースにするアイデアなどを取り入れています。
「フレンチの経験は、フレンチや洋食でしか活かせない」のではなく、むしろ、学んできた知識や身につけてきた専門性が、自分だけの“焼き鳥”へと変化させていくことができるのです。
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「焼き鳥だからこそ」自分の経験を、料理の個性として活かせる!
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亀田さんが現在の職場に惹かれている理由の一つが、上記にもあった料理人のアイデアを受け入れる風土。
決められたメニューを作るだけではなく、「こうしたら面白いのでは?」という意見を出し、スタッフ同士でブラッシュアップしていく。入社1年目でも、自分のアイデアを活かした提案ができるそうです。そんな自由度の高さがあるのも、“鶏肉”といった一つの食材から、可能性を広げていけるからこそ。
フレンチを学んだからこそできる焼き鳥がある。
中華を経験したからこそ、生まれるメニューがある。
和食の技術を身につけたからこそ、日本でしか味わえない料理として提供できる。
…そこに、自分自身の感性を掛け合わせれば、まだ誰も見たことのない一皿を生み出すこともできます。
「焼き鳥」という言葉から想像するより、ずっと奥深く、ずっと自由。
「料理人になったら、最初に選んだジャンルだけが自分の専門分野になるわけではない」ことを体現している亀田さん。
料理人として、自分にしか出せない個性や「味」を追求していきたい…そんな人にとって、実は鶏肉・焼き鳥は無限の可能性を秘めているのではないでしょうか?
