超高層ビルやランドマークタワー・商業施設、また巨大倉庫や工場などの各種土木構造物や建築施設に使われる「鉄骨」。
実際に鉄骨を製作する工場では、専用加工機や溶接ロボット、CADなどの多種多様な生産設備機械が稼働したり、また多くの職人の手による加工が施されます。
その中で特に重要な役割を担っているのが、今回のテーマである「製作管理」というポジションです。
一般的にはあまり知られていませんが、円滑なモノづくりを担うキーパーソンとしてなくてはならない存在です。
そこで今回、「製作管理」という仕事の役割や特徴、そして魅力ややりがいなどについて詳しくご紹介します。
【お話を伺ったのは・・・】
●川田工業株式会社栃木工場
川田工業株式会社は川田テクノロジーズ(東証プライム上場)を持株会社とする、川田グループの基幹事業会社として、創業から100年を超える歴史を誇ります。
栃木工場は、1958年大田原市誘致工場第一号に指定され、同年5月操業を開始しました。操業から長年にわたり、鉄鋼を主体とした大型構造物の主要生産拠点として豊富な実績があります。例えば渋谷ヒカリエ、東京ミッドタウン、モード学園コクーンタワー、六本木ヒルズ、横浜ランドマークタワー、東京都庁などの超高層ビルや、東京スカイツリー©といった有名ランドマークタワーなどにも、栃木工場で製作された鉄骨が使用されています。
1986年には国内でも数少ない、鉄骨製作工場性能評価基準Sグレードを取得しました。
【インタビューにご協力いただいた方】
●I・Nさん
鉄構事業部 栃木工場 管理課課長
鉄骨製作の基本フローについてご紹介
今回のテーマである「製作管理」に触れる前に、まずは工場における基本的な鉄骨製作の流れをご紹介します。
▼設計・モデリング
3DCADや3Dプリンターで設計・製作したモデリング・サンプルを用いて確認
▼切断
入荷した大板・鋼管・コラムを所定の寸法に切断
▼開先
切断した鋼板をNC制御で両側同時に加工
▼柱主幹組立
スキンPLに「ダイアフラム」と呼ばれる部品を組み立て、箱型断面柱を組み立てる。
箱形の柱なのでボックス柱と呼ばれる。Sグレード工場でしか製作できない鉄骨
箱形の柱なのでボックス柱と呼ばれる。Sグレード工場でしか製作できない鉄骨
▼柱主幹溶接
角溶接部を「サブマージアーク溶接(SAW)」で溶接し、内ダイアフラム部を「エレクトロスラグ溶接(ESW)」で溶接する
▼大組立
柱梁接合部や建て方用金物など二次部材を取り付け
▼大組溶接
溶接工が二次部材をすべて溶接
▼仕上・検測・塗装
全長・階高などの部材寸法を計測~製品に仕上げる作業
こうした各工程を独自の生産システムを導入することによって、これまで生産量・技術力ともに国内トップクラスの鉄骨製作工場として業界内で高い評価を受けているのが、同社栃木工場です。
ものづくりのすべてに関わる!製作管理の役割とは?
では今回のテーマである「製作管理」とは具体的にどのような役割を担うのでしょうか?
長年、栃木工場で活躍されているIさんに伺いました。
Iさん
「先ほどご紹介したように、実際に工場で鉄骨を製作する全工程の製作管理を担うのはもちろん、実はそれ以外も幅広く担当します。
発注元である大手ゼネコンからの依頼を受けた時、これから建設する建築物の設計図を受け取ります。その内容を検証するところからスタートして、図面だけでは読み取れない詳細情報をゼネコンの担当者や自社の営業・設計部門と綿密に確認します。
その情報をもとに『工作図(詳細図)』と呼ばれる、工場で鉄骨を製作するために必要な図面を作成します。
さらに・・・
◎最適な品質・コスト・納期を実現するために必要な各種材料の選定や調達に関して購買部門と調整
◎製造する際に注意すべき点を製造部門に確認
◎適切な品質管理を実現するために品質管理部門とやり取り
◎完成した巨大な鉄骨を安全に輸送するためのルート選定などを輸送部門と計画
◎建設現場で円滑に施工できるように施工管理部門と連携
・・・といったように、多岐にわたる部門と連携しながら一つ一つの案件を着実に進めていきます」
このように製作管理というポジションは「建設プロジェクトのリーダー」のような立場で、最初の受注から納品・竣工まで一貫して関わっていくことになります。
製作管理ならではの魅力ややりがいとは?
製作管理はとにかく仕事の幅が広いのが特徴。
そのため覚えるべき知識や業務ノウハウが多岐にわたる苦労もあります。
しかし最初から最後まで一貫して巨大建築物の鉄骨の製作・建方に携われることや、社内外の多くの関係者と連携したり、創意工夫しながら最適な品質・コスト・納期を管理することによって、無事に竣工した時のやりがいはこのポジションならではやりがいにつながります。
特に川田工業では過去、都心のランドマーク施設を多数手がけており、今も数々の再開発事業などに深く携わっているので、より大きな手ごたえや達成感を得られます。
Iさん
「特に当社の場合、社員の裁量が大きいことや入社1年目から物件に携われるチャンスがあるので、早い段階から大規模建築物向け鉄骨製作の管理全般を経験できることが魅力です。もちろん上司や先輩の手厚いフォローが受けられたり、また朝礼や定例会議で様々な事例やノウハウを共有したり、業務に必要な資格取得を支援するなど、教育体制も整っているのでその点はご安心ください」
また同社は国内でも希少な「Sグレード(国内最高水準)」と呼ばれる、超高層・大規模建築物に使用される難易度の高い鉄骨を製作できる工場として、国土交通大臣の認定を受けています。
これは国土交通大臣指定性能評価機関である「全国鉄骨評価機構」が定める、日本国内の鉄骨製作工場に対する性能評価制度。性能によって「J・R・M・H・S」5段階のグレードがあります。
その最高グレードである「Sグレード」は使用鋼材の制限が無く、超高層ビルや大型商業施設等の大規模な鉄骨建築物を適切な品質で製作できる体制を整えていると認定されたものです。
「他ではできない特殊鉄骨を製作できる現場を管理できる」という点においても、製作管理として大きなやりがいを得られるでしょう。
Iさん
「何より家族に自慢できることがポイントです。きっと家族が驚きますよ!」
Iさん
「何より家族に自慢できることがポイントです。きっと家族が驚きますよ!」
ものづくりはひとづくり。製作管理にマッチするタイプは?
今後、栃木工場ではGX(グリーントランスフォーメーション)推進に向けたグリーン鋼材導入や製作現場で活躍する協働ロボットの研究開発、さらに自前で太陽光から水素を生み出す設備を工場内に新設・稼働するなど、次世代の工場に脱皮するための新たな取り組みを行っているそうです。
一方、技術やものづくりを大切にするだけではなく、「人づくり」を大切にするのも同社の社風。入社後の研修やOJTでの育成を通じて、ものづくりや製作管理の楽しさをまずは実感してもらうことを重視しています。
最後に製作管理の仕事にマッチするタイプを伊藤さんに伺ってみたところ、「常に自分を高めていく向上心を持ち、創意工夫が好きなタイプで、仕事を通じて広く社会インフラを支えるやりがいを得たい方に向いています」とのことでした。
今回の記事を通じて製作管理の仕事に少しでも興味を持ったら、これをきっかけに職業研究をしてみてください。きっとさらなる魅力を発見できるでしょう。
