みなさんは「建設ディレクター」という職種をご存知ですか?「建設ディレクター」は主に、書類作成やICT業務を通じて現場を支援する人のこと。近年の建設業界で注目が高まっている、新しい職務領域です。
※「建設ディレクター」の名称は、一般社団法人建設ディレクター協会の登録商標です。
本記事では、2024年春に「建設ディレクター室」を新設し、業務効率化や働き方改革に取り組む松本工務店の事例をご紹介。建設ディレクターが果たす役割や、その可能性についてお伝えします。
【株式会社松本工務店プロフィール】
創業132年、土地の9割が森林という自然豊かな町、兵庫県宍粟市に本社を構える建設会社です。公共工事を中心に土木・建築ともに豊富な実績を有し、「波賀森林鉄道復活プロジェクト」など地域活動にも積極的に取り組んでいます。
注目度上昇中!建設ディレクターってどんな仕事?
建設ディレクターとは、建設現場においてICTスキルやコミュニケーションスキルを活用して技術者を支援する新しい職域です。具体的には、施工に関するデータの整理や処理、書類の作成、ICT業務などを担当します。
(一例)
・施工計画書のベース作成や施工体制台帳、報告書などの書類作成
・工程記録写真の撮影、記録、整理
・CADを用いた設計図・施工図の作成、図面修正などのデータ作成
・ドローン操作やICT技術を用いた業務システムの導入、構築
建設の現場管理では、安全管理や品質管理、コスト管理に加え、新技術の導入や人材育成が求められます。しかし、多くの技術者は書類業務に追われ、これらの重要な業務に十分な時間を割けないのが現状です。
この問題を解決するのが、建設ディレクターです。技術者の全業務のうち、6割を占めると言われている書類業務を分担し、技術者の負担を軽減することで、長時間労働の改善や若手技術者の成長促進に貢献します。
株式会社松本工務店が「建設ディレクター」を導入した理由は?
松本工務店が「建設ディレクター」の導入に踏み切ったのは2024年の春。それまで総務部で手掛けていた現場の事務作業を分けて、「建設ディレクター室」を新設しました。
導入の背景や、導入後の効果について、プロジェクトを立ち上げた松本貞央さん(建設ディレクター室 室長補佐)は次のように語っています。
「我が社では現場事務業務の一部を総務部が担当していたため、現場技術者の負担軽減はもとより、全社的な業務の効率化、働き方の改善につながると考え導入を決めました。まずは、私と新卒入社メンバーの二人が、一般社団法人建設ディレクター協会認定の建設ディレクター資格を取得しました。チームメンバー6名中2名は、もともと専門知識を有していないメンバーですが、資格取得や新たな業務に前向きに取り組んでくれています」
「我が社では現場事務業務の一部を総務部が担当していたため、現場技術者の負担軽減はもとより、全社的な業務の効率化、働き方の改善につながると考え導入を決めました。まずは、私と新卒入社メンバーの二人が、一般社団法人建設ディレクター協会認定の建設ディレクター資格を取得しました。チームメンバー6名中2名は、もともと専門知識を有していないメンバーですが、資格取得や新たな業務に前向きに取り組んでくれています」
「業務を分業化することについて、はじめは社内でもさまざまな見解がありました。導入してまだ日が浅く、効果の測定はこれからですが、業務上でのコミュニケーションが格段に増えたことは間違いないですね。社内が活気づいている印象があります」
さらに、建設ディレクター室のスタッフの方にも話をお聞きしました。
「専門知識ゼロからのスタートでも、講習受講や資格を取得させてもらえたので不安が軽減しました。基本的な知識を身につけることができたので、新しい仕事も覚えやすいです」
「“もっとこうしたらいいのでは?”という、自分の考えを反映できる仕事。技術者さんによっていろんな仕事の進め方があり、それを学べることも勉強になります」
「自分の得意分野(CAD)を活かせる仕事。今後は現場の課題を見極めながら、積極的な提案ができる建設ディレクターを目指します。リモートや在宅で仕事ができる点もありがたいです」
建設ディレクターの導入で実現したい未来&学生さんへのメッセージ
単に書類作成やデータ処理を行うだけではなく、ICTを用いた業務の可視化や標準化など幅広い領域を手がける建設ディレクター。松本工務店でも個人に偏った業務をなくすことで、品質の向上に加え「残業時間の縮小や技術者の年間休日の増加を実現する」ことを目標にしています。また、リモートワークが可能なこと、ITスキルを活かせることなどから、多様な人材がライフステージに左右されず活躍できる環境を整えたいとのこと。
「建設ディレクターの可能性は無限大。松本工務店から建設業界における新時代の働き方を発信できたら」(松本さん)と、未来に希望が広がります。
最後に、学生のみなさんへメッセージをいただきました。
「建設ディレクターに必要なのは、専門知識とITスキル、そして何よりコミュニケーションスキルです。顧客、技術者、協力会社、さまざまな人と協働しながら、より良い建物を作り上げたい人、創意工夫と提案を重ねながらプロジェクトを前に進めたい人にはぴったりの仕事です。県外在住から入社して頑張ってくれているメンバーもいますので、興味のある方、自分の得意を活かして建設業界で活躍したい方は、ぜひ仲間に加わってください。いつでもご連絡くださいね!」
