神奈川県立神奈川工業高等学校、東京テクニカルカレッジ(学校法人小山学園)、清水建設株式会社の三者により設立された「次世代建築リーダー育成コンソーシアム」ではこのほど、スタートアップイベントを開催。神奈川工業高等学校の建設科1年生に対し、次世代の建築リーダーとしての意識付けを行うとともに、東京・京橋にある清水建設本社の見学を実施しました。
次世代建築リーダー育成コンソーシアムは、建設業界における「施工管理技術者」不足に課題感を持つ3者が、次世代を担う建築リーダーを育成するために、本コンソーシアムを設立し、2023年3月に産学連携協定を締結。そしてこの4月から、3社連携による「7年間の人財育成プログラム」を生徒に提供する準備を進めてきました。
去る7月13日に行われたスタートアップイベントには、神奈川工業高等学校建設科の1年生71名が参加。まず、本コンソーシアムについての理解を促し、東京テクニカルカレッジおよび清水建設の学校説明、企業説明を行った上で、グループに分かれて清水建設本社の施設見学を実施。施設見学を通して建築に対する興味を喚起し、建築の仕事の面白さ、やりがいを感じてもらうことを目指しました。
清水建設本社は2012年5月に竣工。同社の技術とノウハウを結集して建設された「超環境型オフィスビル」であり、空調や照明などあらゆる箇所に最先端の技術が導入されています。また、地震などの災害が発生した際には帰宅困難者を受け入れる機能も備えており、約4000人が3日間過ごせる相当量の食料や水、生活用品などを備蓄しています。
今回は、本社ビル地下にある地震の揺れを分散化させる免振装置や、天井パネルに設けられた輻射空調システムなど、社員でもめったに見ることができない施設の見学も実現しました。
輻射空調システムは、天井パネル内部のパイプに冷水・温水を流すことで室温を調整するもの。執務スペースの快適性と省エネルギーの両方を実現する技術であり、生徒は食い入るように見入っていました。
施設見学後は、グループごとにその感想を話し合い、驚いたことや気づいたこと、刺激を受けたことなどを共有。その後、質疑応答の時間が設けられました。
質疑応答では、「建築プロジェクトの会議ではどのように社員の意見の方向性を合わせているのか」「建築リーダーを目指すには、一級建築士と1級施工管理技士ではどちらを先に取ったほうがいいと思うか」など、より将来の仕事に即した質問や、「環境に配慮したビルとのことだが、月にどれぐらいの電気代がかかるのか」など施設そのものに関する質問が続き、生徒の意欲や熱意が伝わる機会となりました。
なお、本イベント後に行われた参加者アンケートによると、「本コンソーシアムの目的を理解した」と答えた生徒は実に100%という結果に。そして、施設見学の感想として以下のような意見が挙がりました。
「全体を通して安全、維持管理の徹底が行われており、壁ひとつとっても並々ならぬ工夫が施されていて感動しました」
「施工管理技術者の仕事の内容、イメージが湧きました」
「太陽光パネルとガラスを一緒にして、外見の良さだけでなく省エネにも対応してる建物は初めて見たのでとても衝撃でした」
「普段の見学では見られない場所に案内してもらったり、実際に働いているオフィスや建物の設計案などを考える話し合いの場を見せてもらったり、会社が災害や自然に対して意識していることなどを教えてくれたりもして、将来への経験になった」
「未来の日本のために『あれがあったらいいな』『これがあったらいいな』を実現していてすごいと思いました」
「ひとつの建物になんて多くの技術が集められているんだと驚きました」
また、「今後のコンソーシアム事業で期待すること」として、「現場の見学をしてみたい」「実際に現場で施工している人や、施工管理をしている人たちが常に意識していることを聞いてみたい」「たくさんの施設を見に行ってどんな工夫をしているのか知りたい」など、現場の体感を希望する声が多く集まりました。
清水建設東京支店人事部長の佐藤慶之氏は本イベントの最後に、参加生徒に対して次のように語っています。
「皆さんは、工業高校の建設科ということで、中学から高校に進学するときに大きな選択をされました。建築を志してくれたことに頼もしさを感じます。今回の取り組みは、施工管理技術者の仕事は面白いと理解してもらうことをメインにしていますが、高校卒業後の進路を選択するうえで、皆さんがより良い選択ができるようなお手伝いをしていきたい。皆さんの意見を取り入れながら、皆さんと一緒にいい取り組みにしていきたいと思います」