#14 職人さんとうまくやれるかな・・・その不安をなくそう
建設現場では主に2種類の人たちが働きます。施工管理と、職人さんです。この2者の関係性はとても重要で、崩れてしまうと現場がうまくいかなくなったり、心が辛くなってしまったりします。
今回は、難しいと思われがちなこの2者のコミュニケーションについてお話してみたいと思います。そこにはしっかりとしたコツがあるのです。
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◇職人さんと仲良くなる「悩み」?
1つの現場に、どのくらいの職人さんが入ってくるのか知っていますか?もちろん現場の大きさにもよりますが、住宅のような小規模な現場でも数百人、ビルや公共建築物のような大規模現場になれば数千人、数万人に及ぶこともあります。
僕ら現場監督は、そんな数の職人さんと日々接していかなければいけません。それだけの人数がいれば、合う人も合わない人もいます。でも業務は待ってくれないわけで、うまく関係性を作りながら進めることになります。
そんな中、特に入りたての若い監督さんにおちいりがちな悩みとして、実はこんなものがあります。『職人さんと仲良くなりすぎて悩んでいます』。これは一体どういうことでしょうか。仲良くなることが、良くない結果を生むということでしょうか?
まず大前提としてわかっていただきたいことは、仲良くなることに関しては悪いことじゃないということ。人間関係が良好なわけですから、大いに結構。現場にはものすごい量の職人さんがいるわけですから、当然仲が悪いよりも、仲がいい方がいいに決まっています。
にもかかわらず、仲良くなりすぎると悩みを生んでしまう。実はこれ、どの業界でも言える、社会人あるあるなのかもしれません。
◇仕事には役割と視点がある
仲良くなることはいいことなのに、悩みを生む。この難解な状況を理解するためには、社会人における「役割と視点」をわかっておかなければいけないのです。心して読み進めてみてください。
仕事は、みんながみんな同じことをしているわけではありません。それぞれに「役割」があり、それぞれに「視点」があるのです。例えば職人さんは、与えられた範囲の中で手元をみて仕事を確実に遂行していきます。
これに対し、現場監督は一つ一つの仕事ではなく全体をまとめ、次の仕事の準備をしながら工事流れ全体を見ていくのが仕事です。わかるでしょうか?それぞれが役割をしっかりと果たそうとすれば、当然見ている視点は違ってきて当然だということです。
どちらが偉いとかではなく、そしてどちらがすごいとかでもありません。お互いに自分の持ち場の業務を全うするからこそ、大きな仕事を成しえることができる。これは社会人の鉄則なのです。
◇仲の良さをはき違えてはいけない
役割と視点について少し理解したところで、話を元に戻しましょう。
例えばあなたが、たくさんの職人さんの中で1人の職人ととても仲良くなったとしましょう。遊びに行ったり、お酒を飲んだりするような仲になったとします。それ自体は素晴らしいことだと思います。
そんなある日、仲のいい職人さんから「悪いけど、仕事が間に合わないから2日伸ばしてくれない?」とお願いをされたとします。その職人さんは、なぜそんなことを言い出したのか。それは「自分の仕事」だけをみて、単純に困ったからです。
ですがあなたは現場監督。その職人さんだけを見ているわけではありません。2日伸ばすということは、次の工事も同時に2日遅れるということ。しかも、どこかでその2日間を縮める必要もあります。なぜなら、工期と言われる期限があるからです。
これはつまり、友人の言う事を優先すると、そのせいで迷惑をかける人がいるということ。このように、業務において誰かを優遇するということは「えこひいき」になってしまうということ。わかりますよね。
もう一度言いますが、仲良くなることに悪意はありません。ですが、それによって他者に迷惑がかかるのであれば別の話。社会人としては見過ごすことができなくなるのです。
学生の時のような仲良しとは一味違い、社会に出てからの仲良しは、様々な責任が発生することが多くあります。仲良しをはき違えてはいけないという事、わかってきたでしょうか。
◇現場監督の役割と視点
僕ら施工管理は、全体を見ながら工事のバランスを整えていかなければいけません。何かが増えると何かが減る。誰かが楽をすると、誰かが苦労をする。そのバランスを、全体を見ながら整えなければいけない「役割」があるのです。
時には全体のバランスを整えるため、場合によっては個人に対して、冷たいと思われるような決断をしなければいけないこともあることだってあります。そういう役割なのですから。
仲が良いだけに、本当は言わなければいけないことを言えなくなってしまう。それが若い現場監督たちを悩ませている原因です。仲良くなりすぎて悩むとは、そういうことなのです。
改めて言います。誰かが偉いわけじゃありません。誰かに嫌がらせをしたいわけでもありません。みんな役割が違うから、見ている視点が違うだけなのです。これは、仕事だけに限らず、家族やクラスや業界や国全体にも言えること。
「俺のお願いを聞いてくれないのか?」なんてフレーズ、どこかで聞いたことないでしょうか。仲良くなりすぎてしまうと、万が一そういう関係性に発展してしまいかねないのです。仲がいいことは良いこと。でも、業務においてはそうじゃないこともあると知ってほしいのです。
◇本当に仲がいいとは?
ではどういう関係性が一番いいのでしょうか。それはきっと、小さい頃から教えられてきたのではないでしょうか。本当の意味で仲がいいということはつまり、相手を思いやることです。そして相手の迷惑にならないように考えることです。つまり、信頼です。
俺の言う事だから聞いてくれ、ではなく。俺の言う事で相手はどうなってしまうのかを考える力を持つこと。相手を敬い、守り合う関係性。単純な話ですが、仲のいい相手の邪魔になるようなことはしたくないですよね。
自分ではなく、相手を基準に考えていける関係性がきっと良い関係。それができるなら、立場なんて関係なく、仲良くなることをとがめる理由はどこにもありません。
ただそうはいっても、これを実践できる人はなかなかいません。結局失敗してしまう人が多いのも事実。特にまだ経験が浅いうちは、悩んでしまうことも多いのです。結果、大きな迷惑をかけてしまうことになるのです。
ただあらかじめ理解することができたのなら、対策は打てます。まずは、役割の違いをしっかりと理解することから始めましょう。そしてお互いの視点の違いも、それぞれが分かっておきましょう。信頼と思いやりの気持ちを持って。
それでもまだ不安が残るのであれば、近づきすぎないのが良い方法なのかもしれません。昔から言われる言葉に「付かず離れず」というものがあります。夫婦が長く仲良く過ごすためには、近づきすぎない努力が必要だという言葉です。
これを仕事にも当てはめるなら、特に最初のうちは人間同士の距離感をうまくつかめるように学ぶのが良いと思います。仕事を楽しく進めるためには、やっぱり業務に打ち込める環境が必要です。人は悩むと何も手につかなくなってしまいます。
仲良くするのはいいことですが、結果として悩んでしまう前に。人との距離感についても考えてみるのが良いのではないかと思います。社会人の前に、一人の人間として。ぜひ参考にしてみてください。
【プロフィール】
今回は、難しいと思われがちなこの2者のコミュニケーションについてお話してみたいと思います。そこにはしっかりとしたコツがあるのです。
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◇職人さんと仲良くなる「悩み」?
1つの現場に、どのくらいの職人さんが入ってくるのか知っていますか?もちろん現場の大きさにもよりますが、住宅のような小規模な現場でも数百人、ビルや公共建築物のような大規模現場になれば数千人、数万人に及ぶこともあります。
僕ら現場監督は、そんな数の職人さんと日々接していかなければいけません。それだけの人数がいれば、合う人も合わない人もいます。でも業務は待ってくれないわけで、うまく関係性を作りながら進めることになります。
そんな中、特に入りたての若い監督さんにおちいりがちな悩みとして、実はこんなものがあります。『職人さんと仲良くなりすぎて悩んでいます』。これは一体どういうことでしょうか。仲良くなることが、良くない結果を生むということでしょうか?
まず大前提としてわかっていただきたいことは、仲良くなることに関しては悪いことじゃないということ。人間関係が良好なわけですから、大いに結構。現場にはものすごい量の職人さんがいるわけですから、当然仲が悪いよりも、仲がいい方がいいに決まっています。
にもかかわらず、仲良くなりすぎると悩みを生んでしまう。実はこれ、どの業界でも言える、社会人あるあるなのかもしれません。
◇仕事には役割と視点がある
仲良くなることはいいことなのに、悩みを生む。この難解な状況を理解するためには、社会人における「役割と視点」をわかっておかなければいけないのです。心して読み進めてみてください。
仕事は、みんながみんな同じことをしているわけではありません。それぞれに「役割」があり、それぞれに「視点」があるのです。例えば職人さんは、与えられた範囲の中で手元をみて仕事を確実に遂行していきます。
これに対し、現場監督は一つ一つの仕事ではなく全体をまとめ、次の仕事の準備をしながら工事流れ全体を見ていくのが仕事です。わかるでしょうか?それぞれが役割をしっかりと果たそうとすれば、当然見ている視点は違ってきて当然だということです。
どちらが偉いとかではなく、そしてどちらがすごいとかでもありません。お互いに自分の持ち場の業務を全うするからこそ、大きな仕事を成しえることができる。これは社会人の鉄則なのです。
◇仲の良さをはき違えてはいけない
役割と視点について少し理解したところで、話を元に戻しましょう。
例えばあなたが、たくさんの職人さんの中で1人の職人ととても仲良くなったとしましょう。遊びに行ったり、お酒を飲んだりするような仲になったとします。それ自体は素晴らしいことだと思います。
そんなある日、仲のいい職人さんから「悪いけど、仕事が間に合わないから2日伸ばしてくれない?」とお願いをされたとします。その職人さんは、なぜそんなことを言い出したのか。それは「自分の仕事」だけをみて、単純に困ったからです。
ですがあなたは現場監督。その職人さんだけを見ているわけではありません。2日伸ばすということは、次の工事も同時に2日遅れるということ。しかも、どこかでその2日間を縮める必要もあります。なぜなら、工期と言われる期限があるからです。
これはつまり、友人の言う事を優先すると、そのせいで迷惑をかける人がいるということ。このように、業務において誰かを優遇するということは「えこひいき」になってしまうということ。わかりますよね。
もう一度言いますが、仲良くなることに悪意はありません。ですが、それによって他者に迷惑がかかるのであれば別の話。社会人としては見過ごすことができなくなるのです。
学生の時のような仲良しとは一味違い、社会に出てからの仲良しは、様々な責任が発生することが多くあります。仲良しをはき違えてはいけないという事、わかってきたでしょうか。
◇現場監督の役割と視点
僕ら施工管理は、全体を見ながら工事のバランスを整えていかなければいけません。何かが増えると何かが減る。誰かが楽をすると、誰かが苦労をする。そのバランスを、全体を見ながら整えなければいけない「役割」があるのです。
時には全体のバランスを整えるため、場合によっては個人に対して、冷たいと思われるような決断をしなければいけないこともあることだってあります。そういう役割なのですから。
仲が良いだけに、本当は言わなければいけないことを言えなくなってしまう。それが若い現場監督たちを悩ませている原因です。仲良くなりすぎて悩むとは、そういうことなのです。
改めて言います。誰かが偉いわけじゃありません。誰かに嫌がらせをしたいわけでもありません。みんな役割が違うから、見ている視点が違うだけなのです。これは、仕事だけに限らず、家族やクラスや業界や国全体にも言えること。
「俺のお願いを聞いてくれないのか?」なんてフレーズ、どこかで聞いたことないでしょうか。仲良くなりすぎてしまうと、万が一そういう関係性に発展してしまいかねないのです。仲がいいことは良いこと。でも、業務においてはそうじゃないこともあると知ってほしいのです。
◇本当に仲がいいとは?
ではどういう関係性が一番いいのでしょうか。それはきっと、小さい頃から教えられてきたのではないでしょうか。本当の意味で仲がいいということはつまり、相手を思いやることです。そして相手の迷惑にならないように考えることです。つまり、信頼です。
俺の言う事だから聞いてくれ、ではなく。俺の言う事で相手はどうなってしまうのかを考える力を持つこと。相手を敬い、守り合う関係性。単純な話ですが、仲のいい相手の邪魔になるようなことはしたくないですよね。
自分ではなく、相手を基準に考えていける関係性がきっと良い関係。それができるなら、立場なんて関係なく、仲良くなることをとがめる理由はどこにもありません。
ただそうはいっても、これを実践できる人はなかなかいません。結局失敗してしまう人が多いのも事実。特にまだ経験が浅いうちは、悩んでしまうことも多いのです。結果、大きな迷惑をかけてしまうことになるのです。
ただあらかじめ理解することができたのなら、対策は打てます。まずは、役割の違いをしっかりと理解することから始めましょう。そしてお互いの視点の違いも、それぞれが分かっておきましょう。信頼と思いやりの気持ちを持って。
それでもまだ不安が残るのであれば、近づきすぎないのが良い方法なのかもしれません。昔から言われる言葉に「付かず離れず」というものがあります。夫婦が長く仲良く過ごすためには、近づきすぎない努力が必要だという言葉です。
これを仕事にも当てはめるなら、特に最初のうちは人間同士の距離感をうまくつかめるように学ぶのが良いと思います。仕事を楽しく進めるためには、やっぱり業務に打ち込める環境が必要です。人は悩むと何も手につかなくなってしまいます。
仲良くするのはいいことですが、結果として悩んでしまう前に。人との距離感についても考えてみるのが良いのではないかと思います。社会人の前に、一人の人間として。ぜひ参考にしてみてください。
【プロフィール】
武田祐樹(たけだひろき)
HT RaisePLAN 代表
総合建設業に17年在職し、官民問わず数多くの実績を積む。
建設業の効率的な働き方を実現するため、
現在はオンラインを中心に活動し、
中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家としても活躍。
現在はオンラインを中心に活動し、
中小企業デジタル化応援隊事業(中小企業庁)のIT専門家としても活躍。
【保有資格】
1級建築士、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士
【運営事業】
◇GENBA Lab.(現場ラボ)運営
【メディア活動】
◇YouTubeチャンネル【建設業を持ち上げるTV】
https://www.youtube.com/c/nextconstruction
◇音声配信【たけだの作業日報】
https://open.spotify.com/show/2qPIT6VYOzjcp9eBrFODLI
https://www.youtube.com/c/nextconstruction
◇音声配信【たけだの作業日報】
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◇インスタグラム【3分で学べる建設コラム】
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