鮨が世界に広がる今、守るものは
ここ数年で、鮨を取り巻く環境は大きく変化し、特に今は海外のお客様が増えました。昔のように「観光で日本に来たから鮨を食べる」という方だけではなく、「鮨を食べるために日本に来る」方がとても増え、人気店を何軒も食べ歩いている方、日本のお客様と同じくらい詳しい方もいらっしゃいます。
世界的に鮨の人気が高まる中で、大切にしているのは日本の食材の魅力をまっすぐに伝えることです。
飾りをつけるような仕事ではなく、日本の魚や食材の良さをできるだけストレートに伝えたい。お鮨はシンプルな方がいいと思っています。シンプルだからこそ、食材の良し悪しや職人の技術がそのまま表れる。それが鮨の奥深さでもあります。
所作で魅せる、鮨職人の仕事
鮨の魅力は味だけではありません。
鮨屋は、お客様の前で握りながら会話をする仕事です。お客様は食事をしながら、職人の動きもずっと見ているため、所作が綺麗でなければいけません。
かつての鮨店は、勢いよく握る活気のあるスタイルが主流でした。しかし今では、職人の動きや所作も含めて、食事の時間そのものを楽しむ文化へと変化しています。
世界に広がる今だからこそ、本物の江戸前を守る
こうした変化の中で、特に大切にしているのが江戸前鮨の「王道」です。
世界に鮨が広がれば広がるほど、「東京の江戸前って何なの?」と問われる時が必ず来ると思うのです。そのときに王道がしっかりしていないといけません。
もし本来の形が曖昧になってしまえば、次の世代がそれを「本物」だと思って育ってしまうかもしれません。だからこそ、基本となる仕事は決してぶらしてはいけないと考えています。
派手な食材を乗せて見た目を華やかにする握りではなく、ネタの良さを引き出すシンプルな仕事。そうした伝統的な技術を追求し続けることも、鮨職人の大切な役割だと思います。
一方で海の資源が変化する中、これからの若い職人たちは、世界の食材と出会って新しい鮨を作っていくかもしれません。だからこそ必要なのが、揺るがない基礎です。王道を理解しているからこそ、新しい挑戦にも意味が生まれるのです。
鮨が世界に広がる今だからこそ、日本の鮨の良さや伝統を次の世代へと伝えていく。それもまた、鮨職人の大切な使命だと考えています。
ぜひ一緒に、伝統を守りながら鮨の魅力を広げていきましょう。
