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ロボット工学が拓く、人々の健康と幸福な未来

キャリアマップ編集部

2024/06/19

ロボット工学が拓く、人々の健康と幸福な未来
ロボット工学は、ただロボットを作るだけでなく、電気、機械、通信、最新のAI技術を駆使して最先端のテクノロジーを生み出す学問です。特に、医療や福祉の分野ではロボット技術の導入によって多くの可能性が拓かれています。
今回は現場での活用事例を挙げながら、ロボット工学の魅力、エンジニアに求められるスキルについて解説します。

解説してくれる人:中野賀通(なかののりゆき)さん
株式会社グッドニュースの社外顧問として、プロダクトの企画・開発や組織づくりなどを一緒に作り上げてくれている中野さん。
子供の頃から分解好き、ポケコンでゲームを自作。
高校教員を経てダイレクトマーケティング領域のベンチャーでクラウド事業を立上げ、2015年テモナ株式会社にCTO(最高技術責任者)として入社。2017年マザーズ上場、2019年東証一部上場を果たすなど、数々の功績を残されています。


ロボット工学とは?


「ロボット工学」はロボットの開発や設計・製造に関する技術を研究する学問で、電気工学、電子工学、機械工学、ソフトウェア工学などを組み合わせた総称を指します。格闘技で言うと、打撃技や組み技など様々な技術を用いて競う「総合格闘技」のようなイメージですね。主な要素として、メカニズム設計・電気回路設計・制御システムの開発・センサー技術・人工知能などがあり、これらの融合により、さまざまな動作機能を備えたロボットが作られています。

特徴的なのはすべてのベースに物理学的要素があること。たとえば歩行ロボットの場合は、床面との摩擦係数が大いに関係しており、摩擦が少ないと滑りやすく、大きいとつまずきが生じて動かないなど支障をきたすことに。ロボットは仮想空間のものではなく、現実世界に実在するものだからこそ、「どのように動くのか、どのような力が必要か」という原理を理解することがとても重要な学問でもあります。


ロボット工学の医療・福祉分野での活用事例


ロボット工学は暮らしのさまざまな自動化や効率化を推進しており、医療・福祉業界でも、手術支援、診断、リハビリテーション、患者ケアなど、幅広い用途で利用されています。一例を紹介しましょう。

▶手術支援ロボット
かつてテレビドラマでも話題になった、内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ・サージカルシステム」。高精度のロボットアームと3D高解像度カメラを搭載し、遠隔操作での手術が可能です。1990年代にアメリカで開発され、2000年以降日本でも導入されています。一台数十億円というかなり高額な医療ロボットです。

▶診断用ロボット
飲み込んだカプセル型カメラが体内を移動しながら画像を撮影し、無線で外部に送信する「カプセル内視鏡」。体内の狭い空間を移動するシャクトリムシ型マクロロボットや、更に小さい血管内を移動する医療用マイクロロボットなども研究・開発が進んでいます。

▶リハビリテーションロボット
脚に装着して歩行運動を支援する歩行アシストロボット。センシング機能が体の動きをサポートして転倒を予防します。最近では筋電だけでなく脳波もセンシングしてリハビリの効果測定まで行う、指のリハビリテーションロボット(「MELTz」)なども登場しています。

▶患者ケアロボット
よく知られているのは、コミュニケーションロボット「LOVOT」。AI(人工知能)に加え、通信や音声認識・画像認識などの技術向上により、表情変化を伴うリアルな会話を可能にしています。患者さんや利用者さんのリハビリや心のケアを目的に多くの医療・福祉現場で導入が進んでいます。

また、患者だけでなく、介護スタッフが着用するパワースーツも介護ロボットのひとつ。自動制御機能がついた電動車椅子なども含めると、医療・福祉現場の広い領域でロボットの導入・活用が進んでいることがわかります。


ロボット工学が医療・福祉分野に与える影響と未来への展望


医療・福祉分野におけるロボット技術の応用・導入は、現在ハイスピードで進んでいます。
その背景には、より高度な医療技術を追求するだけでなく、年々深刻化する人手不足という業界が抱える深刻な課題も。これまで“道具の一部”として利用されることが多かったロボットですが、今後は完全に自立して、人間の代わりに役割を担うものがどんどん出てくるでしょう。
すでに物流や建設業界ではロボットの代替が加速的に進んでいます。医療・福祉の現場でも、人間とロボット、それぞれの役割を明確化したうえで、スタッフの三分の一がロボットという世界が近い将来現実になるんだろうなと、個人的には思っています。


ロボット工学エンジニアになるために学んでおくと良いことは?


まず、物理の分野、ロボットに関連する法律やセキュリティの知識。あとは医療・福祉分野における開発の特徴・考え方にも触れておくといいでしょう。センシングしたデータ値の扱いなど、正確性を問われる医療分野ならではのシビアさもあるので、何をどこまで求めるのかという業界の基準や傾向について調べたり、アンテナを張ったりしておくことは必要だと思います。

また、プロダクトをつくる際は、プロジェクトベースでさまざまな分野の専門家と連携しながら仕事を進めていきます。学生時代から、“将来自分はどの領域を強みとしたいか”ということを意識しておくこともおすすめ。
学問の領域が広いので、単なる“いろんなことに詳しい人”にならないために、将来的には「ここは俺に任せておけ」と言えるスペシャリティな分野を持てるといいですね。そうすることで、ロボット工学以外の分野でも活躍できるキャリアが作れると思います。


まとめ:ロボット工学エンジニアのやりがいと学生さんへのメッセージ


“動くものをつくる”という点において、ソフトウェアの世界にはないリアリティを感じられることはロボット工学の面白さのひとつ。“自分が作ったものが現場で使われて、誰かの役に立っている”という実感を得たい人には、やりがいの大きい仕事です。また、「車椅子の構造って、なぜこうなっているんだろう?」「既存の車椅子だと、何が不便なんだろう?」という疑問を持ち、みずから現場へ調査に行ったり、車椅子に乗ってみたりすることができる人も、この世界に向いていると思います。

技術やスキルの面においては繰り返しになりますが、いろんな学問が融合して、非常に広い分野の知識やスキルが身につくことがロボット工学の魅力。将来的にも各分野を横断して活躍することができるので、この道に進んだ人はもれなく「クロスボーダー人材」だと、私は勝手に定義しています(笑) 
オールマイティに対応できる力とスペシャリティを兼ね備えた人材を目指して、是非、楽しみながら学びを進めてくださいね。

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