食とアートの交差点ってなんだ?編

キャリアマップ編集部

2022/12/05

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食とは混ざり合わなかったものを融合し、企みを形にする企画編集会社 KUUMA inc.が紹介する、新しい景色たち。
いままで実践してきた様々な取組みを通して、正しいか正しくないかは、わからない。けれど気持ちいい、食の未来を考えるヒントにふらりと出会えるかもしれません。

食とは混ざり合わなかったものを融合し、企みを形にする企画編集会社 KUUMA inc.が紹介する、新しい景色たち。正しいか、正しくないかはわからない。けれど気持ちいい食の未来を考えるヒントにふらりと出会えるかもしれません。
今回混じり合うのは、森の未来と食。混じり合っているのは当たり前ですが、改めて森の恩恵を分解してみると、どんな未来が見えてくるのでしょうか。
前編のvol2、後編のとvol3の2本立てで、食を入り口に森との未来を考えてみましょう。


レストランに、階段?小部屋!?混ざり合う実験拠点。

2021年11月末、神戸北野に生まれたレストラン『汀(みぎわ)』。

ここは、企画編集会社であるKUUMA inc.が手掛けた、初のリアルメディアとしてのレストラン。食を切リ口としながら、いろんな分野との融合を企み形にする実験拠点でもあります。






店名である汀は、水辺と陸地が混ざり合う場所を指す言葉。
汀は、満潮になれば水の生き物たちの住処になり、干潮になれば陸地に暮らす生き物たちの居場所になる。境界線はつねにゆらゆらと移りかわり、汀にかかわる生き物同士は、言語が通じる通じないに関わらずコミュニケーションをしながらその場所を使いこなしていきます。それにより、汀は豊かになり、文化が生まれていったといいます。
そんなこんなで、汀と命名したレストラン。その名の通り、場所としての定義が曖昧(画一的な機能に依存しない)で、いろんな生き物が混ざり合うことを大切にしています。

内装もちょっと風変わり。アーチ型の入り口をくぐると、キッチンカウンターがあり、奥にはロフトにつながる階段が。壁面一面の本棚を横目に階段をあがっていくと、奥に躙り口(にじりぐち)のような穴が。よっこらせっと、四つん這いになって入ると小さな部屋がお目見えします。
小さな部屋は、そこについた窓からレストラン全体が見渡せる特等席。

階段は、座って本を読むもよし。ワイン片手に団らんするもよし。登ったり降りたりただただ遊んで過ごすのもよし。ときには、ここを舞台に音楽を奏でたり、ダンスを踊ったりしたこともありました。いろんな過ごし方ができる居場所になっています。
あなたなら、どんな過ごし方ができるか、ぜひ想像してみてください。レストランという居場所とどう関わるのかを考えるきっかけになるかもしれません。









”大人だけでなく、子どもも日常的に遊びに来て、各々が時間と場所を共有しつつも好き勝手に時間を過ごすことができ、多様な行為を許容する広場のような空間を目指した。
「あらゆる生物が混じり合い文化を生む、汀」というお店のコンセプトや、北野坂に面した路面店であることから、プライベートとパブリック、内と外に強い境界をつくらず、北野坂を含めた街の一部になり、街のあらゆるものがそこで混じり合う汀的広場を企てた
“(一緒に内装設計をしてくれた建築家のパートナーの紹介文より引用)

レストランは、街のなかの動かない場所。そして、ドアを開ければいろんな人がはいってくることができる場所。だからこそ、ただ食べ物を提供するだけではない在り方を提案できるのではないか。そんな企みを実践するため、こんな空間が出来上がったのです。

食って、環境づくりに最適。

食って、いろんな可能性があると思うのです。食べるという分かりやすい目的を満たすだけではない食の在り方って、ひとそれぞれにあるのかもしれません。自分にとって、食とはなにかを今一度考えてみてください。きっと、世界が広がるのではないでしょうか。
いま、汀で実践している“食の3つの可能性”を紹介してみます。

まずひとつめは、環境づくり。
子どもも、大人も、人間以外の生き物も。多様な人たちが混じり合うための環境づくりとして、食はとても最適だと考えています。食があることで、いろんな人がつながっていくのです。
例えば、アーティストを先生にむかえて開催した、子ども向けアート教室のとあるワンシーン。普段は飲食スペースであるダイニングホールが、子どもたちのお絵かきスペースに。このときは、レストランから生まれた野菜の端材などを絵の具にして、お絵かき。
それを囲むように、大人たちはコーヒーやワインを片手に子どもたちの姿を愛でながら参戦。子どもたちは途中、手作りのお菓子をほうばりながら真剣に表現を楽しみます。レストランの空間は、アートとともに、肩の力が抜けて混じりあう環境に変わっていきます。食は、そこにいる人たちを柔和してくれるチカラがあるのかもしれません。






ふたつめは、自然を学ぶ教材。

自然、そしていろんな動植物の恩恵である食は、生態系のなかでの人間の立ち位置を考える教材となるのではないでしょうか。料理のうしろに、どんな生き物がいるのか?どんな自然環境が広がっているのか?どんな生態系でつながっているのか?
こんなことを考えていると、興味がとまりません(私だけでしょうか)。
今日、食べた朝ごはんを思い浮かべてみてください。うしろにどんな動植物や自然がいるのか、口にだしてみるのもいいかもしれません。意外と知らないし、思い浮かばないなんてこともあるのかもしれません。知らないことは、悪いことではない。けれど、知ってみると、食がもっとおいしく、もっと愛おしく感じるかもしれません。

ここでも、事例をひとつご紹介します。
汀で提供している『六甲牛の生ジャーキー』。神戸市西区の神戸牛牧場という肥育牧場で育った六甲牛は、オーストラリアからやってきたアンガス牛と黒毛和種の掛け合わせの赤身がおいしい肉質。
ここで湧き上がる、六甲牛ってどんな牛なんだろう?という気持ち。
六甲牛という名前の通り、六甲山系のお水を飲んで育った牛。牛は、飲む水で肉質が大きく変わるそうで、人間も飲めるほどのきれいな水を飲んでいる牛の肉質はとってもきれい。
オーストラリア仕込みの体格の良さは、とってもワイルド。前髪がくるんとカールしている牛が多く、体がとっても大きい。牧場に見学にいって、命をいただき尽くすことの大切さを実感して生まれた、六甲牛の生ジャーキー。ステーキで提供する部位の端っこ部分を無駄なく食べるために、端肉をうすくスライスして燻製をかけて作りました。
燻製には、神戸で育った葡萄の木の間伐材を使用。神戸生まれの牛と葡萄が、料理でちょっとつながっているのです。

まだまだ書ききれない、料理のうしろにいろんな生き物や自然があるお話。学んでも学んでも、学ぶことは尽きません。





3つめは、クリエイションを一緒に生むための手段。

そして最後は、共創手段としての食。
表現者でもある料理人は、いろんな分野との共創が実現します。

ここでも、ひとつ事例を。
虫たちを観察し、探求し、ともに過ごすことから見える”造形“や”生態“、”思考“を形にするジュエリーブランド『hunch』 のレセプションパーティを、汀で開催したときのワンシーン。







ジュエリーのテーマにちなんで、虫たちが普段食べているものや暮らしている環境からインスピレーションを受け、汀の料理人たちが趣向を凝らした料理を提供しました。
提供した料理のうちの数品をピックアップ。

まずは、オオモモブトハムシ。豆科のクズを主な食草とし、2006年以降に発見されている日本のオオモモブトハムシは、クズの茎に産卵し幼虫になるとクズの蔓にゴール(虫こぶ)を作り、ここで冬を越すといわれています。クズがマメ科であることから、豆料理として、ひよこ豆フムスのクロスティーニが登場。



次は、ゾウムシ編。その名前の通り、長く伸びた口もとをしているゾウムシ。とにかく食いしん坊で、花の奥にある実や種、枝の中までも食べるのだそう。食べやすいように口の先にあごのある細長い口もとで咀嚼をしているんだとか。米びつをあけるとたまに登場するゾウムシは、コクゾウムシ。お米が大好きなゾウムシにちなんで、牛ラグーのアランチーニ(ライスコロッケ)。



最後は、バイオリンムシ。男性の握りこぶしほどの大きさながら、体の厚さは5mmほどの薄さのバイオリンムシの薄い体は、木の隙間に隠れるのにとても便利。木に生えるキノコであるサルノコシカケの隙間にも入り込み、キノコをやそこにやってくる虫も食べます。
隠れ家であり食べ物であるキノコのお料理として、平茸の香り衣フリットが生まれました。





あなたの馴染みのある虫はいますか?苦手だという人、いるかもしれませんね。
最近では、栄養価が高いだけでなく食糧問題解決の糸口となる可能性もあって、次世代の食材として昆虫食が期待されていますが、ただ虫を食べるだけではない、虫をテーマにした料理の表現もあると思うのです。
虫をテーマにあなたが料理をするなら、どんな料理になるでしょうか。
ぜひお話を聴かせてほしいし、一緒に実現できたら、なんて想像するとわくわくがとまりません。

さてさて、今日はここまで。
食って、すごい。汀ひとつとっても、生まれる景色は、さまざまです。
汀でできていることは、ほんのわずか。食を学んでいる、食に興味のあるみんなで取組むと、もっと食の価値は拡張していくことでしょう。


これからも、食未来編集室では、食と融合して生まれるいろんな景色を紹介していきたいと思います。

神戸北野 汀(みぎわ)
各線三宮から北野坂を10分ほど歩いた先の交差点にある、レストラン。『食とアートの交差点』を合言葉に、生産者さんの顔が見えるからだに優しい料理を囲んで、子どもも大人も混じり合う料理屋さん。カウンターキッチンで料理人との会話を愉しみながら過ごせます。ワインショップ、図書館も併設。子どもアート教室やアーティストとのイベント、企画展示も常時開催。

神戸市中央区中山手通1丁目22-13 ヒルサイドテラス1F 
☎ 078-862-3411
アクセス
・JR 三ノ宮駅 / 阪急神戸三宮駅 / 地下鉄 三宮駅 から徒歩8分
・阪神 神戸三宮駅から徒歩10分(北野坂沿い)
汀 Instagram
汀 WEBサイト










筆:ハマベレミ(KUUMA inc.)






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