AIをはじめ、テクノロジーの進化が目覚ましい昨今。インターネット上には有識者による解説記事が数多く公開されており、最新の情報を手に入れやすい環境が整っています。とはいえ、それら一つひとつの情報が正しいかどうかを見極めるのには、一定の知識と土台となる基礎力が必要でしょう。真偽を判断するための基礎力を身につけるためには、書籍が役に立つはず。そこで今回は、第一線で活躍している現役エンジニアに仕事の面白さを語っていただくとともに、学生におすすめの書籍を選んでいただきました。
キャリアマップ編集部 文/ライター 西村友香理、撮影/掛川雅也
ゲーム会社で働く現役エンジニアに聞いた「仕事の面白さ」
取材に協力してくれたのは……
株式会社gumi
「Wow the World! すべての人々に感動を」をミッションに掲げ、自社オリジナル、他社IPを使用したモバイルオンラインゲームを開発しているほか、ブロックチェーン事業にも参入。国内外に開発拠点を持ち、グローバルに事業を展開している。
インタビューに応じてくれたのは……
古谷 正一さん(写真右)
新卒で商社に入社し、技術職を希望するも営業に配属。やはり技術職をあきらめきれずに転職し、Webサービスの会社でエンジニアとしてのキャリアを歩み始める。テスターからスタートし、インフラエンジニアとして経験を積んだ後、株式会社gumiにジョイン。Technical Strategy & Development(共通基盤部門)のプレイングマネージャーとして、メンバーのサポートをしつつインフラの構築・運用を行っている。
奥寺 裕章さん(写真左)
学生の頃からゲームが好きだったものの、ゲーム関連の仕事に就くのは難しいだろうと考え、会計系の専門学校に進学。税理士を目指して勉強をする中で、ゲームへの思いが高まり、意を決してエンジニアにジョブチェンジを果たす。SIerでの仕事を経て、株式会社gumiに転職。現在は、Entertainment Engineering(ゲーム開発部門)で、Unityを使ったクライアント側のアプリ開発に携わっている。
──お二人とも以前はエンジニア以外のお仕事をされていたそうですが、ジョブチェンジされた理由はなんだったのでしょうか。
古谷さん(以下:古谷):理系の大学出身で、同級生の多くはエンジニア、もしくは教員を目指していました。新卒で入社したときには私もエンジニアを志望していたのですが、残念ながら配属されたのは営業職。実務を通して「自分は営業に向いていないな」と改めて確信したので、転職してエンジニアになったという流れですね。
奥寺さん(以下:奥寺):私はもともとゲームが好きで、コンシューマーゲームでよく遊んでいたんです。ただ、私が学生の頃は、ゲームといえば「あまりよくないもの」といったイメージが根強い時代だったこともあり、自分がそういった会社で働くことは想像していませんでしたね。しかし社会人になる頃には、ゲームに対する社会的なイメージが徐々に向上していたタイミングで、「好きなことに携わる仕事がしたい」という思いもあり、gumiに転職しました。
──お二人がgumiへの入社を決意されたきっかけもお話いただけますか。
古谷:前職ではECサイトのインフラ運用を任されていたのですが、小規模サイトだったこともあり、自分の仕事に手応えを感じられずにいたんです。大規模なインフラの運用に挑戦したくなって、ゲームが好きだったことからゲーム業界での転職を目指し、ご縁があってgumiに入社しました。
奥寺:私はもともとPythonのプログラミングゲームが好きなんですよ。転職活動をしていた当時、複数社の採用面接を受ける中で、Pythonを使用しているゲーム会社はgumiだけでした。それが決め手となって、gumiへの入社を決意しました。
──好きなゲームの開発に携わる中で、どんな時にやりがいを感じますか?
古谷:コードを書いている時です。インフラエンジニアは「コードを書かない」というイメージがあるかもしれませんが、gumiのインフラエンジニアはコードを書ける人が多いんですよ。自分が書いたコードによってモノが動くというのは面白いです。個人的には、プライベートの時間を使って業務効率化ツールを開発することもあります。それほどモノづくりは楽しいことですし、自分の書いたコードが実際のサービスに投入された時は、やりがいを感じますね。
──モノづくりが本当にお好きなのですね。奥寺さんはいかがですか?
奥寺:開発しているとき、ゲームプランナーの要望通りにコードを書けた時ですね。時間の制約がある中で満足できるコードを書けた時には、達成感があります。
運用中でいえば、ユーザーからのフィードバックを受けた時。自分が開発した機能でユーザーに喜んでもらえた時はとてもやりがいを感じます。改善点に関するご指摘をいただいた時は、がぜんやる気がでます(笑)。
──なるほど。生粋のエンジニアかたぎであるお二人が注目している技術トレンドも教えていただきたいです。
古谷:「サーバーレス」ですね。目新しいワードではありませんが、インフラエンジニアとして関心が強い分野です。職種名が同じであっても会社によって職域が異なるという前提はありつつ、インフラエンジニアの仕事は、8~9割が運用です。つまり、インフラエンジニアとしては「運用コストをいかに下げるのか」という点が重要となってくる。サーバーレスに使用できる製品があれば、できる限り取り入れたいと考えていて、日頃から周辺の情報を意識的にチェックしています。
奥寺:gumiではセキュリティの問題で使用許可が下りていませんが、AIコード補完ツール「Tabnine」が気になっています。現時点では精度が低い部分もありますが、いずれは実務でも当たり前のように使われる時代がやってくるかもしれません。AIによって仕事が奪われる可能性を指摘する声もあがっていますが、個人的には技術と共存し、上手に活用できるようになりたいと考えています。
エンジニアを目指す学生向けのおすすめ書籍7選
ここからは「学生のうちに読んでおきたかった書籍」「エンジニアリングの勉強を始めたばかりの学生向けの書籍」「プログラミングの基礎知識が身についている学生におすすめの書籍」「2020年以降に発売された書籍」といった軸をもとに、古谷さんと奥寺さんにお教えいただいた書籍を紹介します。
学生のうちに読んでおきたかった書籍:『ゼロからのOS自作入門』(マイナビ出版)
▼古谷さんコメント
PCの電源を入れてからオペレーティングシステムを起動して、アプリケーションを動かすという一連の流れを、自分でコードを書いて作ることができる書籍です。
普段自分が使っているものがどのような処理を経て動いているのか体系的に理解できます。ただ、750ページとボリュームがあり、社会人になってからは実践する時間を確保するのが難しいため、融通が利きやすい学生のうちに読んで体験しておくと良いのではないでしょうか。
エンジニアリングの勉強を始めたばかりの学生向けの書籍:基本情報技術者試験の参考書
▼古谷さんコメント
これから勉強を始める方には、基本情報処理の試験の参考書がおすすめ。さまざまな参考書が発売されていますので、自分にあったものを探してみてください。ITに関する基本的な知識を身につけたい方にもおすすめです。
プログラミングの基礎知識が身についている学生におすすめの書籍:『ゼロからのOS自作入門』(マイナビ出版)
▼古谷さんコメント
「学生のうちに読んでおきたかった書籍」と重複しますが、こちらがおすすめです。
私は現場でプログラミングのスキルを身につけました。エンジニアになるとコードを書く機会があるので、プログラミングスキルは実務を通して伸びていくはず。そのため、学生の間に日々の業務では触れない裏側の知識を身につけて準備しておくといいでしょう。
2020年以降に発売された書籍:『達人が教えるWebパフォーマンスチューニング 〜ISUCONから学ぶ高速化の実践』(技術評論社)
▼古谷さんコメント
LINEが主催するWebアプリケーションのパフォーマンスチューニングコンテスト「ISUCON」の入賞者や優勝経験があるエンジニアが執筆している書籍です。
Webアプリケーションのパフォーマンスを向上するためのコツや注意点、テクニックがまとめられています。
学生のうちに読んでおきたかった書籍:『栢木先生の基本情報技術者教室』(技術評論社)
▼奥寺さんコメント
専門学校に通っている学生の方であれば、基本情報技術者試験を目指している方も少なくないのではないでしょうか。この書籍はイラストが挿入されていて読みやすく、解説も具体的でわかりやすいため、資格の勉強に最適です。
エンジニアリングの勉強を始めたばかりの学生向けの書籍:『プログラムはこうして作られる プログラマの頭の中をのぞいてみよう』(秀和システム)
▼奥寺さんコメント
プログラム変数や関数などの用語解説があり、基礎から書かれています。
また、エンジニアが無意識に考えて行動していることが言語化されているため、初心者の方がプログラミングの思考法を理解するためにも役立ちます。
プログラミングの基礎知識が身についている学生におすすめの書籍:『リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック』(オライリー・ジャパン)
▼奥寺さんコメント
特定のプログラミング言語に依存しているわけではなく、一般的に言われている「読みやすいコードの書き方」を教えてくれる書籍です。
「読みやすいコード」の定義は人それぞれですし、チームメイトとの認識がズレていると、チーム開発をする際に問題が発生する可能性もあります。そうしたことを防ぐという意味で、平均的な書き方を学んでおくのは大切なことだと思います。
2020年以降に発売された書籍:『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門―保守しやすい 成長し続けるコードの書き方』(技術評論社)
▼奥寺さんコメント
いわゆるブラック企業の出身者である著者が、自身の経験をもとに「良いコード」と「悪いコード」の例を教えてくれます。
この書籍のいいところは、悪い例をあげてくれているところ。良い例だけでは応用するのが難しい場合もありますが、悪い例も一緒に掲載されているため、実務に生かしやすいんです。
学ぶ姿勢を忘れず、多くの情報に触れることで道が開ける
──最後に、学生の皆さんに向けてメッセージをいただけますか。
古谷:エンジニア業界は、技術の移り変わりが激しい世界ですが、学んだことや経験が無駄になることはありません。地道にスキルを磨いていけば、自分のやりたいことにつながっていきます。私も通常の業務と並行しつつ、最新の情報を常に追っていて、現職でも業務の幅を広げようと努力し続けています。学生の皆さんも、学ぶ姿勢を忘れずに、日々の勉強を頑張ってください!
奥寺:業界によって異なりますが、ゲーム業界では一つのことに特化しているエンジニアが重宝される傾向があります。ただ、ある特定の技術だけにこだわってしまうと、10年後にはその技術が使われなくなってしまう可能性も否定できません。特定のものに依存しないように、同時並行でさまざまな技術に触れておくことをおすすめします。
とはいえ「この技術を極めるんだ!」という強い意志があるなら、一つの技術に特化して勉強するのも良いと思います。有識者が発信している内容や書籍などを読んで、多くの情報に触れた上で、自分が納得できる道を見つけてください。
──古谷さん、奥寺さん、本日はお時間をいただき、ありがとうございました!
▼株式会社gumiの求人一覧
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