1967 年にインターネットが誕生して以来、55 年が経過しました。インターネットはその間にWeb1.0 から、2.0 の進化を経て、3.0 の時代に入ろうとしています。Web とはインターネットを利用して情報を公開したり、閲覧したりするためのシステムです。Web の形はどう進化し、次世代のインターネットと言われるWeb3.0 はこれまでと何が変わるのでしょうか。Web1.0 からの歴史を振り返りながら、Web3.0 について解説します。
キャリアマップ編集部 文/IT ライター 関洋子
キャリアマップ編集部 文/IT ライター 関洋子
半世紀に及ぶインターネットの歴史を振り返る
テレビの視聴時間が減り、動画視聴サービスの利用者数が増加。友だちとのコミュニケーションも電話ではなく、SNS が使われる──。もはやインターネットは道路や電話などと同じく、社会のインフラの一つとして位置づけられるまで普及しています。
そんな私たちの生活に欠かせないインターネットは、Web3.0 の時代へと進みつつあります。Web3.0 はイーサリアム(分散型アプリケーションのためのプラットフォーム)の創設者であるギャビン・ウッド氏が2014 年に提唱した次世代インターネット概念です。その基盤技術としてブロックチェーンが活用されています。Web3.0 についてさらに詳しい解説をする前に、まずはインターネット発展の歴史を振り返りましょう。
インターネットの起源であるARPAnet(Advanced Research Agency Network)が生まれたのは 1967 年。米国国防総省の資金提供により誕生した ARPAnet は、69 年に米国内の4 つの大学・研究機関を接続する形で運用を開始し、その後、商用化へと至りました。日本でインターネットの起源である JUNET(Japan UniversityNETwork)が東京大学、東京工業大学、慶応義塾の3 大学を結ぶネットワークとして実験を開始したのは、1984 年。JUNET は最終的に700 もの期間を結ぶネットワークへと成長しました。88 年にはJUNET 参加者が中心となり、インターネットの実験を行う「WIDE(ワイド)プロジェクト」が発足しました。当初、非営利な使い方で発展しましたが、接続する機関が急増したため、92 年日本初の商用インターネットサービスプロバイダー(インターネットイニシアティブ:IIJ)が設立され、93 年に商用サービスが開始されました。以降、個人のホームページや掲示板がWeb上に作られ、自由に情報発信ができるようになりました。これがWeb1.0 の時代の始まりです。当時のインターネットへの接続は電話回線を用いたダイヤルアップ接続でした。現在の速さからは想像もできないほど通信速度も遅く、使った分だけお金がかかる従量課金型を採用していたため、画像のようなデータ容量の大きなコンテンツは読み込みに時間がかかることから、ホームページもテキストが主流でした。双方向でやり取りすること(インタラクティブ性)もほとんどなく、情報を一方的に発信するような形で使われていました。
ダイヤルアップする際に使用されていたモデム
Web2.0 はGAFAM による中央集権化が加速
99 年より新たな通信回線、ADSL が登場したことで、これ以降、定額料金・常時接続が当たり前となりました。その結果、定額料金・常時接続かつ大容量の通信回線が提供されるようになり、インターネットが爆発的に普及。そしてインターネットは双方向のやり取りができる時代に入ります。
それを当たり前のものにしたのが SNS です。SNS といえば、Twitter やFacebook、YouTube、Instagram などが頭に浮かぶかも知れませんが、実はmixiやGREE、アメーバブログなどもSNS の一つです。これらのサービスがあまりSNSと認識されていない大きな要因は、PC 向けのサービスとして始まったからです。というのもこれらの SNS のサービス提供が始まったのが 2004 年。日本で初めてiPhone の販売が始まったのは2008 年、Android 端末は翌年の09 年なので、5 年もの隔たりがあるわけです。いずれにしても、SNS の普及、そしてiPhone を含めたスマートフォンの登場により、誰もが容易かつ気軽にインターネット上の情報提供ができるようになりました。これがWeb2.0 です。
またWeb2.0の時代は、GAFAM [ Google 、Amazon 、Facebook (現Meta)、Apple、Microsoft]と呼ばれるプラットフォーマーの台頭による情報の中央集権化の時代になったと言い換えることができるでしょう。例えばAmazon で買い物をすると、「あなたへのおすすめ」が出てきますよね。このようなことが可能なのは、Amazon が私たちの行動履歴を含んだ個人情報を収集しているからです。Amazon だけではありません。Google やFacebook、Apple、Microsoft も同様、私たちがインターネットを利用するのに欠かせないサービスを提供することと引き
換えに私たちの情報を収集しているのです。元々インターネットは利用目的を限定せず、さまざまな使い方を受け入れられるように設計されていました。だからこそGAFAM のようないろんなサービスが生まれてきたのですが、それが個人情報という価値の搾取を許すことにつながってしまいました。
Web3.0 で何が変わるのか
Web3.0 は、Web2.0 のGAFAM による情報の中央集権化から、Web 本来の理念である情報を民主化、分散化します。つまり自分の情報は自分で管理できるようになります。その核となる技術がブロックチェーンです。ブロックチェーンは「情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録について暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種であり、『ビットコイン』等の仮想通貨に用いられている基盤技術」(総務省「情報通信白書平成30 年版)です。
このブロックチェーンが基盤技術となることで、Web の世界は次のようになります。第一に先述したように自分の情報は自分で管理できるようになります。購買履歴を含む個人情報には本来、価値があります。Web2.0 ではその価値をこれまでは無償で提供(勝手に収集されていた)のですが、自分で管理できるようになることで、個人情報を提供することで対価を得ることも可能になります。
第二に個人情報の漏えいリスクが低減します。Web2.0 の世界では、サービスを利用する際に、個人情報を登録する必要がありました。そのため、登録した企業がサイバー攻撃に遭うと、自分の個人情報が漏えいしてしまうリスクがありました。ですが、Web3.0 ではブロックチェーンにより分散管理されるため、これまでのように個人情報が大量流出することがなくなります。またWeb3.0 の世界では、ブロックチェーンアドレス(ウォレット)があれば、サービスを利用することができるようになります。ウォレットとは例えるなら銀行の口座番号のようなもの。しかも判読が難しい文字列で作成されています。このようにWeb3.0 の世界では個人情報の入力が不要になるため、情報漏えいのリスクが圧倒的に低減されるようになり、個人情報の漏えいリスクを懸念してサービスの利用を控える必要もなくなります。そのため、安心してサービスを利用できるようになります。そのほか、ブロックチェーンを利用しているので、ユーザーとユーザー、ユーザーと企業などの間で直接取引が可能になります。
さらにWeb3.0 の世界になると、政府の規制でサービスの利用を妨げられることもなくなります。例えば中国ではグレートファイアウォールという検閲システムがあるため、Google やTwitter などが使えません。ですが、Web3.0 では中央集権的なサーバという存在がなくなるため、国家による検閲システムは機能しなくなります。Web3.0 の世界を象徴するキーワードが、メタバースやNFT(詳しい説明については、それぞれのページを参照)。すでにメタバースやNFT 関連でいくつかのサービスが登場しています。
新しいビジネスやサービスを生み出すチャンス
Web3.0 へ進化することは、GAFAM による中央集権的な世界から解き放たれること。新たなビジネスの形やサービスを生み出すチャンスとも言えます。もしかしたら日本の企業の中から、現在のGAFAM のような世界中の人が使うサービスを提供する企業が登場するかもしれません。さらに言えば、Web3.0 によってこれまでのビジネスの形が当たり前ではなくなる可能性が出てきます。そうした可能性も踏まえて、将来エンジニアを目指す人は技術を知識として身に付ける、もしくは会社選びの際に考慮するといいでしょう。