東京テクニカルカレッジ(学校法人小山学園)、清水建設株式会社、神奈川県立神奈川工業高等学校の三者は「次世代建築リーダー育成コンソーシアム」の設立に合意し、産学連携協定を締結しました。2023年4月から建築リーダー(施工管理技術者)育成のための7年間の人財育成プログラムを学生に提供します。
コンソーシアム設立の背景には、建設業界における「施工管理技術者」の不足が挙げられます。
国内では年間60兆円超の設備投資が続き、大都市圏では大規模な建設プロジェクトが目白押しの状態にありますが、プロジェクト全体を管理する施工管理技術者を志す学生は年々減少傾向にあります。大手ゼネコンである清水建設の採用活動においても、施工管理技術者への応募者数は5年前に比べて約2割減少しています。
一方で、工業高校や専門学校の建築系学科に進学する学生においては、「建築系の職種と言えば建築士」というイメージが強く、入学時点で施工管理技術者を志す学生はほぼゼロに等しいという状況。ただ、入学後に施工管理技術者の職種を理解すると、多くの学生が施行管理技術者を希望するという現状もあります。
そこで、施工管理という仕事に対する理解促進と必要なスキル、そしてマインドの修得支援が、日本の施行管理技術者不足に対応し建設業の基盤維持に寄与すると考え、本コンソーシアムを設立しました。
この4月から展開する「7年間の人財育成プログラム」では、神奈川工業高校建築科の1年次に施工管理技術者に必要な基本的素養を身につける学習を提供。そして2・3年次では施工管理技術者に必要な専門力、企業人や社会人としての基本的能力を段階的に習得するための学習を提供します。また、神奈川工業高校から東京テクニカルカレッジへの円滑な進学を図る制度を整備するとともに、学費支援などを含めた学習環境を提供します。
そして清水建設は、両校の教育プログラム開発支援と、教育現場・学生の就職活動を支援。神奈川工業高校の生徒に対しては、施工管理技術者の生の声による職業観の理解促進、現場や会社見学、職業体験機会を提供し、東京テクニカルカレッジの学生には、メンタリングやインターンシップ、研究の課題提供や指導などを行います。最終的には、7年間のプログラムを終了した学生の採用支援や、グループ企業、取引先企業などへの推薦など就職活動を支援します。
将来的には、この三者にとどまらず全国の建築学科を設置している工業高校や専門学校、そして建設会社の参画を促し、より多くの施工管理技術者を社会に送り出すことを目標にしています。
●東京テクニカルカレッジ 理事長・山本匡氏、校長・白井雅哲氏
「これまでの産学連携では教育支援が主でしたが、学びは厚いものの『出口』の用意が手薄だったケースが多いと思います。本コンソーシアムの特徴は、学んだあとのキャリアパスをしっかり示しているという点。中学・高校のうちから将来こんなキャリアパスがあることを示し、専門学校で専門スキルやマインドセットを行って、働く場も提供するのがポイント。若手職員の離職率の高さが問題になっていますが、若い時からマインドを育てていくことで入社後のミスマッチ低減につながると考えています」
●神奈川県立神奈川工業高等学校校長・片受健一氏、統括教諭・川上悟史氏
「当校は建設科のほか機械科、電気科、デザイン科があります。2年前から電気科が「かながわP-TECH」(神奈川県教育委員会、高等学校、産業技術短期大学校、企業がパートナーシップを結び、協働してIT人材育成に取り組むプログラム)に参加していますが、IT系職種への生徒の興味関心が高まっているという実績があります。建設科でも同じような取り組みができないかと考え、今回のコンソーシアム設立が実現しました。今回清水建設と連携することで、施工管理技術者のインターンシップや現場見学が叶うので、施工管理技術者を育てるための一貫した教育ができると期待しています」
●清水建設株式会社 執行役員人事部長・村田広氏
「建設投資はここ10年間右肩上がりで増加していますが、建設業に入職してくる若者が非常に少なくなっている現実があります。大学で建築や土木を学んでも、ゼネコンへの就職を希望しない人も増えています。そのため、早い段階で建設業の魅力を若い方々に伝えることが大切だと考えています。労働環境の厳しさを踏まえても、ものづくりの楽しさ、やりがいを伝える取り組みを早い段階から行い、産学一体となって建設業界全体を盛り上げていきたいと思っています」